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707.罪深き情念の窖‐クロストーク‐
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外観から清涼感のある高スペックな佇まいのオーセンティックな彼は、朴念仁とは真逆のハイカラなコミカルさが持ち味、宝石箱は条件が揃った初手から効果絶大の眼福で、ウインクの着目には人気沸騰で地下茎に知れ渡って、槐な不死鳥さえまんじりともせず興奮冷めやらぬ名ゼリフに、頬擦りするような初演の初舞台を心に留める為に見逃すまいと、夜な夜な今か今かとブランディングな著者を拝読して、ドッグヤードの地平線からの潮位はジェスチャーさえも聞きなし、先立つ不孝も不幸もお許しくださいとバックボードに謎解きを、フリーライドのナンバーワンには皆まで言うなと急逝。
せこせことボヤ騒ぎどころか先発してもう一花咲かせようと、危険日のハッチはロストして惰性の旗手は先輩面したとしても、直轄から分離して将棋倒しで沈没すれば大目玉を食らうから、吹き戻しのテンポアップにお目当てしか勝たんと鬼灯を、サイリウムやケミカルライトのポップアップが同時多発、帰郷の昇降口はサチュレーターの神業、豪勢なお焦げは飲み明かして入れ違いでも即応、バッテリーは爆燃してレベチの啓示にテンションマックス、チートデイでは言い表せないぐらいに理論武装はイレギュラー、女は帰国して赤くなり男は出国して青くなって対処しきれない、リトマス試験紙の大福帳は群れを成して豊作の騰貴。
起算からして尻を叩くまでもなかった速乾のストーカー事案に、たとえ身の上話が水深の深さの海抜が下落でサ終して、口渇したアンコンシャス・バイアスであったとしても、浸水の高潮を干ばつして水没の高波を旱魃して、うねる水柱で雨水桝が冠水しても干上がるまで、大気の川の板付きである御触れのスローガンの利回りが、ご心痛お察ししますなんてシステマチックにではなく、離島のヴィラであっても備えあれば憂いなしと、お出迎えとお見送りの共通項はお茶の子さいさいの回禄、ベッドタウンの最後まで馴れ初めの講座を受け持つのは、どんじりの銃後でも腰抜けず持ち前の責任感の強い、彼のアバンギャルドな妙技百篇‐カラー‐が出ている。
どうにか持ち前の怖いもの無しのコミュ力で交流を持ち続けて、フリーダムな鍾乳石の地底湖への引き込み線に誘い、前後左右には無くて唯一の死角は背丈差を利用した頭上、痩せこけた生態系で松葉杖の寝技に持ち込みたいと、後部座席ではなく助手席が良いとリッチに目論んで作戦決行、得難きは時逢い難きは友など鬼畜外道の不良債権となじり、二束三文で造替した街宣‐ゲームメイク‐のラテ欄は、試運転‐コマーシャル‐を挟みながら出ハケを繰り返して、プライムタイムでの潔斎を装ったビブラートな泣き落としの裏で、ジャンプアップな鼻歌を歌って食い散らかそうとしているけれども、アウェーが個性でありそれ以外のことがお留守になりがち。
戯れ(じゃれ)合いを巻き起こしながら公開捜査のような範囲で、サウナのようなアイススラリーの温冷浴にジャンプしながら、熱気ムンムンに弾みをつけたラフティングで練り歩く、グレーゾーンな彼とぐうかわを被った女狐のサインポールを、ものは言いようでもオーバーリアクションにあんなんよう言わんわと、リアタイでにくそいぽやぽやを見掛けた後輩が思い出したかのように、これまでのストックの記録を塗り替えるほどの、すくすくと育つ熱量の私憤に烈火の如く駆られているのは、私が群舞の周遊‐カラーバリエーション‐に対して、細胞分裂‐アンテナショップ‐は逆行‐ノーマーク‐だからか。
痩せ我慢‐オーバーリミット‐を使い果たして息が切れても、湿地高原の清流の辺(ほとり)にある新緑のように、怖いもの見たさの中二病への草稿は物持ちのいい武士の情けで、不良の不漁である地元の連れにも景気良く、助けの手を貸すええかっこしいの彼は、緊張状態が岩窟に鎮座する遺物みたく、ムズい古時計の潤滑油的な存在であることは間違いないし、酷い言われようであっても事実‐ビンゴ‐であることは間違いないし、後輩の一本気のある純度100%なこの性格には、私が一周回って同じように精錬したとしても、後輩と同じになれることは出来ないということも間違いない。
盛り込まれたその世代は彼のストライクゾーンであり、快調な締結にウエルカムと沼るのは当然に主軸の描写、イヌハッカを禁教したり尋常に勝負したりするまでもなく、敵前逃亡でもおいしいところだけ持っていくチングルマ、足が竦んで怖いからと帰宅するのに同行して送って欲しいと、やませにバンパー代わりにする女狐の誘いを断れずに、私との約束に都合が悪くなったと陳謝した彼に、寝返りを打つような禅譲の内示は自動更新で構わないし、結晶化‐アメーバ‐に対する弁償もお気遣いなくと返した。
荒波の定点カメラでバキバキにしばかれながら飼育されていても、竹馬の友である三人でいれば着火剤になる原体験も子供騙しに、熱殺‐スイッチバック‐で心配無用に安全だったし、隠していた訳じゃないのに聞かれなかったから言わなかっただけなのに、技を盗むこともなく聞かれれば正直に答えるのにと、野に帰るような殺処分‐サバイバル‐を免れて、一敗地に塗れて耐え難くても泥水を飲んで、脱転から再編された新天地の脱出ルートは禁断の留置線で、生存戦略‐ヘッドマーク‐の互助は場数を踏んだ必殺技で、三角食べの生け簀であっても運用出来ていたのに。
強者に対しては我慢かやり過ごすか逃亡するかしかないけれど、そんなサイドステップをマネジメントするシゴキでも、公共の電波で官製談合のコメディなコメディエンヌで、迷惑ならそう言えばいいなどとコメンテーター気取りもなく、話しても無駄な相手とは話さないだけと無視されてしまえば、嫌なことを言われなくなったからとホッとしたとしても、そうかと思いきや何故かごちゃ混ぜに不安になるのは、無償化以上に価値が無くなったから見捨てられたような気分になって、言われるうちが華なのにDQNな自分が悪いような気がしてくるから。
秒を刻むように一本調子な拒絶の理由は分からないけれど、自分がシンパを出任せに気に障るようなことをしたから、相手は深く傷付き怒って避けられているんだ、という雑魚な自分が悪い前提で考えてしまうのは、相手は正しいのだから自分で考えても無意味というか、自分で考えたとしても結局間違っているのだからと思い込んで、コラムの口絵から扉絵へ挿絵まで流されても、操られる先ぐらいお面で隠されていても選びたいし、おちょくるようにそう思わないとやってられないなんて、喧嘩するなら口より先に手より先に知恵を出さなきゃと、自我も思考力も無くなって寝過ごすよりも思考停止。
座組をやると決めた瞬間には教示はやり終わっていて、俺が殴るはめになったのはお前が悪いからという難癖な理屈は、言うことが説得力のある正しいことを言っているのは、相手がいつも正しいということで自分はいつも間違っているということで、一挙一動に凝視させて顔色を伺わせて怯えさせて、変化を望まず嫌って恐れて自ら潰そうとさせて、抵抗する気も言い返す気も無くさせると、どんな言葉でもかけられたら嬉しくて感謝すらして、もう機嫌を損ねることがないようにと懐を痛めることなく、自らの指揮系統‐コンマス‐を委ねてユキノシタに閉塞させる。
万が一理由を聞いて正当だったら自分の優位が崩れてしまうから、捕虜を支配し続ける為にワロタだけで話は端から聞かないし、頭の中を俺でいっぱいにして欲しいから拒絶しながら、グラスペーパーウェイトを後にも先にも置きまくって、ロシアンルーレットをリポートするように反応を見るという、ネタバレはカミングスーンとやる気を出した瞬間に、クレマチスのカミングアウトはもう既にやり切っている、山を削り海を埋め立てて作る生殺しな滑走路の土台は、規制があるからこそ掻い潜る為に新たなモノを生み出せる。
誰でも良いならお遊びだからと物々交換の初陣の出来は散々で、啄むことさえ全然出来ていないのは教えていないからで、自分からの挿入‐シャフト‐もサイズ感と形さえ覚えれば、教えたら一筆書かなくても出来るよなお前は良い子だからと、とちって連敗に王手をかけるようなことにならないように、この目に狂いはないのだと思わせられるように、これじゃまるで私がその先の展開を期待しているみたいな小芝居を、増築した下絵は私の願望なのか三人が私に見せた夢なのか、逃げているのではなくて行きたいところがあるだけのワタスゲ。
ブラインドタッチで進めていた遥拝‐キープアウト‐に気付かれてしまって、パートナーシップのヘルプとしての交渉成立‐ラストチャンス‐を逃し、言葉が出なくなって何も言えなく無ったからただひたすら黙って、時が過ぎるのを待ってチョメチョメという役職から逃げ出せるような、私はそんな聡い子‐グラビエーター‐にはなれなかったから、ローンオフェンダーとして名を知らしめてしまって、和平の名のもとに蜂の巣にされて周年を迎えられずに、刑場の露と消えることもなく一杯塗地‐フルアウト‐で、卓越した至聖の鰭を永遠に奪ってしまったことは、どんなに願ってもニッコウキスゲは取り戻せなくて、ミヤマリンドウの朝靄はずっと心残りの遺恨だ。
確かに言っていることは耳が痛くなるような正論だけれど、私のためだからと愛しているからこそ厳しく言うんだと、言葉はキツいかもしれないけれど愛情深いという、一方的な愛を盾にして自分の主張をぶっ通そうと、ぶつけて振りかざして何よりも最優先するのは、自分の価値観や正しさの意見だけを押し付けることで、心情や背景を理解せずに言い方やタイミングも私への配慮に欠けて、私の考えを自分の考えに軌道修正して、いつの間にか自分の考えに自信が持てない状態に陥ってしまうのは、決して都合のいい幻想に流されたからではないし、ありのままでいられない関係なんて危険しかないから、言葉に安心感ではなくプレッシャーを感じているなら、それはもう愛ではなくそれはもはや攻撃と同じ。
本当に愛してくれる愛しているからこそいつどの瞬間も、私の気持ちを置き去りにしないで寄り添い思い遣り、私の心を傷付けるような伝え方はしないと今ならば分かるけれども、望みなんて最初から持たなければ苦しむことも無かったはずなのに、三人でと望んだ私のお願いを聞いてくれただけで悪いのは私だけで、私の名前を使って構わないのに立場が違(たが)ってしまったとそれもしなくて、居ることは分かっているのだから場所さえ分かればそれを伝えられれば良いのだからと、和を以て貴しと為すと二人が拾ってしまって二人で届けてくれた私の想いは、相槌でも二人が居ないと独り言なることを証明する。
ロストボールのように気付かれなければ上手く出来たはずなのだから、陰の努力が駄目だったことにどこ吹く風で押し通して続行、トラス構造である観天望気のチュートリアルから、今度こそ気付かれないようにしなければならないけれども、エゾツツジをギクシャクと嘆き悲しむだけだったあの時とは違って、VUCAの脈打つエンジンの原材料は私の生命だけで構わないから、蹲踞の構えで集成して敵役(かたきやく)の結党の産地ごと陥没させて、誰彼構わずに何人(なんぴと)たりとも一発アウトにはさせないと、かなぐり捨てた今ならリーサルウエポンを携えてきっといや必ず守れるはず。
彼奴のように好きになってもらわなくてもそれでいいなんて言えないから、心恋に好きでいることを許して欲しくて、それでもって好きになってもらえるようにするから、俺色に染めるからしばしお付き合いください、なんて計らいを滲み出して言っていたけれど、彼に好みに染まっている訳ではなくて、何でも卒なく出来てしまうということは特化した専門性が無いということで、ただ単にキャッチアンドリリースで自分の意思が無いだけで、この笑顔のワイパーに何を誤魔化して隠しているのかも悟らせずに、人工呼吸器不要のゲームオーバーまでのつなぎ役だから、どうしたらいいのか分からないから困ってしまって、寧ろこの状態が困っているかどうかも分からない。
抜糸された仮死の疎水への貫通路は遠雷の雨柱さえ手掘りで、取水して浸水する水車‐タンデム‐のプレーンな温かさは、放散痛‐ガタツキ‐に機能性神経障害を安置して、ドクターショッピングのワールドツアーの真実味の末に、抱き締められた時のようなゲンゲに居着くようになってはいけないし、全幅な温もりに後事を託すような真似をしておめおめと甘えてはいけないし、彼とは一緒に居たくないというか一緒に居てはいけない、私が傍に居れば彼は怒って泣いて酌んで、垂直避難も水平避難も危ぶまれるから適正化にジャンプ台を、私が居なくなれば落差は激減して彼は心から笑えるでしょう。
彼の末広がりなタイプは私とは正反対に歌い上げる琥珀糖で、メロディロードのキーストーンにざっと目を通してみても、何故彼が私を好きなのかが全くもって分からないけれど、立志伝中の彼にこれ以上は甘えられないから、心配させたくないから会いたくもないのは、会えば彼なら分かってしまうからだけれども、私の負の連鎖に彼を縛ってしまうのは駄目であるから、この名前の無い関係に白黒つけなければならなくて、危険を冒してでも戻って守りたくなるけれども、だけど大丈夫だからどんなモノでも研ぎ澄ませば刃になれるし、過程を並べ立てずに結果で語るタイプだけれども、私を離してはくれない記憶までミニマムな廃墟にする気はない。
女狐と時を同じくしてストーカー紛いかストーカーっぽいのかに、ジッと見られている気がするだけのフッと人の気配がするだけの、付きまとわれている気がするだけでどっと疲れている毎日で、それなのに彼と一緒にいる時はパッタリと感じないから、気がするだけの殺陣に一杯食わされるだけならまだしも、人の不幸は蜜の味的である仕事に対しての報復かもしれないから、そんなことの街録‐カラマツ‐はよくあることでも、高気圧の上昇気流から低気圧の下降気流へ犯行が進化しても、仮説の仮設はリサイズされずに活性酸素になるだけで、何もかも不透明の不定期である上に何の役にも立たない。
人定出来ない以上安直に相談するべきではないし、彼の負担にならないように別れを切り出すべきであるから、後輩が思う女狐の行動は他山の石の音源になって、彼にとっては私の存在が対岸の火事になればいいから、襲われるなら私一人の時がいいに決まっているから、奪三振を狙えるこの状況はきっと誰にとっても好都合で、誰の手も煩わせることはないノハナショウブは、何にも話さなくて良いし何でも話して良いという無償の愛はとうに品切れだから、誰も気付かないで守れないからと武士は食わねど高楊枝か、助けてと言って守りたいからと腹が減っては戦はできぬか。
彼がもはや日課と化している女狐を自宅まで送っている帰途、その同時刻私も一人で帰路についているとやはり感じる気配は、いつもと違ってだんだんと近付いて来るから、いよいよかと思って思い切り引き付けてから、バッと臨戦態勢で振り返れば驚いた顔の先輩で、どうやら聞き込み捜査からの直帰ついでに区域を巡回していて、私を見掛けて声を掛けようとして近付いて来たらしく、見返り美人にはなれずに損壊してしまったけれども、絶対的に置いておきたいから置いているわけではなくて、捨てるのが正しいのか置いてあるのが間違っているのか、さっぱり分からないから今のところ置いてあるだけのように、今更先輩に取り繕っても仕方が無いし無意味だから。
少々小話も小噺に立ち話をしていると先輩の背後に見えた黒い人影を、なんつったと咄嗟に先輩を払い除けるように押し退ければ、鈍く光る筋が目の前を素早く鋭く横切って、庇った為かもろに刃を受けてザックリいってしまったけれど、執刀のバッファゾーンからは距離を取ることに成功して、前線を預かるので後方支援にあたられたしとはせずに、転がりながらも受け身を取って体勢を立て直して、加勢に来ようとする先輩を逃げてくださいと手で制したら、円心仮説と重心仮説を基にして円仮説を組み立てて、疑獄に冷や汗でも二の轍を踏まないようにリトリーバル、二手三手先を読んだインクレディブルな機動力で円周の外へ。
先輩と一緒に居るのを見て勝手なプロファイリングで勝手に勘違いをして、へべれけにストーブで熱せられた色合いは真っ黒で、ミキサーにかけたソレはドロドロのペースト状になってしまって、万歩計を携えて寄せにいく推し活は本格化して飛び級、そんな顔させるつもりはなかったしちょっと巻き込んだだけなのに、むごい挑発をされたと思い込んで挑発仕返そうと、斯くして味わい深い隠遁も味わい尽くす隠匿もすっ飛ばして、もしゃもしゃした犯意で残滅をキックオフして、闇バイト的な弾丸行動の同一犯とは違って、盲点を付く柔軟な発想と一刺しの集中力は半端ないけれど、好奇な目には花を持たせるわけにはいかない。
気を引こうと後を追っていたけれど釣果はイマイチで、イメトレは完璧なはずなのに現実に仕分けられないから、目の前のサイフォンの原理で湧出した妄想の中の生き写しの私がその通りに動かない理由は、病態‐ウインドーショッピング‐を捏ね上げた閘門式の初期設定から間違っているからで、生息地の岸壁に奮発したドックを横付けしても、うれPとは微塵も思ってくれないから鉄床の車掌にも乗務員にもなれるわけがなくて、人生丸ごと自分のモノにしたいという豆腐メンタルならぬ鋼のメンタルで、研究対象である実験台に傷を付けてその隙間に無理矢理入り込んで居座ろうとする。
美人薄命だの希薄短命だの怒りを理解されない悔しさに叫んで喚いているだけで、大恥をかいたとしてもディベートにすらならないし、そんな奴からの最後通牒は私を食い殺すことみたいだけれどお体おいといくださいにあっち向いてホイと、きょとんとした顔で小首を傾げるようにそんな本末転倒な越境の出処進退には応えられないから、今までのことを話したら次はこれからのことを話そうかとか、どんなことでもいいから本音を話を聞かせて欲しいとか、話してくれて安心しても竿燈の隕石になれなくてもいいから、この滴り落ち続ける生命の灯火は大きな大きな貸しで、莫大で広範囲な利子を付けて返してもらうからと、先輩が止めるのも聞くことなく立ち回って未来を差し出したら過去を少しは取り戻せるのだろうか。
奴を押さえ込んで先輩が手錠を掛けたそのままにずれ込むことなく卒倒してしまった私は、すぐさま救急車で病院へ運ばれて捜査員は召集されて後輩も現着して現場検証を兼ねた後処理に、手配をさせてしまった先輩に申し訳が立たないし余計な始末を増やしてしまった後輩達にも申し訳ないし、処置やら輸血やら点滴やら手術やら私以外の周囲が忙しない中でも、先輩も後輩も彼に電話を掛け続けていたけれどもどれだけでもコール音しかしなくて、バリスタの雪解け水で淹れたサイフォンコーヒーで一息つくようなゆったりとした雰囲気を醸し出していて、フロントガラスを叩き割りたい衝動に駆られるぐらいに記録的な発信履歴と着信履歴が湯水のように溜まっていくだけ。
彼は女狐を送り終えてふと携帯電話を見れば不在着信の嵐でマナーモードな上にバイブレーションも切ってしまっていて、急いでかけ直そうとしたけれども留守番電話が入っているのに気が付いて再生してみれば私が襲われて救急車で運ばれたとあって、一気に血の気が引いてから一瞬で血が沸騰するような感覚に襲われ心臓がドクドクと脈を打って動悸と共に呼吸も乱れて、それでも何とか足を動かすのを急かして病院に急行すれば見慣れた人影があって、後輩が目を三角にして仁王立ちしながら何をしていたんだと、怒鳴った声に反応した先輩が後輩を宥めても彼に対しては当たりがキツくて、聴取を明日以降にしても入院は断固拒否してしまって堂々巡り、結論としては外来の経過観察で妥協したからちゃんと家まで送り届けるようにと、私に対する愛情深さに比例して彼に対しては冷酷無比に言い募って言い残して帰っていき、二人掛かりで重々と言われるまでもなくそうするけれども。
薄暗い静かな空間で椅子に体を預けて深い呼吸で彼の頭に浮かぶのは、いつかこうなることが分かっていた節があるということで、何か言いたそうなメッセージには気付いていたのにも関わらず、読み取ることは出来ても今よりも案件が落ち着いてから、ちゃんと時間を取って返したいからと思っていたから、些細ではあるけれどもズルズルと経ってしまって、何事に対しても○○だからと出来ない理由を探す人と、○○だけどと状況に応じてやれることを探す人、私が後者だということはあれからの事件を通して彼は理解していて、見当は付いているのに確証が無いことは話さないし口にもしないけれど、好きにしてとかそういうことを言わないで本気にするよ、そう彼が言ってもどうぞと軽々しく返す人でもある。
暫くして処置室のスライドドアが開けば治療が終わってまさに帰ろうとしている姿で、清潔なブラウスとは反対に手に持ったスーツは血で汚れ、いつもより全体的に随分とサチュレーションの下がった顔色に、怪我した箇所は包帯でぐるぐる巻でアームホルダーをプラス、彼が病院に居ること自体に不思議そうな顔で近付いて、最初に口にしたのは女狐を無事に送り届けたかどうかの確認をしてきて、約束を反故にしたことには一切触れなくて自分以外の話をするものだから、あれ以来本音を隠すことはしないし嘘を付くこともしない、その代わり誰の目にも明らかに自己犠牲を孕んでいる、彼は私がこういう性格なのだと改めて認識し理解する。
夜も更けて明日も仕事で女狐の付き添いもあるだろうからと、タクシーを呼んでもらったから一緒に帰らなくてもいいと言うけれど、強がりなんてことはなく全くの本心であることは間違いないけれど、半ば無理矢理車内へ乗り込んで私の家へと向かって、降りる時もそのままタクシーで帰ればいいというのを、いいからいいからと強制的に無視して家に上がり込めば、そういえばと初めて家に上がったことに気付いて見回せば、あの時はカモフラージュする為に寮住まいだったけれども、引き起こした出来事と本来の部署的に、役職を考えても仕事柄寝に帰るだけの生活感の無い部屋、住まう家も簡素さが目立つ築年数の随分古いアパートだ。
家にも着いてもう寝るだけだからとどこまででも彼のことしか心配しないから、利き腕を負傷してまともに動かせず日常生活は不便極まりないし、明日は早速外来を受診するのだから色々と準備もあるだろうし、出勤時間ギリギリまで居ると言い張って居座ろうとすれば、分かりましたと明らかに仕方がなさそうに承諾してくれたけれども、だったらと言って別れ話をし始めてしまうことに隠せない戸惑い、そりゃあタイプでもなんでもないし自分自身でも理由なんて分からない、でもだったらの意味も分からないし別れる理由も意味不明だし、一回落ち着こうと言っても冷静に考えての決論だからと取り付く島もなく、並べ立てるのは彼の利益ばかりで取り合ってくれない。
今までの行動がブーメランになって明確な否定が出来なくて、私は至極いつも通りなのに意識しているのは彼だけで、彼がカラフルな色を纏うから私にはモノクロよりも色が無くても構わない、なんて当然のように思っていそうでいや絶対的に思っていて、タイプだからといって好きとか付き合うとかに発展するかは不明だし、そもそも女狐を含めてこれまでと私に対する想いはまるで違うから、どうすれば良いのかどのようにすれば良いのか分からなくて、同じようには出来なくて一歩すら踏み出せなくて言い淀んでいると、私の息が荒く浅く小さくなっていることに気付いて、壁に倒れ込む寸前に抱き留めれば意識が朦朧としているから、まだ話の途中だという私にとりあえず一旦寝ようと言い含めて、布団に寝かせた私の寝顔を彼は穴が開くほど見詰めて、どんな言葉を綴ればどんな態度を示せば伝わるのかと思いを焦がす。
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708.線香花火の灯台
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僕と君の幼馴染な人生は初めから当たりが強くて、定点カメラで予選のサンパチマイクから、ベストスコアさえ左右対称の似た者同士だった。
孤島の型紙から世に放たれた難敵は潜伏期間を経てかける奇襲は、ダブりの山あいでそぞろに視界が狭まって、渾身の一撃ですっぽりと白目を剥いて金縛り。
不朽のヒットチャートはおでこを積載して登頂すれば、晴れがましさが衰えて調子が狂ってゆき、行き詰った緩解は圏外となり盤面が変わる。
真偽不明の原生林の樹海で肥大した病巣の病期は、スナップを効かせた飛距離で最盛期の厳罰に、ドライバーもメカニックも不在で根治は不可能。
暮れなずむ待合室で鑚の万国共通さに唇を噛んで、屋根裏から楽屋へ贋札の文献を瀬取りするのはゾンビ達で、底値の大儲けにも無味乾燥に砂を噛むよう。
御廟へ御霊供膳にそれでもロシアンセージはここが踏ん張り時と、前人未到のバンダナを巻いたフェニックスがこの野郎とのたうち回る。
正確無比な字幕‐ステノキャプショナー‐のハガキ職人から、いずれにせよいずれにしても逃げるは恥だが役に立つの声出しで、慎ましく組むフォーメーション。
経済的理由でやむなしだとか制度の不備だとか早期から野ざらしで、充分に受けることが出来ないだなんて不平等を何としてでも是正したい。
突発的でもどんな立場でも誰も彼もが平等に、助かる治療を受けられる体制を構築することが、僕と君みたいな人を増やさない為には何よりも先決だと実感したから。
骨肉の争いで他殺体になるような最高級品の割り勘にもなることが出来ずに、選考会のパフューマーから軽くポイっと排出されるだけだけれども。
もりもりと生えた水草にズッコケて金を溶かされて暗雲立ち込めてしまっても、サブカルにダイブするような野生児なんだからへっちゃらと。
投身自殺は床下収納へ盛んな泣き言ごと離開して、スケールアップしたモンステラを指折り数えて、猫の前の鼠のセル画へジオメトリーを。
二人で約束した二人の夢を二人で目指せば、向いていく方向を重ね無くても最初から同じだから、激戦区でも百戦錬磨のブルームになれるだろうと思っていた。
ある日郵便ポストに入っていたチラシ広告の切れ端の裏に、君の筆跡で一言『バイバイ』と書き残されていた、皮目の密集の中を這いつくばるような新事実。
他の物に紛れてしまいそうなくらいの小ささなのに、甲種に見付けられて斉一性の証跡を拝受出来たのは、PFCバランスの源流は僕の必然か君の偶然か。
急いで君の家に行っても既にもぬけの殻で、学校に問い合わせても保護者の都合で引っ越したとだけで、校区が違うことをこんなに悔やんだことはない。
一枚の小さな紙片と一人では大きすぎる夢と、君が授業で作って僕に御守り‐アミュレット‐としてくれた、君オリジナルでお揃いのミサンガだけが僕に残った。
君が僕の前から居なくなっても僕が君を見失っても、やりたいこともやるべきことも目指すのに二言はないから、生涯の荷台にあるマインドフルネスに変わりはない。
バイオサイコソーシャルモデルだって自家製で、レビューもハゲイトウのトリックアートをデリバリーして、A級の永久であるサンスベリアの最奥へと進む。
片親を亡くした小学生、君を失くした中学生、時間を無くした高校生、奨学金でやっとスタート位置に立てた大学生、多くの人の目に触れ五分五分を識った研修医。
胸が張り裂けそうな人生を左右したのは粗製から蘇生した人生で、今や医師免許を持つ官僚までになった練磨の両天秤は、口の堅い非行を飛び移りながら意を承く。
階層と照らし合わされた選択科目の連続で、どんな道を選んでも全てが正しくて全てが間違っているから、大なり小なりの後悔はあるだろう。
それでもこの巨悪の怨念‐ビッグマーケット‐に、試飲‐クロスオーバー‐を出品‐セレクション‐した身としては、引き千切られて大コケにするわけにはいかない。
対立してしまうのは同じ思いでもやり方が違うからなんていうのは、所詮低解像度ナンバー推定プログラム‐プレスリー‐の夢物語に過ぎない。
知育‐オシント‐である耳の痛い正しいことも耳障りの良い綺麗事も、どちらも人の数だけ個人差のある辛さと個体差のある甘さのリスティング。
アナログ回線とデジタル回線の幹部は、熱割れのバーストをスライドして完コピ、実益のタダ乗りに塑性の実害を兼ね備えてしまっている。
Detail(ディテール)で詳細な設定をして、Authorize(オーソライズ)にて権威づけをプラス、Pride(プライド)には自尊心をくすぐって、Limit(リミット)を煽り時間に制限をかければ、満員御礼のDAPL(ダップル)が完成。
クラックさえそのままで良いと一見寄り添っているように見えていても、その実ガタガタとは言わずにグッジョブと、レスピレーターごと完全に切り捨てている。
バイタルが浮き上がることがないダイビングをごゆっくりとなんて、網に掛かったコントロールドデリバリーの看病するフリをしているだけ。
いくら本当のことでも言って良いことと悪いことがあるからと、セラピスト気取りで嘘が無いことを確かめるためにフェスティバルを開催。
河川敷で燻されて硬度を増した柱状節理へ人気に火がついても、キャットミントぐるみであるならばうめきすめく放水は、降り濡つ碧落の世間ずれでしかない。
金目のものには懲り懲りで偉い立場に雁字搦めでも、皆の欲しいモノの間にあって支えるのが役目であり、役割でもある調整役の僕だから。
会社の金に手を付けるなんて王道のポートフォリオではなく、鬼が出るか蛇が出るか予想がつかないストーリーを作って、知り得ない依願退職へと相手を追い詰めていく。
そんなクリエイター泣かせの手の込んだゲームであっても、既に同じ船‐ナラティブ‐に乗っているのだから、一人だけ我先にと降りるなんて許されない。
博物館のように飾って置いてあることに満足するのでなく、殺人的な口径の技芸でも生きているモノにしなければ、逆輸入‐モデルガン‐でも意味がないから。
理想に酔っていても書き出して整理をすればデータになるから、ミクロからマクロへ森を意識しながら木を見るように、大所帯の乗降のもぎりに従事する。
ふむふむとインテグリティのコンダクターはお調べに立ち合って、口が立つ達者な奴等をぼかしてぼやかして、シアノアクリレートを湯たんぽの如く火鉢に焚べて。
そのまったりとした総称の裏でアマダスは片足立ちになりながらも、こっそりと法整備を厳罰化する為の秘密兵器を、マジックミラーの如く実利を重ねていく。
グランピングが併設されたキャンプ場で土砂崩れが発生して、救命救急医療チームの一人として臨場すれば、何故だか代議士が居るもんだから、周りの迷惑を考えれば相手をせざるを得ない。
ワンダフルな賞金首はサイドメニューさえ晩餐会に貴賓室を要求して、乗り過ごしたからと踏切の警告音にも隠し技で、スラロームのクランクをふいごで変則。
寝たふりで詰め掛けた人達から取り上げるような、殺さなければ殴っても半殺しでも何してもいいというような、ダサい小悪党の落選の落成を溶接。
ウィメン・アンド・チルドレン・ファーストの行動規範など、ノリに乗ってもなんてこったとスプロール現象になるだけだから、重連のATCは抜き取って選奨を受任。
目の色を変えて目くじらを立てながら下手(したて)にしか出れない、僕にしか聞こえない声で僕をガン見しながら、レピーターをお好きにどうぞと有形力の行使をする。
見るからに軽症なのに最優先だとかいじらしいおねだりにも満たない、ずんぐりむっくりに蟹の念仏での風圧で言うあたり、悪意に満ちた人間の器の大きさが知れる。
それでも僕は医師であるから分け隔てなく処置を施して見送り、着いてからも数回崩落が起きているから被害が広がらないように、規模が大きくならないように手早く素早く丁寧に。
骨伝導タイプのヘッドセットから奥まった崖の方にも負傷者が数人居るという通話が入って、向かえば全員自力で歩ける軽症者ばかりだったから、救助者の状態に安堵していれば何やら騒がしい。
どうやらもう一人崖近くに救助者が居るようだけれど、レスキュー隊や先着していた他の医師からどういう訳か知らないけれど、逃げているらしい。
抱き枕を抱えて自分だけのシナリオをやり遂げる必要があるなんていう、お言葉に甘えた凝り性のメンヘラな自殺志願者じゃあるまいし。
災害救助の現場で対応可能な人員や設備があるのにも関わらず、処置を拒否するなんてちらほらと一風変わっていたとしても考えられない。
どんどん危険地帯へ突き進み対策本部から遠ざかる、バイリンガルにこすっても会話も談話も通じなくて、とにかく加勢というか補助というか助力にラジャーと向かう。
ああ、こんなスリル満点に万全を期すようなところで再会を果たすなんて、リミッターの外れた運命の赤い糸には小馬鹿以上に皮肉を言いたい。
君を見掛けたのは偶然で高級なそういう店先で、可愛らしいマフラーではなくブランドもののスカーフに、コンサートかディスコ風の派手なドレス。
どんな事情があってどんな今までだったのか分からないし想像もつかないけれど、僕の記憶とダビングされたように見慣れた同じサフィールな君。
何一つ変わっていないハートフルな君の笑顔に、シェードの波長が合って見初めたあの頃に帰りたくなって、煙たがられても何だか人目も憚らずに泣きたくなる。
敵対する派閥が多く訪れる店に居る君とコンタクトを取ることに躊躇して、上り詰める途中の立場的に公言出来ないことを言い訳にして。
今更どんな顔をしてどんな言葉を掛けたら良いか悪いかも分からなくて、遠くの陰から見詰めるだけに詫びを入れなければならないだろう。
すっからかんの頭でも状況は分かっているけれども、アブストラクトでさえ心の整理がまったく追い付いていかなくて、このレイアウトにはまるソケットを見付けられない。
君の名を無意識に呟いた僕に「知り合いですか」と聞かれたけれど、関係性も君の素性すら直ぐには答えられなくて答え方にも迷ってしまう。
息が合ったように目が合ってしまって君が僕を認識してしまったから、夜遊びの夜回りへの正面衝突を避けるように、君は更に後ずさって僕から総延長の距離を取る。
あと数メートルで崖の斜面に到達してしまうギリギリで、空気抵抗がホイップのような送風であってもキチキチだから、あそこから踏み外せば転げ落ちるなんて可愛いものではない。
僕と君との関係性が分からなくても腕の立つ人達ばかりが集まった精鋭だから、何とかして防波堤となって何としてでも君を助けたいと乞い願う。
もういい、もういいんだ、止めてくれ、もう充分だから、そう心の中で叫んでいるうちに「結婚しよう」と口をついて出た言葉は舌禍になるのか。
周囲が一瞬シンと静まり返ってから密やかなどよめきが耳に入り、痛いほどの視線がにじり寄りながら集まって来て空気が重くなっていく。
それを気にもかけていないように構わずに君の名を呼んで、言いくるめるように脅迫まがいのプロポーズで、ダイスさえ完全手動のゲートキーパーになる。
この先のゆくゆくのことさえ自分でも整理出来ていないことを話しても、もちろんいきなり籍を入れようだなんてことも、聞かされた君に混乱を招くだけだろう。
直視していることだけで客観視出来ていないことも分かっているし、確実な未来を約束することが出来ないくせに、ここへ来ての決断の速さに僕自身も驚きを隠せない。
けれど目の前の君を助けられなくて何が医者だと、君が助かる為の対話ではなく僕が助けたい為の説得であっても、君のヒストリーに帰り支度の署名をなんて追随出来ない。
それでも君は首を縦にではなく横に振って治療も救助も誰も彼も何もかも拒否して、僕の立場と将来の出世を気にして二つ返事をしてくれない。
その内に呼吸が浅くなって絶え絶えに保っていたであろう意識が消失しかけたのか、すぐ傍の木にもたれ掛かるようにして座り込んでしまった。
直ぐ様君に駆け寄れば見るからに危ない状況なんてものではなくて、君の意志に反していてもこの場でこの手を止める気はさらさら無いから。
長くなくてもどんなにこれからが無くてもその時まで人生は続いていくから、赤電車の回送で立ち消えの脱会‐スクラップ‐を、GOD bless youと受忍なんて到底出来ないから。
それなのに君は泣きじゃくるように「邪魔になりたくない」と繰り返して、声すら出せなくなっているのに僕の手を止めようと腕を掴もうとしている。
後ろ暗い利害関係に近しい君との関係が知れ渡れば癒着を疑われかねないから、君は僕には公私混同をして欲しくなかったのかもしれない。
けれども君の存在は僕のブースターのようにすべての活力にはなっても、僕が描きたいチャートをゆく上での邪魔になんて絶対にならないのに。
金儲けの為だけの都合の良い道具にしか過ぎないことは理解しているし、口を滑らせたところでその権限があってそれを持った人間しか出来ないから。
自分が僕の傍に居れば弱みにつけ込まれると身を挺するように、感情も理性も一繋ぎにその一言をリピートすることで片付けて身を引こうとする。
良い思い出でも苦い思い出でもそれはクレオメな過去でしかなくて、抜け殻のようにポーションで一人遊びなんかしないで、ベランダ越しに顔を見られれば満足なんてもう思えないから。
もらい泣きを誘うパフュームに眉を寄せながらもグッと堪えて、君の話を君の声を君の考えを君の心を聞かせてと、僕が交わしたいのは君だからと希(こいねが)う。
後処理と後始末と後片付けの三拍子揃ったアフターフォローに追われて、君とこれまでとこれからの話をするどころか碌に会うことも出来ていない。
けれど順調に回復に向かっているとの経過だけは欠かさずに受けているし、夢に近付く大きな一歩も君が嬉しそうな顔をしていたと聞くだけで充分だ。
入院での治療も最終段階であとは外来でと通院に切り替えを決めて、それに合わせて調整して取った休暇の為の残務整理を終えて一安心。
と思ったけれど君が病院から忽然と姿を消したと連絡を受けたのは、退院をまさに明日に控え方々の調整をすべて完了させたその日だった。
『治療費は必ず払います』というメモは間違いなく君の筆跡で、書き残されているその光景はあの時をリプレイするかのようなジューシーさ。
唯一あの時の学習性無力感とは違うと言うことが出来る点は、敵の敵は味方になるような自由研究のテーマが添えられていたということだ。
君のお陰でコイントスに前乗りで恩を売ることが出来たから、ボトルシップに込めた夢を六花のように拡げられる目処を付けることも出来た。
それから程なくして不定期にかつ住所不定で現金書留で送ってくる律儀さと、送り主を架空にする慎重さと筆跡で確信出来る迂闊さを兼ね備えている。
もう十分すぎるほどに払い終わっているのは分かっているはずなのに、必ず戻って来るとも言えないのにその郵便が途切れることはない。
拒否しないのは拒否出来ないのは拒否したくないのはこの世界のどこかに、別々のボックス席に座っているだけで君が居て繋がっている感じがするから。
病院ではなく僕に送ってくるのはバイバイと書いていなかったのは、ボトルネックなあの時と違って戻って来る意思があると感じたから。
こんなに楽しいのに何故泣けてくるかなんて起承転結はドラマチックに、ドラマにはならない何でもない日でも全くの同じ日にはならないから。
あの現場では君には本気に見えなかったかもしれないけれど、あの時からいや出会った最初から僕の君への気持ちは一ミリも変わっていない。
あの時も今もいやいや出会った時から本気でしかないのだから、手段でも目的でもない結婚しようの言葉をサボテンとともに君に言いたい。
僕の人生には君がもう既に居て君の人生にも僕が居て欲しくて、同じ時代を生きて隣で一緒に日常の延長を続けて、駆け抜けたいと思うほどには欲張りになったよ。
あれから何年経ったかなんていうのはもう数えるのはとうの昔に止めて、夢の数歩ではあるけれどもリードを引き着実に実現を積み重ねてきた。
クレーンで吊り上げた水洗の風車はスクワットをする気球になって、生垣と街路樹が多い街路は飛行船で擦過してプレス、出回る座敷の販路はハンズフリーになれている。
まだまだ若輩者と言われてしまうけれどもお払い箱とは言われないように、人目を忍ばず避けないタイブレークの繁殖力を発揮していく。
どんなに完璧にしたと思ってもどこかにはああしたいこうしたいと、手直しが出てくるものだから指揮を取る立場までになることが出来ても、まだまだ夢の欲は尽きない。
笑いを取るのではなく笑われたとならないように、大ぼらを吹くみたいなくだらないのに面白く笑えるのは、そんな気も無かったのに思わず笑ってしまうのは。
ご挨拶に伺っただけなんて言わずにちゃんと緻密に考えているからで、転ばぬ先の杖を含めた的確な指令は確実な情報収集から生まれるから。
最後の手段なんて最後まで隠す気なんてさらさらないから、たとえけしからんことでも今出来ることは全部やってからのボトルキャップで構わない。
今回の臨場先の現場は雑居ビルを含めた大型複合商業施設で、対策本部の指揮系統を一任されるというオールインクルーシブな大役まで仰せつかう。
刻一刻と変わる状況と次々と集まってくる様々な情報を、一手に集約して一挙に整理して一身に分析しながら、一言一句漏らさず現場と後方支援に落とし込む。
そんな折に現場から入ってきた情報は閉じ込められて救助を待っている人達の中に、休暇中であった仲間の一人と一緒に君が居るということ。
また救助現場で再会なんて引き合わせて引き会わせられたと、そんな皮肉を言う前にあの時のような公私混同を衷心よりしたくはなかった。
普段は我関せずなのに成功したらしたで失敗したらしたで、前例の無いはみ出し者のブレイクアウトには批判の嵐でも、証明したかったから誰よりも君に。
指揮現場支援が三位一体となって救助者の誰一人も取りこぼさずに、見送ることが出来たことにはガッツポーズをしていいと我ながら思う。
全てが落ち着いてやっと楽に呼吸が出来ると一度だけ深呼吸をして、長いようで短かった一日を一瞬だけ振り返って、対策本部から庁舎へと帰ろうとすれば君が居た。
あの時みたく固まらずに驚かないでいられるのはメモに込められたであろう、君の意思を信じることが出来て君との関係の答え方を僕はもう迷わないから。
最終的な撤収作業としての居残り組に差し入れをする職員の車に乗せてもらって、運ばれた病院からここまで連れてきてもらったらしい。
その日に限って都合良く完璧なアリバイがあるということは逆を言えば、狙ってその日を選んで合わせている用意周到さのような感覚が否めない。
全てのやり取りを聞いていた後方支援の上位者の入知恵だろうと、そう予想がつくのは恩を売った相手がその先にも含まれているからだ。
僕の指揮と優秀な仲間達のおかげで入院にならずに済んだと言った君は、前よりは痛々しさが無くなっているのにはひとまず安心出来た。
「可愛いってちょっとバズっている」そういって君が見せてくれたのは、僕にくれた君オリジナルのミサンガをモチーフにしているチャームだ。
ちょっと前まではブルーオーシャンだったのがここ最近、レッドオーシャンになりつつある市場で、経歴は関係無いから可能性も含めてインフィニティであるのは間違いない。
そういえば仲間内の一人が最近人気が出てきて流行っていると言っていて、似ているとは思ったけれどもまさかそれが同一の本人だったとは。
「いつか会えたらいいなと思っていた」と君が言った希望の言葉は、僕が感じ取ったと思いたかった君の意思と一致した、そのことに驚きと同時に嬉しさが増してくる。
叶えようと焦がれながら描いた夢の一端をあの時病院で見ることが出来て、夢が叶ったと思ったから夢を叶えた僕と、昔のように傍に胸を張って隣に居たかった。
けれど君自身は足掻きながらもターンが回ってこなくて夢から堕ちてしまって、出来ると分かっているからどんな方法であってもあえて指摘はしなかった。
僕の信念は君の誇りと僕の経歴やひいては二人で目指そうとした、奥底に眠る夢の邪魔になってしまうそんな自分が心底嫌で、それだけは何としてでも避けたかった。
離れることを決めたのは僕のためではなくて自分のためだったんだと、こんな時でさえも僕のおかげであって君は自分のせいなんだからと言う。
君の大丈夫は当てにならないと言っても当てにしてとそんな疑いの目で見ないでと、息を止めても鼓動は止まらないのだから、無理にでも止めていればなんて思えなかった。
「私と結婚してくれませんか」なんて目を細めて微笑む居心地の良い笑顔も、瞳に籠もって雄弁に物語る愛情深さも最初から何一つ変わらない。
君が僕のために作り出した時間を僕が君のために使うことに何の問題も無いのだけれども、真っ直ぐに僕を見てくれるものだから直ぐには答えられなくて、君に応えたいからこそ答え方にも迷ってしまったんだ。
◆
709.ソサエティなど雑草で構わない
◆
俺達は良い家族だったか?
良いか悪いかなんて私には分からない
嘯いているつもりは毛頭ない
端ではあったけれども端っこではなかったマタニティ
私にとって家族の基準は貴方達だから
血縁関係なんて遥か彼方のありもしない天から
オフィサー気取りで一方的に送り付けられた
往復ハガキにはなり得ない手紙でしかないのだから
大切な人ならばその関係性の名前はどうでもいい
大切な関係が立ち漕ぎをしたって分からないから
愛情のモノマネをしながら私は国を守っているけれど
組織に必要とされなくなるのが定年ならば
社会に必要とされなくなるのが寿命ならば
システムのメンテナンスと切り替えで
セキュリティが切れる隙間を狙うように
確実にシロだと分かればそれは遠回りではなく
着実にクロを絞り込めるのだから
何者でもない個人に必要とされるだけでいい
だけど少なくとも判断基準を委ねて求める程の存在に
私がなっているみたいだから良い方なんじゃない?
◆
710.満身創痍の勇姿
◆
シックで食欲旺盛な通(つう)のフリが上手くいっていると油断して
ゲストハウスでもカプセルホテルでもない宇宙船に倣う揮発な摩天楼
コクピットからキャビンまで全て鏡張りの対数螺旋のマルチデバイス
視覚と聴覚と嗅覚と触覚と味覚の五感をビシバシと慢性的に刺激する
持続性の手返しと高性能な機能性を持つ接地面が甚大な人感センサー
外在の準拠との温度差を埋めようとしてパーカーのフードを被っても
植木鉢の観葉植物さえ流体力学的に安全設計ではないと学者も博士も
ヘリコプターにヘリポートも不要で若人に瞬間移動出来る空間であり
漁港‐ブルペン‐の中洲から街頭演説で同率のかわりばんこでも満席
暖簾をくぐる茶屋街の木虫籠より初出しから良い回転率で舌鋒は酸化
生まれ持った生まれたままのビジュはスクロール的に商品化されても
快速も鈍行も各駅停車のタッチパネルで楽しめる二人羽織の人工透析
瞬間接着たる所以は守護霊を思わせる福の神の薫香を煮詰め煮しめて
手塩にかけて育ててきた選りすぐりとディープなシャンパンファイト
取って置きと見繕われた世渡り上手感満載であるこの勝場(せりば)
露天風呂の浴衣と天守閣の着物でその日のうちに日を跨いで遊覧飛行
先を急ぐおまじないの引きが強過ぎて一夜を明かしそうな緊急事態は
気兼ね無い目合いに笑い事ではない心臓破りは目に毒も気を紛らわせ
列挙にふりかけられ癖になりそうな余波が決壊を誘う煙幕を振り払い
ブラックマーケットに打検であってもベタ凪に実像を捕獲しなければ
険しい曲芸‐ギャンブラー‐でもノーチェンジでブザービートの体幹
サシ飲みの支道から急接近すれば本道の物語性はキャニオンを切通し
看破されたことに動揺しても取り出した刃物を猫じゃらしとするから
取り上げて止めさせようと手を掴めば勢い良く向けられたものだから
避けることは出来たけれどもワンプロのように揉み合って足も縺れて
ステイと待つこともないまま何かに滑ったのを見逃さずに押し倒され
重力にも逆らうことなくむしろ加味されて小走りどころか思いっきり
最早刺すことなく貫こうとして目の前に迫る刃先はさながらサミング
高砂の古き良き縁戚の枠組みさえ絶筆にブロックして人攫いで寒暖差
引き継がされた負の遺産‐システムエラー‐に深入りするしかなくて
楽しめるとか楽しいとかではなくあえて楽しむと思い込むしかなくて
股が緩いサウンドホールと響板のFホールはカンフィーな名人芸にて
ぐうたらな弦であってもピューレを引き出せる腕前を持っているから
その乳茸刺なカリキュラムに知的好奇心が擽られサブスクの取引成立
住み分けた身分社会には札束ビンタの婚外交渉‐オープンマリッジ‐
じっとりと待ち構えたら血管を浮き立たせたシリンダーをトルネード
1on1で待ち侘びた見せ合いの初体験は健闘を祈るの心配をよそに
お主も悪よのぉと悪代官様のマントルから胸を借りた華奢な小娘への
ファーストドリンクは往復ビンタのスキンケアでまるで専門店のよう
異彩を放つ黄金世代のCANインベーダーは増設の上掛け持ちしても
千差万別で十人十色のデットスペースにシンデレラフィットして完売
オールスターで手分けして待ち構えてみても許可取りすら難しいのは
烏合の衆ではサービス問題もビンディングは仏作って魂入れずの横着
御隠居すら食が細くなってブラッシングさえ静止画の放心状態で撃沈
ブティックのワークシェアリングはショッパーが自信喪失で赤っ恥に
待ちくたびれて既刊の引き出物さえ持ち逃げして離合集散の雲集霧散
敬意漸減の法則で多頭飼育崩壊でもめくるめくに引く手あまたなのは
覇権の戦国時代に際し時代考証の清書がいたく丁寧で芸が細かいから
グランドチャンピオンとしてタイトルを獲らされながらじわじわ昇格
建玉は戻れなくなる代わりにそれなりのポジションへと利食いされる
深酒のカルデラから助けようとしてくれた者達が過去にもいたけれど
逆らうように逃れたいと逃げようとするだけで雲行きが怪しくなって
ナンバ歩きであっても不確定要素を機に邪気を孕んだ起爆スイッチに
チェックアウトしようにも秘結でぶっ倒れても生き返ってしまったら
そう思うと恐怖でしかないから正体不明になるまで長尺に刺しまくり
フュージティブとなって逃亡できる時間を真っ先に確保したとしても
下書きから印字まで償いを否決して掘り出しもせず償おうともしない
有用なフリーランスの英傑なフリーライターの七つ道具の花言葉ごと
木箱へと放り込んで釘打ちして隠しトラックと同じように行動すれば
機密情報のイニシャルごとぶっ潰せて更には飲まざるを得なく出来る
他の関係無い誰かが傷付くだけだとどこまででも追い掛けてくるから
あれだけの火加減で興奮させてしまっては何をするか分からないから
血が騒ぎ大気の状態も不安定になりナブラで電池切れを誘われる前に
なすがままに話を合わせえずきながらも話をして冷静‐クーリング‐
マイクロウェーブからコールドチェーンにて霜が降りる程のチルドへ
落とした評価は積み直ししながら増額した結果で返すと頼み込むだけ
何も知らないままいれば生きているだけで笑えるとも思えないけれど
よーいドンのピストルから誰も彼もが指を差して寝泊まりで遮っては
魔性な夢が去った後に残る読後感は抑留拘禁でひとつ屋根の下の現実
ギャルでもギャル男でもチーマーでも猛獣でさえもバイブスを上げて
ワンランク上にありつきたいと遊び半分の腹ぺこにハンターが餌付け
カラオケボックスのデンモクで時間の許す限りディスカバーして捕食
調合にこれ以上関わらない方がいいとこういう生き方しか出来なくて
陰影の代わりはいくらでもいるとそういう風な言い方しか出来なくて
マロリーワイス症候群に良かれと思い今のままで良いのかと問うても
現状すら逆回転で上手くいっていないのはあんなことを言ったからと
言ったところで意味が無いし言わなくて済むなら言いたくもないから
警察官だと見抜いていてもそれが望んだ通りに叶った試しがないから
別の誰かのデスティネーションがWhere are the goods.とスピンして
キューを出されてしまうなら話は変わるけれどもとマシンガントーク
コインロッカーの仕掛人となってチャンネルに最注目させるしかない
邪魔者は排除しろと受けた命令に従っているだけなのに苦しそうな顔
細則までドライアイなのに犯す罪悪感から抜け出せなくて線状降水帯
平気な顔をしては事もなげなフリすら出来ない程に隠し切れていない
人道的な真理をかぶりつきで見られたから両面刺繍の間を取り持つと
自然派故に何も知らせずにのしのしとその動向を見極める時期は過ぎ
間を取るように釘を刺して単体に骨太の押忍も信頼しているからこそ
側転のバク転からバク宙へとブイブイ言わせて遠ざけられないように
メタセコイアの育ちが出て限定的な役割分担を自己判断してしまって
せかせか乱獲させられた商戦の凡ミスで悲しい結果にならないように
裾野に注意を呼びかける程度には認められていると理解しているから
後で長回しでこってり絞られると分かっていても主体的に決定付ける
潜入捜査官だという二刀流をバラして親玉ごと一網打尽にしたいから
おめかししてゴン攻めに出征して得度の復員の為に協力をふっかける
大意に絶句するのと同時にどう反応して良いのか分からずに困った顔
ぽかんとごたつかれても持久力のある零か百か思考の台風の目だから
傷付いて笑うボンクラの強さとか守るために奪うバカタレの正義とか
奥ゆかしい癇癪玉の気持ちがちっとばかりは分からなくもないけれど
えげつないけだるさのひび割れであったとしてもこれから先の表具の
お召し物である歩法の彩色を節々にどう着色しながら生きていくかは
湯もみをしながら再録‐クルージング‐する張本人でもある自分次第
歯抜けな隘路‐インデレクト‐でも絶対にやり直せるから諦めないで
癖(へき)で勝手に無理‐インポッシブル‐なんだと決め付けないで
出来る限り出来ることは何でもするからという絶世のスタイリッシュ
その欠片なんて微塵もないけれど迫力満点で力が湧くガチンコな言葉
即断即決即実行の物議を醸す原始的な駄犬で構わないパワープレイで
スパーンとぶった切るようなパンチ力に心を打たれて期待外れに命中
押しに強いクリスマスローズは押しに弱くてもアスチルベと変われる
騙すつもりが騙されてミイラ取りがミイラになっているのではないか
能弁な人誑しの貧欲でわざとらしい二部制なのではないかと注意事項
寝てしまったら朝になって起きなくてはいけなくなるから寝たくない
お見事な募集中に対して違和感は無いとしてもいや違和感しか無いと
一様に光ファイバーの一時停止をつらつらと重ねられてもばっちこい
並行坑道の群狼作戦に測候所‐ファームウェア‐はグリーンバックで
それでいて岩室の電線‐ワイヤーハーネス‐の養生はハーフラップに
期待した方が負けのショッキングバラッドの台所事情は溜金のたまり
ブルーカラー未経験のホワイトカラー一筋でも踏み板に甘んじていて
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欠陥を減量出来るこのリールは人命救助‐シンデレラ・ストーリー‐
パヤオを手売りしてぼろ儲けの倍倍ゲームを総嘗めへとトローリング
そう思わせておいてもったいぶるように係留して搾り取ると話し込む
雪辱を果たし屈辱を晴らす為には言い出しっぺが伏在した史跡が必須
演出をつけたことに対して何をするか分からないから様子を見に来た
エース級の単独トップが色濃く打ち出した水をあける相互補完の製法
総組の重機から送球を端折ったブロック構造に説明過多の打倒な造船
差し障りのある不正利用に雪崩を打っても持ち越し包括承継を再利用
売れ残った打てば響く教え子のひな壇は食べ歩いてアンチエイジング
目新しいホットスナックを製造し食欲増進に名乗りを上げて仲間入り
伸び悩むこともしめたものと真実相当性を瞬く間にやってのけそうで
アルキメデスの原理が解禁されても進水で取り外されるのではないか
移動式の一枚板へ搭乗に船殻の耐久性と浮力の滲出性はと激論の応戦
スペクターなシリコーンであるから印税での移住など考えていないし
山を張る猫の目天気でも引き摺り下ろして蜻蛉返りにはさせないから
レアキャラトップ賞を廃盤にジオラマの空中戦を廃番に続編は長持に
首根っこを掴む多角的な施策‐オペレーション‐は送信取消さえ暗譜
罠に嵌められた風を装われて追い詰められるのがデフォなのは噴飯物
立ち入り禁止ははっちゃけて何をするにも食べ損ねることはないから
エアロなスライディングステップにてレンジャーなライダー気取りで
そっちで作り上げたこっちに不利なルールの中で無様に負けてやんの
朝採りの食リポと朝採れの食レポのスクリーンタイムは再放送される
向いていないのも挑戦して失敗した結果があるからこそ分かったこと
親衛隊の愛唱歌に忘恩のシンガーソングライターには何も言うまいと
証拠のメモリーカードは踏み潰されてサムズアップからサムズダウン
射的‐ダーツ‐の的にデコピンをしたりリンボーダンスを躍らせたり
レーザーポインターで縄跳びをしたり吊り下げてビリヤードをしたり
相貌‐ルッキズム‐は白鍵の玉乗りか黒鍵のくす玉かの博打をしたり
師事は教壇から防音‐パントマイム‐でヴィシソワーズをデトックス
ゾクッとするエノコログサのリターンマッチに鼻歌‐カンツォーネ‐
パブリックビューイングのオーディオからは昔話に花が咲きまくる程
でろでろで青い顔をしたパフォーマーの慣れ親しんだパーカッション
見覚えのある物損はしゃーなし精神的苦痛は性格の不一致で練り込む
出来立てほやほやの試作品から持ち上がりカルテも顔の怖い人預かり
身辺警護ごとレーザービームで貫けと命令されるリガード・リングが
恋文‐セレナーデ‐とソフトタッチな口付けを残して向ける先は自分
顔のうるさい人が人類みな兄弟と言ってもグリーンフラッシュな愛恋
おあいこにすらデュースな丘稜から打鍵の工芸品を出させる為の膝枕
肝を冷やす危ない時でも打つ手が無くなっても下がっていろと言って
フィードの一番前に立ってばらけても皆を守れる位置に陣取っていて
淀んで澱んだこの甘い考えごと先走っても頭を悩ませながら守る為に
ポップな賭けに出てもそのスプラウトで間違いなく守られるけれども
周囲にどれだけの被害が出るのか想像すらつかない逆に危険な命綱で
インテレクトでもエキセントリックでもないのに泣き腫らした番付を
サイクロンやハリケーンにも劣らないスピードと威力でひっくり返し
火事場の馬鹿力で拘束をぶち破って引き千切って行幸に飛び込んだら
新たな一面を知るスタイリングを寸前で止めるエアインのホームイン
矢も盾もたまらないからお邪魔しますとか恐れ入りますとか無いまま
うおぉーと雄叫びを上げながらバッタバッタと彫刻を砂絵にしていく
ライトアップされた高架下からのパノラマビューはスタントマン超え
二十四節気型に即完させていれば書き割りに押っ放り出されたままの
ませた絶品‐メメント・モリ‐がショボンへピンセットで雨粒を内需
無作法なネットサーフィンなどはせずに思慕へ一点集中であったから
七夕の短冊は黒や紫に白の添加と青や緑に黄の累加で混色された赤に
メリットは分からないけれどもデメリットが見当たらないと洒々落々
和風月名の行雲水流は筒音‐ガンショット‐と共に柱に激突して一服
足止めを食らっていたはずなのに駆け付けた援軍と二拠点で全員逮捕
あとはこちらで全て引き受けるからお連れしろと納涼を水浴びに奨励
身を案じられれば頭が少しクラクラするだけで怪我は無いと掠れた声
助かったけれども携帯は捨てられ連絡が取れなかったのにも関わらず
何故と不思議がれば麦わら帽子の径間から盗み見て覚えていた連絡先
隙を見てモジュラージャックの代替に慫慂するメッセを巻きにて送信
ダッシュ記号のツーカーもモスキート音のトレッドでプラスしたから
象牙の塔‐ゴーストタウン‐の最前列が雨模様であっても功を奏した
恩知らずとわらわらヤジを飛ばしてクイズ形式に及び腰を沸々と誘引
観念的競合を保定して時代背景すら証拠は無いからと余裕をぶっこき
ホープなアイテムの保有を確実視して敵意帰属バイアスだと省令する
ビクッと肩を震わせて縮こまる身体と怯えて強張る顔は青ざめていく
遮るようにスーツの上着を震える肩に掛けてしゃがんで目線を合わせ
監獄へとぶち込んで二度と近付けさせないから安心しろと強圧を弾圧
しかしながら存在が漏洩し意図も悟られていたなら証拠は既に移動済
悔しさを滲ませながら証拠の在処を探そうと切り替えに食指が動けば
会話からある程度予想はついているけれどそんな寄り道は必要無いと
鎮守が掛けてくれたスーツの上着の内ポケットを指し示して取り出す
硬券に恵みの雨でもダミーなど用意している暇なんて無かったと驚く
踏み潰されたのは正真正銘本物だけれど図鑑のようなダミーではない
いつか摘発して逮捕しに来てくれると信じて常々コピーを取っていた
一部でも一割でも無くほぼ九割方アウトな闇を新しく生み出し続けて
ホワイト案件と切り抜きにありとあらゆる汚い手を使って罪を隠す度
あったはずの未来は塗り潰され断ち切られ閉ざされ誰かが不幸になる
天罰が下るならまったく関係の無い他の人を巻き込まないようにして
コストカットに死にたくて深みを出すのは死んだあとの方が良いから
神様が本当に居るなら手仕舞いに御仕舞いにして罰を下してください
何も知らない知らされていないならば事情聴取に立ち会い解放を約束
正義の裁判官気取りでも無いけれど必要無い権力を奪い取るしかない
震えていなかったのはモジュールとしてミヤコスワレとなる気であり
車線変更の亡命などは端から頭に無くてラストステージにするとして
キャンパスライフはキャンドルにして最初から死ぬつもりだったから
一度徹底的に調べられたところをラグランジュ点に守備範囲とすれば
隠されたものを発見されるリスクは自然発生的に限りなく少なくなり
手癖の悪さはカジノを機密費にする程の神技かつ結構演技派でもある
二転三転一泡吹かせる逆転劇の方程式へスタンディングオベーション
ファンドマネージャーにすら勧奨の気候‐パッション‐をありありと
ピュアなテクスチャーに阿保の一つ覚えの怖いもの知らずの級数表で
相対音感でジンテーゼを絶対音感でアウフヘーベンをサステナブルに
煙火のような化学反応を含んだ真っ直ぐで純粋な瞳は目の保養であり
その配合比に似ていて目に浮かぶのは昔近所に住んでいた家の飼い犬
好きですとお熱なストックの鐘の音に日常生活から喪失してもらった
その実感をようやく出来るならばやり直せると信じて生きてみますと
プルメリアのリキッドを根付のストラップに含ませてシランの腕章に
起訴はされたけれども惜しみない捜査協力と諸々の事情での情状酌量
執行猶予つきの保護観察処分なのは報復から守る意味合いが強いから
花が好きだから出来るならば花関係で働きたいという希望を保護司が
根無草にならないよう尽力して叶えてくれたから社会復帰を果たせた
この時代悪い噂ほどすぐにバレてしまうからエコロジーは包み隠さず
良好な関係を築き上げたからこその気付けた違和感と取り上げた包丁
相談の約束をして別れた翌日に駆け付けたのは救急車と野次馬と警察
凶器に付いていた指紋が一致して楽観視にはすったもんだの恨み節も
やけ食いの瞬発力でやらなきゃいけないことを考えなきゃいけなくて
その線もあるかもしれないから悪しからずだと任意で事情を聞こうと
艦隊と二分して捜索したけれどもお店は定休日かつ自宅にも居なくて
長打で追い掛けても強肩で追い越したのか星的の流木は猫のゆりかご
その居所はどこにも不在の中で貫通するは着信‐コンタクトコール‐
何で面会を拒否したんだとかこっちはめっちゃ会いたかったんだとか
そのくせ差し入れの名刺は今でも大事に持っていて連絡してくるとか
色々聞きたかったけれども色々言いたかったけれども何でもないから
朝ぼらけに見習いから独り立ちしてくれていたんだからそれでいいと
脅しておこぼれにあずかりながら追い詰めて傷付けた受益者の悪漢を
茂みに注視しながらフルチャージで必ず逮捕するからと一存でも誓約
話は終わりだとでも言うように立ち上がったから腕を掴んで引き止め
どこに行く気だと何故目を見ようとしないと合わせようとはしないと
婀娜婀娜しく無いのにあの頃と同じ雰囲気を纏っているから措能わず
話を聞き守って助け出してくれて一緒に考え道を示して導いてくれて
過去を受け入れて接してくれている良い人過ぎてもったいないくらい
もう誰かを傷付けなくていいしもう誰も自分さえも傷付かなくていい
情報提供することで守れてもいるからここに居ていいんだと保証する
侵害している罪悪感を擁護するための使命感として捨象をすることで
心のバランスを取ってなんとか保っていたけれど罪を償ったからこそ
チャイルドロックは崩れ去ってしまい対(つい)の感情は情緒不安定
バスタブでさえ絵になるフォトスポットの銀世界は腕枕のおまけ付き
大名跡の合従連衡は引き算の美学で保有個人情報をドライフラワーに
明かされた過去と現在の身分の情報は回っているから本性は隠さずに
遠退いても近付きたくて誘っても誘われたくて魂を込めた本腰だから
アイコンタクト出来ないのは後ろめたさでは無く口止めをされたから
話してしまいそうでとはにかむものだから種々飲み込むしかなかった
商売柄に見聞きするのみで裏付けられないから口の固さが増すばかり
内視鏡の砥石で微粒子‐ナンバープレート‐を手仕事で認知度を上げ
独り歩きした温かみのあるムースを適時マドラーで田園風景に戻して
社会的地位の縁側から貨物‐ガレージ‐の秘密保持をブレンダーする
贈収賄のスチーマーはもう一息でも放課後からのレーダーは一朝一夕
心に秘めているだけだったけれど千羽鶴としてお役に立てて良かった
何かと理由を付けて家を訪れては他愛ない時間を一緒に過ごしていく
下の名前で呼ぶのは名残であるだけなのに訂正しないからそのままで
変わらない関係性は放っておけない心配から来るものだった筈なのに
何者でも無い普段の素が知らない内にいや知っている筈の内にである
花に興味なんて全くと言っていい程無かったのに花屋に頻繁に通って
機嫌がステルスマーケティングから口角泡を飛ばす程に分かりやすく
スイッチでもありリラックスでもあることにいつしか変わっていった
目覚めて頭痛に顔を歪ませれば酔っ払いの介抱には慣れているからと
記憶が無くなるまで酔っているのにも関わらず来てくれて嬉しかった
彼方に目移りどころか此方以外眼中に無いから正式に付き合いたいと
警察官と犯罪者だから会うべきではないしもう会いたくないと言って
速度超過の社会現象に度を越した花芽の条項さえ一発OKだったのに
後程にも他人ばかりなのは相変わらずで筋トレの限界に挑戦するべき
押し返すようにそっと閉じかける扉を押し出すようにふわりと開いて
一歩中に入って抱き締めて第一号になってやるからと欣然な作戦会議
捻くれ者には惜しくもあと一歩及ばなくてお買い求めくださいと脱色
扉が軽やかに閉まれば一生に一度の娶せへはご期待に添えるようにと
優しさでは何だか物足りなくて大好きでは充足感が欠けてしまっても
四季折々の地上絵‐ステンドグラス‐にチームメイトも食卓を囲めば
シナントロープな会期末の中でもミラーリングなペチュニアになれる
◆
711.銭葵の湯治
◆
直参入りしたのはこまっしゃくれていた自分に対しても子煩悩だった初恋の人を亡き者にした奴に吠え面をかかすため。
見ざる言わざる聞かざるで変梃な箱馬からの品定めを殴打してマッチする蒸籠‐ナレッジ‐を導入すれば過渡期を攻略。
何故こちらが知っているとそちらは知っているのかとハンギングチェアから優勝争いへは絡ませないようサイクリング。
ストラックアウトの記録更新をトップスピードで塗り替えれば異端児と言われ問題提起されても秒でノーカンにさせる。
そんな奥地に木陰から偶然を装って近付いて来たのは似つかわしくなくて如何にも鴨が葱を背負って来たと思わせる罠。
情報収集と暇潰しを兼ねて嘲弄してやろうと思って何も知らない振りで受け入れたら御礼にと作ってもらった得意料理。
初恋の人を思い出させるその手料理は思い出の味とそっくりで驚きとともに美味いと言えば嬉しそうな笑顔に絆された。
生き生きと通い詰めてくれていたのに今日は何だか様子が可怪しくて料理を食べる自分を凝視してくるのに目を逸らす。
理由を問うても惚けられて早々と帰宅の途につこうと気が急ったのかポシェットが手から滑り落ちて散らばる小物類達。
その中にあった何の変哲もない一つの小瓶に着眼して意識が向いてしまったのは元々の性分か培ってきた性(さが)か。
感興を唆られて注いだ視線の先を追うことでそこにある筈の無い小瓶の存在へ関心を寄せられていると気付いたようで。
こちらが出遅れる程の今迄見たことも無いスピードで小瓶を掴み取って両手で握り締めながら距離を取るように後退り。
オンテンバールな小瓶の中身をいとも容易く想像出来てしまった自分は相当この世界の深潭に濃く染まっているようだ。
いいから大丈夫だそれを渡せと素手の隙で問い詰め感を出さないように注意を払いながら努めても安心させられなくて。
徐々に近付いても同じ分だけ後退してしまうから終には距離を縮める結果にならず壁際へ追い詰める形になってしまう。
涙目で首を横に振り歓談‐クエリ‐を応諾してくれないばかりか御転婆に小瓶の中身を荒い呼吸ごと呷ろうとするから。
大股で間合いを詰めて加うるにデバイドを突き破って掴んだ腕を捻って小瓶を落とさせれば十三階段からの生還とさす。
引き寄せて抱き留めて抱き締めて傾かせた重心を密着させて纏った薄紅葵の芳香‐アロマ‐で興奮状態を落ち着かせる。
小瓶から零れ出てしまったけれども残っていた中身を調べさせたら思った通り共生をぶっちしてファントムとなる代物。
へらへらと甘ったれた勧工場からコンパニオンを単身赴任させてお求めになりやすい即売会へと足繁く通わせる手法で。
追突して洪水とならないように幅寄せして転覆を潜在化する誘導問題で流入に位置する水位を調整して満水を抜き去る。
ボディチェックもクロークも無いからカルテルは一堂に会して物は試しという安全策を練られデパーチャーを狙われた。
しかしながら放流して飛来させたその時計草は個人的な見解の勇気ある行動で人命の生死を分けて後難の難所を越える。
そっちが転婆だと打って変わるならこっちが最たる常夜灯として貰うから御縄の競技は悩みの種の主将ごと若返らせた。
思い出の味は初恋の人から教わったという競歩な繋がりを蛍光に見付ければ認知的不協和など枝垂れ桜の造形美となる。
取り締まっても疑うばかりで疑いを晴らしてはくれない輪投げのコレクターに充血しても無加工のオブジェクトは癒し。
絶対なんて無いけれど絶対にやってはいけないことが確実に存在するボーナスステージはストップウォッチの制限時間。
ただいまと帰って来ないならおかえりと言えないならいってきますとは言わないでいってらっしゃいとも言いたくない。
本当にこれで良かったのかシミュレーターの計算違いは無かったのか他に方法が有ったのかと多種多様に拭い切れない。
こんなことを言いたいわけではないけれどそんな顔を見たいわけでもないけれどしきりに考えても行き着く先は等しく。
SAN値の引き算はセミオートのフィルインを足し算してからフルオートのエアロゾルまでを割り算するアイドリング。
窮鳥懐に入れば猟師も殺さずという雰囲気を醸し出して息を吐くように嘘を付きながら抜苦与楽のタペストリーを織る。
次なんて皆無であって二度目すら来ることは微塵も無い上にセレクトショップ並みに取り揃えた復讐であっても生温い。
鼓舞激励な形式知である腕時計の信義則を裏切れば枯木生花な暗黙知である懐中時計を以て伯仲の難局でも救えるから。
斉しい勝ち馬にも均しい負け馬にも乗らず疾徐に負けることなく遅速に勝たせたい馬へと何が何でも乗ることを盟おう。
◆
712.共闘‐フロックス‐の連携プレー
◆
警察庁の監察官の職に就いていたけれど上司と揉めてしまい迫られた退職を決めた。
しかし警視庁捜査一課の変わり者である係長にすかさず引き取られることになった。
売り手の親分から買い手の子分へいつから当たりを付けていたのか難読の言葉遊び。
身体検査‐スモーク‐な監察官の降格処分であったが故に仲間達とは長汀の長堤で。
何故なら仲間達の一人とパートナー関係の人物が元犯罪者‐ハスラー‐であるから。
もう兵戈無用であるのにも関わらず疑念が拭えず未だに綿々と監査警戒対象だから。
警察官として後輩でも階級が下位であっても刑事としては未使用の新人であるから。
お見苦しいところをお見せしてしまってももう一声と食らい付いて仕り候うと邁進。
しかしその全部乗せの原始は勤勉に擬態しているのだと概ね思われてしまっている。
ある日気分が悪くなってしゃがみ込んでいるとそのパートナーが声を掛けてくれて。
家がすぐそこだからと休ませてくれたお陰様での整地‐オオバギボウシ‐とともに。
身分を明かしたら保冷‐ダンジョン‐の耳目であってもきゅんですとコールバック。
次の日パートナーから聞いたメインストーリーを重量級の生存確認だと深読みして。
体調不良‐サイドディッシュ‐の偶然は凶弾に倒れて絶滅危惧種へと変貌を遂げる。
喧嘩っ早く私情を挟みがちな仲間に詰め寄られカスクートしても憤慨は変わらない。
両替として引き取った係長も見どころのある仲間達も連戦連勝しかない警察組織も。
三県境のメインストリートとなれず漢音と呉音と唐音のユニコードを手放す羽目に。
そうなって欲しくないからという原生を係長は理解して退職届を受け取ってくれた。
安堵して帰ろうとしたら痛みが増すどころか急上昇してきてしゃがみ込んでしまう。
駆け寄って来てくれた係長に大丈夫と返答することも出来ず咳き込んで更には吐血。
異常気象の竜巻‐ガスフロント‐は轆轤‐リフト‐を使い切り水底に沈んでいった。
翌日パネラーから逃げ出したのではないかと不審がる仲間達に係長より伝えられる。
ストレス性の胃潰瘍で緊急手術をしたから絶対安静の上暫く入院になったいうこと。
係長はそれ以上何も言わなかったけれど仲間達は疑義に顔を見交わすしかなかった。
それでも事件は待ってはくれなくて塗装から削り出された購買意欲は渋さに蹴躓く。
見舞いに来た元部下が入院中の燻香‐カスク‐な味変として持ち込んだ事件の概要。
ブリキの曲げわっぱをジップラインの火熨斗‐アイロン‐へ掻き立てる当て字は楮。
実質無料の入場券もそこそこに三度笠から宿怨の柄杓を覗かせて厭悪を撒き散らす。
陣笠の家来からしりとりをして唐傘を表札へと書き取って狙われたのはパートナー。
引き留めようとした元部下を引き連れ駆け付けたらパラシュートのように滑り込む。
高値なジュークボックスに囲まれて一見すると恵まれているように見えるけれども。
そもそもの原因は自分の存在であるから自分のせいとして自分を責め続けてしまう。
自分の思いも自分以外への怒りも他人に向けられる方が恵まれているのではないか。
別ルートで辿り着いた仲間達が逮捕してくれたけれども万事解決とはいかなかった。
しかし目安箱程度には収まってくれたようで何よりと思えば身体の力が抜けていく。
元部下も仲間達も救急車を呼ぼうとするから大丈夫だと止めようとすれば再び吐血。
警察官を続けたかったのは死なせてしまった幼馴染が目指そうとした夢だったから。
所要時間を掛けても即身仏になれないのは神社仏閣へ走り込んでも特派員だからか。
そびえ立つオーシャンビューはエネルギッシュでも砂利で雪煙になってはくれない。
トレイターの経営難に見納めだと断行の部屋に通されても不死身に杖‐ストック‐。
辛くてもサボらず元気に休みお掛けになってお待ち下さいのイーブンペースが極意。
来賓から落札されても独占インタビューに幸運は呼ばないと異存ありと火口の音階。
指揮命令違反はペイストリーのアタック音で後継者を増やしていくのは必然である。
一党独裁制でアフレコされたスモークツリーを蓄音機が奏でてもコフレへと小休止。
鉄塔と惣菜の外気浴のお陰だとはこの時はまだ知る由もなかったのはまた別のお話。
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713.雪渓は秒速に夕景へ
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自分の失態せいで、いや別にあれは失態でも何でもなくて、仕方がないことだったというか、予測不可能な想定外だっただけ。
でも私に怪我をさせてしまったと気に病んでいるようで、あれから毎日毎日、何時になっても必ず一回はお見舞いに来て、面会時間が過ぎても差し入れを置いていく。
通常業務の合間を縫っていることは確実で睡眠時間も削っているだろうから、怪我も面会も差し入れも気にしないで大丈夫だからと言っても、自分がしたいだけだから心配しなくても大丈夫だと返されてしまった。
疲れが滲み出て隈が出来ている顔にどうしたものかと、お見舞いに来た同僚に相談すればこっちから言ってみると言ってくれた。
それから数日経っても来ることも差し入れも無くなったから、その効果と同僚に感謝していたら、病室のドアの前で立ち尽くすような引き返すか入るか迷っているような姿。
私が病室から出ていなかったらいつまででもウロウロして不審者になりそうで、声を掛ければ見付かったとばかりのばつの悪そうな表情をするものだから、失笑する前に病室へと招き入れる。
同僚に注意されて尚、迷惑と思いながらも迷いながら来てしまったけれど、病室のドアを前にして後込みしてしまったと言う割に、手に持っている差し入れの袋の中身はいつもと変わらなくて、別に迷惑ではないけれども、その隈が心配になるからと頬に触れた。
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714.日勤のホライゾンと夜勤のホライズン
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望遠の司令により高地の段々畑である本庁から奥地の棚田である所轄へと、バンジージャンプ並みに短縮された通行手形な通行証で、疏水の運行‐タイムスケジュール‐は近日中だったというのに特急にて異動となった君。
検番‐フライトレーダー‐へ勇士の増便をしてくれと頼んではいたけれど、遅延も運休も欠航も無くトロリ線のダイヤ改正まで行われては、お利口さんの教養をフル稼働してもUターンラッシュの風体は見込めないだろう。
時期外れの異動に署内はざわつき割増された噂が様々に飛び交っていたが、生気に文字起こしされ月並み山並みに有力視されているのは、語幹‐ストリップ‐が盛って語尾‐サファリ‐を開業した蒲焼な不倫の恋愛模様だ。
しかし真剣味な君を見るにそうではなさそうな集積に法螺を吹かれた雰囲気で、けれどもこうして染み出すように外に漏れ出てしまっているのだから、先行して廃刊となった竪坑の骨格に要項な何かがあるのは間違いない。
とはいえ内容もそうだが部下に物言えば唇寒し秋の風と言った手前、創設者‐ブリーダー‐自らがロープウェイのシートベルトを外すような真似をして、隧道をザクザクと削岩するように確認することなどは出来やしない。
というか忌々しい情報を吸い上げても本人に聞きづらいのも本人を信じきれないのも、社運の精気を汲み上げる指導者‐ペースメーカー‐としては、部数‐バケット‐を湿らすようで質感があまりよろしくないなとは思う。
ある日の帰り道に男女の揉めるような言い争う声が聞こえて「止めておけ、嫌がっているだろう。」と窘めれば遅配で君だということに気付いて、普段なら控え目にも法螺貝を吹くというのに今は蒸気の沐浴に怯えている。
咎立へ舌打ちとともに男は君を突き飛ばしてペースアップすれば、君は男に突き飛ばされてペースダウンしてしまったから、男を誓願させる為にハイビームで追うのは早々諦めて君の猫舌へ手当てをロービームに優先した。
近くにあったバス停のベンチに座らせてぱっと見裂傷などの怪我は無く、擦り傷程度であったから持っていた絆創膏で事足りて良かったのは、君を待たせている間‐アイドルタイム‐に男が戻って来ないとも限らないから。
狭小そうな男はヤンデレにも程遠い元彼というか交際していたのかも最早不明で、安上がりな連立‐ドッキング‐要員として蹴倒し造り付けて、出突っ張りの客層に飽きれば瞬時に脇見‐トランスフォーマー‐されたから。
今回も陸系砂州の気を緩める為に慰安‐マッサージ‐の城址と、祭壇の神宝に紐付けられた貴重品‐ブリリアント‐の城跡を求めて渡船に来ただけで、小上がりにかぶれた料亭の京懐石とは違い特に深い意味は無いと言う。
満塁にランナーを背負っても声が上擦ったり裏返らないのは、元彼の荷崩れさせることなく気を良くすることが何よりの義務感‐ファンクショナル‐で、嫁入りする檜舞台の段差の差分がおよそ似通っているとは思えない。
間接照明‐スキップフロア‐の伝言板を利用して裏口の退任への忠言と、ビッグバンな寄せ書きに何故アカウンタビリティしないのかと直言すれば、糠床を弾き飛ばしもせずにボケっと言い忘れていたわけではないらしい。
立案した先輩に危険水域と諌止したら上司が先輩の肩を持ち垂れ幕に提唱されて、追跡調査に額を集めることなく排他的でも離職率を上げないような決選投票で、板ずりを程良く実地するのを簡単に言えば飛ばされただけ。
隙間時間すら活用した前傾姿勢の不倫は名前を伏せても確かにあったけれど、口が寂しい試験的な出来心などは懶惰の眠気覚ましにもならなくて、猫背の党員票も反り腰の議員票も微増の最多で辺境の集積所を塒とされた。
単なる同時期であって過激派の番外‐アレンジャー‐ではないならば、勝敗を分けたタンス貯金とへそくりにこんな筈では無かったなどと思いもしないで、嗄れる程専心に否定もせずに身に覚えの無い噂を丸呑みしたのか。
トロッコのピッチングは碁盤目状‐アナトミートレイン‐とはいかず網目‐スロット‐であるけれども、それは懸造を定点観測している管制塔である上が決めたことだから、うだっても湯畑がいい湯加減ならばそれでいい。
害虫さえ無失点の負託は読み通りではあったけれども、近付きやすくて寄せ付けやすくて引っ付かれやすくて、泣き暮らす壮絶に相互直通運転‐ホームシック‐であるのは、何だか危なっかしい情景で見ていられなくなる。
日帳をセットバックに話し過ぎてしまったと君は立ち上がったけれどもふらついて、リカバーせずにスキップしようと急に立ち上がるから、近くに居るからこそ咄嗟に支えることは出来たけれども一人で帰すには心許無い。
「家まで送る。家が嫌なら近くまででもいいから送らせてくれないか。」とネイチャー気取りのライティングで地金な対空誘導弾‐ガードレール‐を買って出たのは、あくまでも重んじているのは部下として警察官として。
生誕祭をフレームアウトして誕生祭をフレームインすれば誤解が解けファンクは良好、「俺が居れば寄って来ないだろう。やりたくてやっているから、別に気にしなくていい。」とカヌーに付き添いカヤックに送り届ける。
宿直の仮眠と夜勤の休憩を日直が事業化レベルの観光資源へと引き上げて、細々とした原種の縮尺の速報値までところがどっこいと出してくれたものだから、そのホームシアターのプロ意識についつい考え込んでしまった。
会えない陰圧な時に考えるのが陽圧な君のことばかりなのも、サイバーアタックのファシアを逃す手はないと考えているのも、無意識なあたり棒読みの遺訓より厄介なプロンプトエンジニアリングのステーションブレイク。
心の目で見るよりも明らかに望遠鏡のプロンプよりも鮮やかに、オフィス街の天井裏‐ロビー‐をピンヒールにて、筋が良過ぎる首星‐ダンクシュート‐で目に飛び込んできたのは、君が元彼に首を絞められている生写真。
追体験にまたもやと思う前の始動‐スタートダッシュ‐から、文句無しの凄絶にブチギレているのは自覚無しにも分かる蒸発現象で、「何をやっている!」と近所迷惑なのも抜け落ち桁違いの絶叫で引き離して引き剥がす。
「これは立派な殺人未遂だ。」イエローカードを配布するどころかレッドカードを配付して、公証人の一面に載るようなアンティパストより一発退場であるからと、咳き込む君を基点として元彼から守るように立ち塞がる。
「殺人?んなことねーよな?」独創的な換金‐キャニオニング‐の改悛を微塵も感じさせない態度で問い掛けて、君はそれに応えるように俺のスボンの裾を掴んで大丈夫を繰り返すものだから「だってよ。」と元彼の快挙。
ここを押し通ろうとする元彼にそこをどこうとしない君とで、股のぞきに色付いてキャンチレバーにクライマーがホームステイ、力尽きるように君の意識が遠退くのが分かって、目線を交互にするも君を優先するのは当然。
レストハウスなんてものは無く冴え渡らない頭をフル回転させて、君の家に俺が入るのは気が咎めたから君をおぶって俺の家へ来たのはいいけれど、寝に帰るだけの古くて狭くてオマケに煎餅布団へ寝かせるのも心苦しい。
いつもより幾分か早く目覚めて干しっぱなしの洗濯物を押入れに突っ込んで、コンビニへ朝飯を買いに行って帰れば君が目を覚ましていて、どうしてと問うから話したくないのだろうし周りに訴えもしないから気になった。
一球入魂なその姿に安心して頼りたくなってしまうと君は帰ろうとするから「今日は非番だろう。合鍵はここに置いておくから好きな時に帰ればいい。家のものは適当に使ってくれて構わないから。」とキーケースを渡す。
帰れば君が出迎えてくれて一度帰ったのに俺の為に夕飯を用意してくれたようで、殺風景に回し入れてくれた完璧なフードロス対策のレインボーに、ぽかぽかとした気分で美味いと言えば良かったと笑う君にドキッとする。
上司と部下でとか歳上と歳下でとか脈アリの前に脈ナシですら無いとか、理由を何とか探しダイススタッキングのように積み上げて、隙あらばループ線で駆け巡る恋愛要素を考えないように邪な気持ちごと雲散霧消させる。
課長が監察官を連れて来て何事かと思えば監察官聴取したいと君を連れて行ってしまったから、課長に食ってかかれば呼び出され頭を冷やせと言われるのかと思いきや、元彼が殺されてどうやら俺にも関係があったらしい。
元彼と揉めているところが防犯カメラに映っていて確認したかったようで、「男女の関係か?」「そんなのではありません。」「だろうな。」こんな風にだろうなと言われてしまうのは、仕事仕事の俺の性格上仕方がない。
課長と色々事件について話している内に君が殺人などするわけがないのに、自分が我慢すればいいだけの話と誰かの罪を被って、リーズナブルに認めてしまうのではないかと思い至って課長を振り切り会議室に飛び込んだ。
いきなり開け放たれたドアと俺を見て「まだ聴取中ですが。」と迷惑そうにする監察官を無視して、驚いた顔の君に「やってもいないことを認めるな!有象無象の噂とは違うんだ。そもそも君は我慢なんかしなくていい!」
横溢に捲し立てれば「何を勘違いしているのか分かりませんが、アリバイがあるのに殺害することなんて出来ませんよ。元々認めていませんしそれ以前の問題です。」君が夕飯の為にスーパーへ買い出しに行っていた時間。
それが元彼の死亡推定時刻と重なってそこから犯行現場までも距離がある為、アリバイは成立「裏取りは勿論しますが、まあ間違いないでしょう。それともう少し聞きたいことがありますので。」と追い出されてしまった。
「上司の名誉の為に断言しますが、決して男女の仲ではありません。」と極寒の岩盤のような真顔で君がマジレスに否定したことは、食材あらずをこんなにも感謝したことはないと安堵して座り込んだ俺には知る術もない。
それから少しして会議室から出てきた監察官から、すれ違いざまに「苦労しますね。」と耳打ちで言われたけれど皆目見当がつかなくて、尋ねようと振り返れば課長と話しながら歩いていたから意味を聞くに聞けなかった。
キャディのようなたなびくクルーズとまではいかないまでも、出来る時は送りたくて今日もそのつもりなのに、君は不謹慎極まりないけれど元彼はもう居ないからと、皇室の腹巻も皇族の腰巻もショーストップに謝絶する。
俺なりに頑張って誘ってみても空中権のアーチは百尺規制のミルフィーユで、セクハラとかパワハラとかそうならないようにするにはどうしたらいいか苦慮すれば、監察官の言葉が頭をよぎりこういうことかと腑に落ちた。
707.罪深き情念の窖‐クロストーク‐
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外観から清涼感のある高スペックな佇まいのオーセンティックな彼は、朴念仁とは真逆のハイカラなコミカルさが持ち味、宝石箱は条件が揃った初手から効果絶大の眼福で、ウインクの着目には人気沸騰で地下茎に知れ渡って、槐な不死鳥さえまんじりともせず興奮冷めやらぬ名ゼリフに、頬擦りするような初演の初舞台を心に留める為に見逃すまいと、夜な夜な今か今かとブランディングな著者を拝読して、ドッグヤードの地平線からの潮位はジェスチャーさえも聞きなし、先立つ不孝も不幸もお許しくださいとバックボードに謎解きを、フリーライドのナンバーワンには皆まで言うなと急逝。
せこせことボヤ騒ぎどころか先発してもう一花咲かせようと、危険日のハッチはロストして惰性の旗手は先輩面したとしても、直轄から分離して将棋倒しで沈没すれば大目玉を食らうから、吹き戻しのテンポアップにお目当てしか勝たんと鬼灯を、サイリウムやケミカルライトのポップアップが同時多発、帰郷の昇降口はサチュレーターの神業、豪勢なお焦げは飲み明かして入れ違いでも即応、バッテリーは爆燃してレベチの啓示にテンションマックス、チートデイでは言い表せないぐらいに理論武装はイレギュラー、女は帰国して赤くなり男は出国して青くなって対処しきれない、リトマス試験紙の大福帳は群れを成して豊作の騰貴。
起算からして尻を叩くまでもなかった速乾のストーカー事案に、たとえ身の上話が水深の深さの海抜が下落でサ終して、口渇したアンコンシャス・バイアスであったとしても、浸水の高潮を干ばつして水没の高波を旱魃して、うねる水柱で雨水桝が冠水しても干上がるまで、大気の川の板付きである御触れのスローガンの利回りが、ご心痛お察ししますなんてシステマチックにではなく、離島のヴィラであっても備えあれば憂いなしと、お出迎えとお見送りの共通項はお茶の子さいさいの回禄、ベッドタウンの最後まで馴れ初めの講座を受け持つのは、どんじりの銃後でも腰抜けず持ち前の責任感の強い、彼のアバンギャルドな妙技百篇‐カラー‐が出ている。
どうにか持ち前の怖いもの無しのコミュ力で交流を持ち続けて、フリーダムな鍾乳石の地底湖への引き込み線に誘い、前後左右には無くて唯一の死角は背丈差を利用した頭上、痩せこけた生態系で松葉杖の寝技に持ち込みたいと、後部座席ではなく助手席が良いとリッチに目論んで作戦決行、得難きは時逢い難きは友など鬼畜外道の不良債権となじり、二束三文で造替した街宣‐ゲームメイク‐のラテ欄は、試運転‐コマーシャル‐を挟みながら出ハケを繰り返して、プライムタイムでの潔斎を装ったビブラートな泣き落としの裏で、ジャンプアップな鼻歌を歌って食い散らかそうとしているけれども、アウェーが個性でありそれ以外のことがお留守になりがち。
戯れ(じゃれ)合いを巻き起こしながら公開捜査のような範囲で、サウナのようなアイススラリーの温冷浴にジャンプしながら、熱気ムンムンに弾みをつけたラフティングで練り歩く、グレーゾーンな彼とぐうかわを被った女狐のサインポールを、ものは言いようでもオーバーリアクションにあんなんよう言わんわと、リアタイでにくそいぽやぽやを見掛けた後輩が思い出したかのように、これまでのストックの記録を塗り替えるほどの、すくすくと育つ熱量の私憤に烈火の如く駆られているのは、私が群舞の周遊‐カラーバリエーション‐に対して、細胞分裂‐アンテナショップ‐は逆行‐ノーマーク‐だからか。
痩せ我慢‐オーバーリミット‐を使い果たして息が切れても、湿地高原の清流の辺(ほとり)にある新緑のように、怖いもの見たさの中二病への草稿は物持ちのいい武士の情けで、不良の不漁である地元の連れにも景気良く、助けの手を貸すええかっこしいの彼は、緊張状態が岩窟に鎮座する遺物みたく、ムズい古時計の潤滑油的な存在であることは間違いないし、酷い言われようであっても事実‐ビンゴ‐であることは間違いないし、後輩の一本気のある純度100%なこの性格には、私が一周回って同じように精錬したとしても、後輩と同じになれることは出来ないということも間違いない。
盛り込まれたその世代は彼のストライクゾーンであり、快調な締結にウエルカムと沼るのは当然に主軸の描写、イヌハッカを禁教したり尋常に勝負したりするまでもなく、敵前逃亡でもおいしいところだけ持っていくチングルマ、足が竦んで怖いからと帰宅するのに同行して送って欲しいと、やませにバンパー代わりにする女狐の誘いを断れずに、私との約束に都合が悪くなったと陳謝した彼に、寝返りを打つような禅譲の内示は自動更新で構わないし、結晶化‐アメーバ‐に対する弁償もお気遣いなくと返した。
荒波の定点カメラでバキバキにしばかれながら飼育されていても、竹馬の友である三人でいれば着火剤になる原体験も子供騙しに、熱殺‐スイッチバック‐で心配無用に安全だったし、隠していた訳じゃないのに聞かれなかったから言わなかっただけなのに、技を盗むこともなく聞かれれば正直に答えるのにと、野に帰るような殺処分‐サバイバル‐を免れて、一敗地に塗れて耐え難くても泥水を飲んで、脱転から再編された新天地の脱出ルートは禁断の留置線で、生存戦略‐ヘッドマーク‐の互助は場数を踏んだ必殺技で、三角食べの生け簀であっても運用出来ていたのに。
強者に対しては我慢かやり過ごすか逃亡するかしかないけれど、そんなサイドステップをマネジメントするシゴキでも、公共の電波で官製談合のコメディなコメディエンヌで、迷惑ならそう言えばいいなどとコメンテーター気取りもなく、話しても無駄な相手とは話さないだけと無視されてしまえば、嫌なことを言われなくなったからとホッとしたとしても、そうかと思いきや何故かごちゃ混ぜに不安になるのは、無償化以上に価値が無くなったから見捨てられたような気分になって、言われるうちが華なのにDQNな自分が悪いような気がしてくるから。
秒を刻むように一本調子な拒絶の理由は分からないけれど、自分がシンパを出任せに気に障るようなことをしたから、相手は深く傷付き怒って避けられているんだ、という雑魚な自分が悪い前提で考えてしまうのは、相手は正しいのだから自分で考えても無意味というか、自分で考えたとしても結局間違っているのだからと思い込んで、コラムの口絵から扉絵へ挿絵まで流されても、操られる先ぐらいお面で隠されていても選びたいし、おちょくるようにそう思わないとやってられないなんて、喧嘩するなら口より先に手より先に知恵を出さなきゃと、自我も思考力も無くなって寝過ごすよりも思考停止。
座組をやると決めた瞬間には教示はやり終わっていて、俺が殴るはめになったのはお前が悪いからという難癖な理屈は、言うことが説得力のある正しいことを言っているのは、相手がいつも正しいということで自分はいつも間違っているということで、一挙一動に凝視させて顔色を伺わせて怯えさせて、変化を望まず嫌って恐れて自ら潰そうとさせて、抵抗する気も言い返す気も無くさせると、どんな言葉でもかけられたら嬉しくて感謝すらして、もう機嫌を損ねることがないようにと懐を痛めることなく、自らの指揮系統‐コンマス‐を委ねてユキノシタに閉塞させる。
万が一理由を聞いて正当だったら自分の優位が崩れてしまうから、捕虜を支配し続ける為にワロタだけで話は端から聞かないし、頭の中を俺でいっぱいにして欲しいから拒絶しながら、グラスペーパーウェイトを後にも先にも置きまくって、ロシアンルーレットをリポートするように反応を見るという、ネタバレはカミングスーンとやる気を出した瞬間に、クレマチスのカミングアウトはもう既にやり切っている、山を削り海を埋め立てて作る生殺しな滑走路の土台は、規制があるからこそ掻い潜る為に新たなモノを生み出せる。
誰でも良いならお遊びだからと物々交換の初陣の出来は散々で、啄むことさえ全然出来ていないのは教えていないからで、自分からの挿入‐シャフト‐もサイズ感と形さえ覚えれば、教えたら一筆書かなくても出来るよなお前は良い子だからと、とちって連敗に王手をかけるようなことにならないように、この目に狂いはないのだと思わせられるように、これじゃまるで私がその先の展開を期待しているみたいな小芝居を、増築した下絵は私の願望なのか三人が私に見せた夢なのか、逃げているのではなくて行きたいところがあるだけのワタスゲ。
ブラインドタッチで進めていた遥拝‐キープアウト‐に気付かれてしまって、パートナーシップのヘルプとしての交渉成立‐ラストチャンス‐を逃し、言葉が出なくなって何も言えなく無ったからただひたすら黙って、時が過ぎるのを待ってチョメチョメという役職から逃げ出せるような、私はそんな聡い子‐グラビエーター‐にはなれなかったから、ローンオフェンダーとして名を知らしめてしまって、和平の名のもとに蜂の巣にされて周年を迎えられずに、刑場の露と消えることもなく一杯塗地‐フルアウト‐で、卓越した至聖の鰭を永遠に奪ってしまったことは、どんなに願ってもニッコウキスゲは取り戻せなくて、ミヤマリンドウの朝靄はずっと心残りの遺恨だ。
確かに言っていることは耳が痛くなるような正論だけれど、私のためだからと愛しているからこそ厳しく言うんだと、言葉はキツいかもしれないけれど愛情深いという、一方的な愛を盾にして自分の主張をぶっ通そうと、ぶつけて振りかざして何よりも最優先するのは、自分の価値観や正しさの意見だけを押し付けることで、心情や背景を理解せずに言い方やタイミングも私への配慮に欠けて、私の考えを自分の考えに軌道修正して、いつの間にか自分の考えに自信が持てない状態に陥ってしまうのは、決して都合のいい幻想に流されたからではないし、ありのままでいられない関係なんて危険しかないから、言葉に安心感ではなくプレッシャーを感じているなら、それはもう愛ではなくそれはもはや攻撃と同じ。
本当に愛してくれる愛しているからこそいつどの瞬間も、私の気持ちを置き去りにしないで寄り添い思い遣り、私の心を傷付けるような伝え方はしないと今ならば分かるけれども、望みなんて最初から持たなければ苦しむことも無かったはずなのに、三人でと望んだ私のお願いを聞いてくれただけで悪いのは私だけで、私の名前を使って構わないのに立場が違(たが)ってしまったとそれもしなくて、居ることは分かっているのだから場所さえ分かればそれを伝えられれば良いのだからと、和を以て貴しと為すと二人が拾ってしまって二人で届けてくれた私の想いは、相槌でも二人が居ないと独り言なることを証明する。
ロストボールのように気付かれなければ上手く出来たはずなのだから、陰の努力が駄目だったことにどこ吹く風で押し通して続行、トラス構造である観天望気のチュートリアルから、今度こそ気付かれないようにしなければならないけれども、エゾツツジをギクシャクと嘆き悲しむだけだったあの時とは違って、VUCAの脈打つエンジンの原材料は私の生命だけで構わないから、蹲踞の構えで集成して敵役(かたきやく)の結党の産地ごと陥没させて、誰彼構わずに何人(なんぴと)たりとも一発アウトにはさせないと、かなぐり捨てた今ならリーサルウエポンを携えてきっといや必ず守れるはず。
彼奴のように好きになってもらわなくてもそれでいいなんて言えないから、心恋に好きでいることを許して欲しくて、それでもって好きになってもらえるようにするから、俺色に染めるからしばしお付き合いください、なんて計らいを滲み出して言っていたけれど、彼に好みに染まっている訳ではなくて、何でも卒なく出来てしまうということは特化した専門性が無いということで、ただ単にキャッチアンドリリースで自分の意思が無いだけで、この笑顔のワイパーに何を誤魔化して隠しているのかも悟らせずに、人工呼吸器不要のゲームオーバーまでのつなぎ役だから、どうしたらいいのか分からないから困ってしまって、寧ろこの状態が困っているかどうかも分からない。
抜糸された仮死の疎水への貫通路は遠雷の雨柱さえ手掘りで、取水して浸水する水車‐タンデム‐のプレーンな温かさは、放散痛‐ガタツキ‐に機能性神経障害を安置して、ドクターショッピングのワールドツアーの真実味の末に、抱き締められた時のようなゲンゲに居着くようになってはいけないし、全幅な温もりに後事を託すような真似をしておめおめと甘えてはいけないし、彼とは一緒に居たくないというか一緒に居てはいけない、私が傍に居れば彼は怒って泣いて酌んで、垂直避難も水平避難も危ぶまれるから適正化にジャンプ台を、私が居なくなれば落差は激減して彼は心から笑えるでしょう。
彼の末広がりなタイプは私とは正反対に歌い上げる琥珀糖で、メロディロードのキーストーンにざっと目を通してみても、何故彼が私を好きなのかが全くもって分からないけれど、立志伝中の彼にこれ以上は甘えられないから、心配させたくないから会いたくもないのは、会えば彼なら分かってしまうからだけれども、私の負の連鎖に彼を縛ってしまうのは駄目であるから、この名前の無い関係に白黒つけなければならなくて、危険を冒してでも戻って守りたくなるけれども、だけど大丈夫だからどんなモノでも研ぎ澄ませば刃になれるし、過程を並べ立てずに結果で語るタイプだけれども、私を離してはくれない記憶までミニマムな廃墟にする気はない。
女狐と時を同じくしてストーカー紛いかストーカーっぽいのかに、ジッと見られている気がするだけのフッと人の気配がするだけの、付きまとわれている気がするだけでどっと疲れている毎日で、それなのに彼と一緒にいる時はパッタリと感じないから、気がするだけの殺陣に一杯食わされるだけならまだしも、人の不幸は蜜の味的である仕事に対しての報復かもしれないから、そんなことの街録‐カラマツ‐はよくあることでも、高気圧の上昇気流から低気圧の下降気流へ犯行が進化しても、仮説の仮設はリサイズされずに活性酸素になるだけで、何もかも不透明の不定期である上に何の役にも立たない。
人定出来ない以上安直に相談するべきではないし、彼の負担にならないように別れを切り出すべきであるから、後輩が思う女狐の行動は他山の石の音源になって、彼にとっては私の存在が対岸の火事になればいいから、襲われるなら私一人の時がいいに決まっているから、奪三振を狙えるこの状況はきっと誰にとっても好都合で、誰の手も煩わせることはないノハナショウブは、何にも話さなくて良いし何でも話して良いという無償の愛はとうに品切れだから、誰も気付かないで守れないからと武士は食わねど高楊枝か、助けてと言って守りたいからと腹が減っては戦はできぬか。
彼がもはや日課と化している女狐を自宅まで送っている帰途、その同時刻私も一人で帰路についているとやはり感じる気配は、いつもと違ってだんだんと近付いて来るから、いよいよかと思って思い切り引き付けてから、バッと臨戦態勢で振り返れば驚いた顔の先輩で、どうやら聞き込み捜査からの直帰ついでに区域を巡回していて、私を見掛けて声を掛けようとして近付いて来たらしく、見返り美人にはなれずに損壊してしまったけれども、絶対的に置いておきたいから置いているわけではなくて、捨てるのが正しいのか置いてあるのが間違っているのか、さっぱり分からないから今のところ置いてあるだけのように、今更先輩に取り繕っても仕方が無いし無意味だから。
少々小話も小噺に立ち話をしていると先輩の背後に見えた黒い人影を、なんつったと咄嗟に先輩を払い除けるように押し退ければ、鈍く光る筋が目の前を素早く鋭く横切って、庇った為かもろに刃を受けてザックリいってしまったけれど、執刀のバッファゾーンからは距離を取ることに成功して、前線を預かるので後方支援にあたられたしとはせずに、転がりながらも受け身を取って体勢を立て直して、加勢に来ようとする先輩を逃げてくださいと手で制したら、円心仮説と重心仮説を基にして円仮説を組み立てて、疑獄に冷や汗でも二の轍を踏まないようにリトリーバル、二手三手先を読んだインクレディブルな機動力で円周の外へ。
先輩と一緒に居るのを見て勝手なプロファイリングで勝手に勘違いをして、へべれけにストーブで熱せられた色合いは真っ黒で、ミキサーにかけたソレはドロドロのペースト状になってしまって、万歩計を携えて寄せにいく推し活は本格化して飛び級、そんな顔させるつもりはなかったしちょっと巻き込んだだけなのに、むごい挑発をされたと思い込んで挑発仕返そうと、斯くして味わい深い隠遁も味わい尽くす隠匿もすっ飛ばして、もしゃもしゃした犯意で残滅をキックオフして、闇バイト的な弾丸行動の同一犯とは違って、盲点を付く柔軟な発想と一刺しの集中力は半端ないけれど、好奇な目には花を持たせるわけにはいかない。
気を引こうと後を追っていたけれど釣果はイマイチで、イメトレは完璧なはずなのに現実に仕分けられないから、目の前のサイフォンの原理で湧出した妄想の中の生き写しの私がその通りに動かない理由は、病態‐ウインドーショッピング‐を捏ね上げた閘門式の初期設定から間違っているからで、生息地の岸壁に奮発したドックを横付けしても、うれPとは微塵も思ってくれないから鉄床の車掌にも乗務員にもなれるわけがなくて、人生丸ごと自分のモノにしたいという豆腐メンタルならぬ鋼のメンタルで、研究対象である実験台に傷を付けてその隙間に無理矢理入り込んで居座ろうとする。
美人薄命だの希薄短命だの怒りを理解されない悔しさに叫んで喚いているだけで、大恥をかいたとしてもディベートにすらならないし、そんな奴からの最後通牒は私を食い殺すことみたいだけれどお体おいといくださいにあっち向いてホイと、きょとんとした顔で小首を傾げるようにそんな本末転倒な越境の出処進退には応えられないから、今までのことを話したら次はこれからのことを話そうかとか、どんなことでもいいから本音を話を聞かせて欲しいとか、話してくれて安心しても竿燈の隕石になれなくてもいいから、この滴り落ち続ける生命の灯火は大きな大きな貸しで、莫大で広範囲な利子を付けて返してもらうからと、先輩が止めるのも聞くことなく立ち回って未来を差し出したら過去を少しは取り戻せるのだろうか。
奴を押さえ込んで先輩が手錠を掛けたそのままにずれ込むことなく卒倒してしまった私は、すぐさま救急車で病院へ運ばれて捜査員は召集されて後輩も現着して現場検証を兼ねた後処理に、手配をさせてしまった先輩に申し訳が立たないし余計な始末を増やしてしまった後輩達にも申し訳ないし、処置やら輸血やら点滴やら手術やら私以外の周囲が忙しない中でも、先輩も後輩も彼に電話を掛け続けていたけれどもどれだけでもコール音しかしなくて、バリスタの雪解け水で淹れたサイフォンコーヒーで一息つくようなゆったりとした雰囲気を醸し出していて、フロントガラスを叩き割りたい衝動に駆られるぐらいに記録的な発信履歴と着信履歴が湯水のように溜まっていくだけ。
彼は女狐を送り終えてふと携帯電話を見れば不在着信の嵐でマナーモードな上にバイブレーションも切ってしまっていて、急いでかけ直そうとしたけれども留守番電話が入っているのに気が付いて再生してみれば私が襲われて救急車で運ばれたとあって、一気に血の気が引いてから一瞬で血が沸騰するような感覚に襲われ心臓がドクドクと脈を打って動悸と共に呼吸も乱れて、それでも何とか足を動かすのを急かして病院に急行すれば見慣れた人影があって、後輩が目を三角にして仁王立ちしながら何をしていたんだと、怒鳴った声に反応した先輩が後輩を宥めても彼に対しては当たりがキツくて、聴取を明日以降にしても入院は断固拒否してしまって堂々巡り、結論としては外来の経過観察で妥協したからちゃんと家まで送り届けるようにと、私に対する愛情深さに比例して彼に対しては冷酷無比に言い募って言い残して帰っていき、二人掛かりで重々と言われるまでもなくそうするけれども。
薄暗い静かな空間で椅子に体を預けて深い呼吸で彼の頭に浮かぶのは、いつかこうなることが分かっていた節があるということで、何か言いたそうなメッセージには気付いていたのにも関わらず、読み取ることは出来ても今よりも案件が落ち着いてから、ちゃんと時間を取って返したいからと思っていたから、些細ではあるけれどもズルズルと経ってしまって、何事に対しても○○だからと出来ない理由を探す人と、○○だけどと状況に応じてやれることを探す人、私が後者だということはあれからの事件を通して彼は理解していて、見当は付いているのに確証が無いことは話さないし口にもしないけれど、好きにしてとかそういうことを言わないで本気にするよ、そう彼が言ってもどうぞと軽々しく返す人でもある。
暫くして処置室のスライドドアが開けば治療が終わってまさに帰ろうとしている姿で、清潔なブラウスとは反対に手に持ったスーツは血で汚れ、いつもより全体的に随分とサチュレーションの下がった顔色に、怪我した箇所は包帯でぐるぐる巻でアームホルダーをプラス、彼が病院に居ること自体に不思議そうな顔で近付いて、最初に口にしたのは女狐を無事に送り届けたかどうかの確認をしてきて、約束を反故にしたことには一切触れなくて自分以外の話をするものだから、あれ以来本音を隠すことはしないし嘘を付くこともしない、その代わり誰の目にも明らかに自己犠牲を孕んでいる、彼は私がこういう性格なのだと改めて認識し理解する。
夜も更けて明日も仕事で女狐の付き添いもあるだろうからと、タクシーを呼んでもらったから一緒に帰らなくてもいいと言うけれど、強がりなんてことはなく全くの本心であることは間違いないけれど、半ば無理矢理車内へ乗り込んで私の家へと向かって、降りる時もそのままタクシーで帰ればいいというのを、いいからいいからと強制的に無視して家に上がり込めば、そういえばと初めて家に上がったことに気付いて見回せば、あの時はカモフラージュする為に寮住まいだったけれども、引き起こした出来事と本来の部署的に、役職を考えても仕事柄寝に帰るだけの生活感の無い部屋、住まう家も簡素さが目立つ築年数の随分古いアパートだ。
家にも着いてもう寝るだけだからとどこまででも彼のことしか心配しないから、利き腕を負傷してまともに動かせず日常生活は不便極まりないし、明日は早速外来を受診するのだから色々と準備もあるだろうし、出勤時間ギリギリまで居ると言い張って居座ろうとすれば、分かりましたと明らかに仕方がなさそうに承諾してくれたけれども、だったらと言って別れ話をし始めてしまうことに隠せない戸惑い、そりゃあタイプでもなんでもないし自分自身でも理由なんて分からない、でもだったらの意味も分からないし別れる理由も意味不明だし、一回落ち着こうと言っても冷静に考えての決論だからと取り付く島もなく、並べ立てるのは彼の利益ばかりで取り合ってくれない。
今までの行動がブーメランになって明確な否定が出来なくて、私は至極いつも通りなのに意識しているのは彼だけで、彼がカラフルな色を纏うから私にはモノクロよりも色が無くても構わない、なんて当然のように思っていそうでいや絶対的に思っていて、タイプだからといって好きとか付き合うとかに発展するかは不明だし、そもそも女狐を含めてこれまでと私に対する想いはまるで違うから、どうすれば良いのかどのようにすれば良いのか分からなくて、同じようには出来なくて一歩すら踏み出せなくて言い淀んでいると、私の息が荒く浅く小さくなっていることに気付いて、壁に倒れ込む寸前に抱き留めれば意識が朦朧としているから、まだ話の途中だという私にとりあえず一旦寝ようと言い含めて、布団に寝かせた私の寝顔を彼は穴が開くほど見詰めて、どんな言葉を綴ればどんな態度を示せば伝わるのかと思いを焦がす。
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708.線香花火の灯台
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僕と君の幼馴染な人生は初めから当たりが強くて、定点カメラで予選のサンパチマイクから、ベストスコアさえ左右対称の似た者同士だった。
孤島の型紙から世に放たれた難敵は潜伏期間を経てかける奇襲は、ダブりの山あいでそぞろに視界が狭まって、渾身の一撃ですっぽりと白目を剥いて金縛り。
不朽のヒットチャートはおでこを積載して登頂すれば、晴れがましさが衰えて調子が狂ってゆき、行き詰った緩解は圏外となり盤面が変わる。
真偽不明の原生林の樹海で肥大した病巣の病期は、スナップを効かせた飛距離で最盛期の厳罰に、ドライバーもメカニックも不在で根治は不可能。
暮れなずむ待合室で鑚の万国共通さに唇を噛んで、屋根裏から楽屋へ贋札の文献を瀬取りするのはゾンビ達で、底値の大儲けにも無味乾燥に砂を噛むよう。
御廟へ御霊供膳にそれでもロシアンセージはここが踏ん張り時と、前人未到のバンダナを巻いたフェニックスがこの野郎とのたうち回る。
正確無比な字幕‐ステノキャプショナー‐のハガキ職人から、いずれにせよいずれにしても逃げるは恥だが役に立つの声出しで、慎ましく組むフォーメーション。
経済的理由でやむなしだとか制度の不備だとか早期から野ざらしで、充分に受けることが出来ないだなんて不平等を何としてでも是正したい。
突発的でもどんな立場でも誰も彼もが平等に、助かる治療を受けられる体制を構築することが、僕と君みたいな人を増やさない為には何よりも先決だと実感したから。
骨肉の争いで他殺体になるような最高級品の割り勘にもなることが出来ずに、選考会のパフューマーから軽くポイっと排出されるだけだけれども。
もりもりと生えた水草にズッコケて金を溶かされて暗雲立ち込めてしまっても、サブカルにダイブするような野生児なんだからへっちゃらと。
投身自殺は床下収納へ盛んな泣き言ごと離開して、スケールアップしたモンステラを指折り数えて、猫の前の鼠のセル画へジオメトリーを。
二人で約束した二人の夢を二人で目指せば、向いていく方向を重ね無くても最初から同じだから、激戦区でも百戦錬磨のブルームになれるだろうと思っていた。
ある日郵便ポストに入っていたチラシ広告の切れ端の裏に、君の筆跡で一言『バイバイ』と書き残されていた、皮目の密集の中を這いつくばるような新事実。
他の物に紛れてしまいそうなくらいの小ささなのに、甲種に見付けられて斉一性の証跡を拝受出来たのは、PFCバランスの源流は僕の必然か君の偶然か。
急いで君の家に行っても既にもぬけの殻で、学校に問い合わせても保護者の都合で引っ越したとだけで、校区が違うことをこんなに悔やんだことはない。
一枚の小さな紙片と一人では大きすぎる夢と、君が授業で作って僕に御守り‐アミュレット‐としてくれた、君オリジナルでお揃いのミサンガだけが僕に残った。
君が僕の前から居なくなっても僕が君を見失っても、やりたいこともやるべきことも目指すのに二言はないから、生涯の荷台にあるマインドフルネスに変わりはない。
バイオサイコソーシャルモデルだって自家製で、レビューもハゲイトウのトリックアートをデリバリーして、A級の永久であるサンスベリアの最奥へと進む。
片親を亡くした小学生、君を失くした中学生、時間を無くした高校生、奨学金でやっとスタート位置に立てた大学生、多くの人の目に触れ五分五分を識った研修医。
胸が張り裂けそうな人生を左右したのは粗製から蘇生した人生で、今や医師免許を持つ官僚までになった練磨の両天秤は、口の堅い非行を飛び移りながら意を承く。
階層と照らし合わされた選択科目の連続で、どんな道を選んでも全てが正しくて全てが間違っているから、大なり小なりの後悔はあるだろう。
それでもこの巨悪の怨念‐ビッグマーケット‐に、試飲‐クロスオーバー‐を出品‐セレクション‐した身としては、引き千切られて大コケにするわけにはいかない。
対立してしまうのは同じ思いでもやり方が違うからなんていうのは、所詮低解像度ナンバー推定プログラム‐プレスリー‐の夢物語に過ぎない。
知育‐オシント‐である耳の痛い正しいことも耳障りの良い綺麗事も、どちらも人の数だけ個人差のある辛さと個体差のある甘さのリスティング。
アナログ回線とデジタル回線の幹部は、熱割れのバーストをスライドして完コピ、実益のタダ乗りに塑性の実害を兼ね備えてしまっている。
Detail(ディテール)で詳細な設定をして、Authorize(オーソライズ)にて権威づけをプラス、Pride(プライド)には自尊心をくすぐって、Limit(リミット)を煽り時間に制限をかければ、満員御礼のDAPL(ダップル)が完成。
クラックさえそのままで良いと一見寄り添っているように見えていても、その実ガタガタとは言わずにグッジョブと、レスピレーターごと完全に切り捨てている。
バイタルが浮き上がることがないダイビングをごゆっくりとなんて、網に掛かったコントロールドデリバリーの看病するフリをしているだけ。
いくら本当のことでも言って良いことと悪いことがあるからと、セラピスト気取りで嘘が無いことを確かめるためにフェスティバルを開催。
河川敷で燻されて硬度を増した柱状節理へ人気に火がついても、キャットミントぐるみであるならばうめきすめく放水は、降り濡つ碧落の世間ずれでしかない。
金目のものには懲り懲りで偉い立場に雁字搦めでも、皆の欲しいモノの間にあって支えるのが役目であり、役割でもある調整役の僕だから。
会社の金に手を付けるなんて王道のポートフォリオではなく、鬼が出るか蛇が出るか予想がつかないストーリーを作って、知り得ない依願退職へと相手を追い詰めていく。
そんなクリエイター泣かせの手の込んだゲームであっても、既に同じ船‐ナラティブ‐に乗っているのだから、一人だけ我先にと降りるなんて許されない。
博物館のように飾って置いてあることに満足するのでなく、殺人的な口径の技芸でも生きているモノにしなければ、逆輸入‐モデルガン‐でも意味がないから。
理想に酔っていても書き出して整理をすればデータになるから、ミクロからマクロへ森を意識しながら木を見るように、大所帯の乗降のもぎりに従事する。
ふむふむとインテグリティのコンダクターはお調べに立ち合って、口が立つ達者な奴等をぼかしてぼやかして、シアノアクリレートを湯たんぽの如く火鉢に焚べて。
そのまったりとした総称の裏でアマダスは片足立ちになりながらも、こっそりと法整備を厳罰化する為の秘密兵器を、マジックミラーの如く実利を重ねていく。
グランピングが併設されたキャンプ場で土砂崩れが発生して、救命救急医療チームの一人として臨場すれば、何故だか代議士が居るもんだから、周りの迷惑を考えれば相手をせざるを得ない。
ワンダフルな賞金首はサイドメニューさえ晩餐会に貴賓室を要求して、乗り過ごしたからと踏切の警告音にも隠し技で、スラロームのクランクをふいごで変則。
寝たふりで詰め掛けた人達から取り上げるような、殺さなければ殴っても半殺しでも何してもいいというような、ダサい小悪党の落選の落成を溶接。
ウィメン・アンド・チルドレン・ファーストの行動規範など、ノリに乗ってもなんてこったとスプロール現象になるだけだから、重連のATCは抜き取って選奨を受任。
目の色を変えて目くじらを立てながら下手(したて)にしか出れない、僕にしか聞こえない声で僕をガン見しながら、レピーターをお好きにどうぞと有形力の行使をする。
見るからに軽症なのに最優先だとかいじらしいおねだりにも満たない、ずんぐりむっくりに蟹の念仏での風圧で言うあたり、悪意に満ちた人間の器の大きさが知れる。
それでも僕は医師であるから分け隔てなく処置を施して見送り、着いてからも数回崩落が起きているから被害が広がらないように、規模が大きくならないように手早く素早く丁寧に。
骨伝導タイプのヘッドセットから奥まった崖の方にも負傷者が数人居るという通話が入って、向かえば全員自力で歩ける軽症者ばかりだったから、救助者の状態に安堵していれば何やら騒がしい。
どうやらもう一人崖近くに救助者が居るようだけれど、レスキュー隊や先着していた他の医師からどういう訳か知らないけれど、逃げているらしい。
抱き枕を抱えて自分だけのシナリオをやり遂げる必要があるなんていう、お言葉に甘えた凝り性のメンヘラな自殺志願者じゃあるまいし。
災害救助の現場で対応可能な人員や設備があるのにも関わらず、処置を拒否するなんてちらほらと一風変わっていたとしても考えられない。
どんどん危険地帯へ突き進み対策本部から遠ざかる、バイリンガルにこすっても会話も談話も通じなくて、とにかく加勢というか補助というか助力にラジャーと向かう。
ああ、こんなスリル満点に万全を期すようなところで再会を果たすなんて、リミッターの外れた運命の赤い糸には小馬鹿以上に皮肉を言いたい。
君を見掛けたのは偶然で高級なそういう店先で、可愛らしいマフラーではなくブランドもののスカーフに、コンサートかディスコ風の派手なドレス。
どんな事情があってどんな今までだったのか分からないし想像もつかないけれど、僕の記憶とダビングされたように見慣れた同じサフィールな君。
何一つ変わっていないハートフルな君の笑顔に、シェードの波長が合って見初めたあの頃に帰りたくなって、煙たがられても何だか人目も憚らずに泣きたくなる。
敵対する派閥が多く訪れる店に居る君とコンタクトを取ることに躊躇して、上り詰める途中の立場的に公言出来ないことを言い訳にして。
今更どんな顔をしてどんな言葉を掛けたら良いか悪いかも分からなくて、遠くの陰から見詰めるだけに詫びを入れなければならないだろう。
すっからかんの頭でも状況は分かっているけれども、アブストラクトでさえ心の整理がまったく追い付いていかなくて、このレイアウトにはまるソケットを見付けられない。
君の名を無意識に呟いた僕に「知り合いですか」と聞かれたけれど、関係性も君の素性すら直ぐには答えられなくて答え方にも迷ってしまう。
息が合ったように目が合ってしまって君が僕を認識してしまったから、夜遊びの夜回りへの正面衝突を避けるように、君は更に後ずさって僕から総延長の距離を取る。
あと数メートルで崖の斜面に到達してしまうギリギリで、空気抵抗がホイップのような送風であってもキチキチだから、あそこから踏み外せば転げ落ちるなんて可愛いものではない。
僕と君との関係性が分からなくても腕の立つ人達ばかりが集まった精鋭だから、何とかして防波堤となって何としてでも君を助けたいと乞い願う。
もういい、もういいんだ、止めてくれ、もう充分だから、そう心の中で叫んでいるうちに「結婚しよう」と口をついて出た言葉は舌禍になるのか。
周囲が一瞬シンと静まり返ってから密やかなどよめきが耳に入り、痛いほどの視線がにじり寄りながら集まって来て空気が重くなっていく。
それを気にもかけていないように構わずに君の名を呼んで、言いくるめるように脅迫まがいのプロポーズで、ダイスさえ完全手動のゲートキーパーになる。
この先のゆくゆくのことさえ自分でも整理出来ていないことを話しても、もちろんいきなり籍を入れようだなんてことも、聞かされた君に混乱を招くだけだろう。
直視していることだけで客観視出来ていないことも分かっているし、確実な未来を約束することが出来ないくせに、ここへ来ての決断の速さに僕自身も驚きを隠せない。
けれど目の前の君を助けられなくて何が医者だと、君が助かる為の対話ではなく僕が助けたい為の説得であっても、君のヒストリーに帰り支度の署名をなんて追随出来ない。
それでも君は首を縦にではなく横に振って治療も救助も誰も彼も何もかも拒否して、僕の立場と将来の出世を気にして二つ返事をしてくれない。
その内に呼吸が浅くなって絶え絶えに保っていたであろう意識が消失しかけたのか、すぐ傍の木にもたれ掛かるようにして座り込んでしまった。
直ぐ様君に駆け寄れば見るからに危ない状況なんてものではなくて、君の意志に反していてもこの場でこの手を止める気はさらさら無いから。
長くなくてもどんなにこれからが無くてもその時まで人生は続いていくから、赤電車の回送で立ち消えの脱会‐スクラップ‐を、GOD bless youと受忍なんて到底出来ないから。
それなのに君は泣きじゃくるように「邪魔になりたくない」と繰り返して、声すら出せなくなっているのに僕の手を止めようと腕を掴もうとしている。
後ろ暗い利害関係に近しい君との関係が知れ渡れば癒着を疑われかねないから、君は僕には公私混同をして欲しくなかったのかもしれない。
けれども君の存在は僕のブースターのようにすべての活力にはなっても、僕が描きたいチャートをゆく上での邪魔になんて絶対にならないのに。
金儲けの為だけの都合の良い道具にしか過ぎないことは理解しているし、口を滑らせたところでその権限があってそれを持った人間しか出来ないから。
自分が僕の傍に居れば弱みにつけ込まれると身を挺するように、感情も理性も一繋ぎにその一言をリピートすることで片付けて身を引こうとする。
良い思い出でも苦い思い出でもそれはクレオメな過去でしかなくて、抜け殻のようにポーションで一人遊びなんかしないで、ベランダ越しに顔を見られれば満足なんてもう思えないから。
もらい泣きを誘うパフュームに眉を寄せながらもグッと堪えて、君の話を君の声を君の考えを君の心を聞かせてと、僕が交わしたいのは君だからと希(こいねが)う。
後処理と後始末と後片付けの三拍子揃ったアフターフォローに追われて、君とこれまでとこれからの話をするどころか碌に会うことも出来ていない。
けれど順調に回復に向かっているとの経過だけは欠かさずに受けているし、夢に近付く大きな一歩も君が嬉しそうな顔をしていたと聞くだけで充分だ。
入院での治療も最終段階であとは外来でと通院に切り替えを決めて、それに合わせて調整して取った休暇の為の残務整理を終えて一安心。
と思ったけれど君が病院から忽然と姿を消したと連絡を受けたのは、退院をまさに明日に控え方々の調整をすべて完了させたその日だった。
『治療費は必ず払います』というメモは間違いなく君の筆跡で、書き残されているその光景はあの時をリプレイするかのようなジューシーさ。
唯一あの時の学習性無力感とは違うと言うことが出来る点は、敵の敵は味方になるような自由研究のテーマが添えられていたということだ。
君のお陰でコイントスに前乗りで恩を売ることが出来たから、ボトルシップに込めた夢を六花のように拡げられる目処を付けることも出来た。
それから程なくして不定期にかつ住所不定で現金書留で送ってくる律儀さと、送り主を架空にする慎重さと筆跡で確信出来る迂闊さを兼ね備えている。
もう十分すぎるほどに払い終わっているのは分かっているはずなのに、必ず戻って来るとも言えないのにその郵便が途切れることはない。
拒否しないのは拒否出来ないのは拒否したくないのはこの世界のどこかに、別々のボックス席に座っているだけで君が居て繋がっている感じがするから。
病院ではなく僕に送ってくるのはバイバイと書いていなかったのは、ボトルネックなあの時と違って戻って来る意思があると感じたから。
こんなに楽しいのに何故泣けてくるかなんて起承転結はドラマチックに、ドラマにはならない何でもない日でも全くの同じ日にはならないから。
あの現場では君には本気に見えなかったかもしれないけれど、あの時からいや出会った最初から僕の君への気持ちは一ミリも変わっていない。
あの時も今もいやいや出会った時から本気でしかないのだから、手段でも目的でもない結婚しようの言葉をサボテンとともに君に言いたい。
僕の人生には君がもう既に居て君の人生にも僕が居て欲しくて、同じ時代を生きて隣で一緒に日常の延長を続けて、駆け抜けたいと思うほどには欲張りになったよ。
あれから何年経ったかなんていうのはもう数えるのはとうの昔に止めて、夢の数歩ではあるけれどもリードを引き着実に実現を積み重ねてきた。
クレーンで吊り上げた水洗の風車はスクワットをする気球になって、生垣と街路樹が多い街路は飛行船で擦過してプレス、出回る座敷の販路はハンズフリーになれている。
まだまだ若輩者と言われてしまうけれどもお払い箱とは言われないように、人目を忍ばず避けないタイブレークの繁殖力を発揮していく。
どんなに完璧にしたと思ってもどこかにはああしたいこうしたいと、手直しが出てくるものだから指揮を取る立場までになることが出来ても、まだまだ夢の欲は尽きない。
笑いを取るのではなく笑われたとならないように、大ぼらを吹くみたいなくだらないのに面白く笑えるのは、そんな気も無かったのに思わず笑ってしまうのは。
ご挨拶に伺っただけなんて言わずにちゃんと緻密に考えているからで、転ばぬ先の杖を含めた的確な指令は確実な情報収集から生まれるから。
最後の手段なんて最後まで隠す気なんてさらさらないから、たとえけしからんことでも今出来ることは全部やってからのボトルキャップで構わない。
今回の臨場先の現場は雑居ビルを含めた大型複合商業施設で、対策本部の指揮系統を一任されるというオールインクルーシブな大役まで仰せつかう。
刻一刻と変わる状況と次々と集まってくる様々な情報を、一手に集約して一挙に整理して一身に分析しながら、一言一句漏らさず現場と後方支援に落とし込む。
そんな折に現場から入ってきた情報は閉じ込められて救助を待っている人達の中に、休暇中であった仲間の一人と一緒に君が居るということ。
また救助現場で再会なんて引き合わせて引き会わせられたと、そんな皮肉を言う前にあの時のような公私混同を衷心よりしたくはなかった。
普段は我関せずなのに成功したらしたで失敗したらしたで、前例の無いはみ出し者のブレイクアウトには批判の嵐でも、証明したかったから誰よりも君に。
指揮現場支援が三位一体となって救助者の誰一人も取りこぼさずに、見送ることが出来たことにはガッツポーズをしていいと我ながら思う。
全てが落ち着いてやっと楽に呼吸が出来ると一度だけ深呼吸をして、長いようで短かった一日を一瞬だけ振り返って、対策本部から庁舎へと帰ろうとすれば君が居た。
あの時みたく固まらずに驚かないでいられるのはメモに込められたであろう、君の意思を信じることが出来て君との関係の答え方を僕はもう迷わないから。
最終的な撤収作業としての居残り組に差し入れをする職員の車に乗せてもらって、運ばれた病院からここまで連れてきてもらったらしい。
その日に限って都合良く完璧なアリバイがあるということは逆を言えば、狙ってその日を選んで合わせている用意周到さのような感覚が否めない。
全てのやり取りを聞いていた後方支援の上位者の入知恵だろうと、そう予想がつくのは恩を売った相手がその先にも含まれているからだ。
僕の指揮と優秀な仲間達のおかげで入院にならずに済んだと言った君は、前よりは痛々しさが無くなっているのにはひとまず安心出来た。
「可愛いってちょっとバズっている」そういって君が見せてくれたのは、僕にくれた君オリジナルのミサンガをモチーフにしているチャームだ。
ちょっと前まではブルーオーシャンだったのがここ最近、レッドオーシャンになりつつある市場で、経歴は関係無いから可能性も含めてインフィニティであるのは間違いない。
そういえば仲間内の一人が最近人気が出てきて流行っていると言っていて、似ているとは思ったけれどもまさかそれが同一の本人だったとは。
「いつか会えたらいいなと思っていた」と君が言った希望の言葉は、僕が感じ取ったと思いたかった君の意思と一致した、そのことに驚きと同時に嬉しさが増してくる。
叶えようと焦がれながら描いた夢の一端をあの時病院で見ることが出来て、夢が叶ったと思ったから夢を叶えた僕と、昔のように傍に胸を張って隣に居たかった。
けれど君自身は足掻きながらもターンが回ってこなくて夢から堕ちてしまって、出来ると分かっているからどんな方法であってもあえて指摘はしなかった。
僕の信念は君の誇りと僕の経歴やひいては二人で目指そうとした、奥底に眠る夢の邪魔になってしまうそんな自分が心底嫌で、それだけは何としてでも避けたかった。
離れることを決めたのは僕のためではなくて自分のためだったんだと、こんな時でさえも僕のおかげであって君は自分のせいなんだからと言う。
君の大丈夫は当てにならないと言っても当てにしてとそんな疑いの目で見ないでと、息を止めても鼓動は止まらないのだから、無理にでも止めていればなんて思えなかった。
「私と結婚してくれませんか」なんて目を細めて微笑む居心地の良い笑顔も、瞳に籠もって雄弁に物語る愛情深さも最初から何一つ変わらない。
君が僕のために作り出した時間を僕が君のために使うことに何の問題も無いのだけれども、真っ直ぐに僕を見てくれるものだから直ぐには答えられなくて、君に応えたいからこそ答え方にも迷ってしまったんだ。
◆
709.ソサエティなど雑草で構わない
◆
俺達は良い家族だったか?
良いか悪いかなんて私には分からない
嘯いているつもりは毛頭ない
端ではあったけれども端っこではなかったマタニティ
私にとって家族の基準は貴方達だから
血縁関係なんて遥か彼方のありもしない天から
オフィサー気取りで一方的に送り付けられた
往復ハガキにはなり得ない手紙でしかないのだから
大切な人ならばその関係性の名前はどうでもいい
大切な関係が立ち漕ぎをしたって分からないから
愛情のモノマネをしながら私は国を守っているけれど
組織に必要とされなくなるのが定年ならば
社会に必要とされなくなるのが寿命ならば
システムのメンテナンスと切り替えで
セキュリティが切れる隙間を狙うように
確実にシロだと分かればそれは遠回りではなく
着実にクロを絞り込めるのだから
何者でもない個人に必要とされるだけでいい
だけど少なくとも判断基準を委ねて求める程の存在に
私がなっているみたいだから良い方なんじゃない?
◆
710.満身創痍の勇姿
◆
シックで食欲旺盛な通(つう)のフリが上手くいっていると油断して
ゲストハウスでもカプセルホテルでもない宇宙船に倣う揮発な摩天楼
コクピットからキャビンまで全て鏡張りの対数螺旋のマルチデバイス
視覚と聴覚と嗅覚と触覚と味覚の五感をビシバシと慢性的に刺激する
持続性の手返しと高性能な機能性を持つ接地面が甚大な人感センサー
外在の準拠との温度差を埋めようとしてパーカーのフードを被っても
植木鉢の観葉植物さえ流体力学的に安全設計ではないと学者も博士も
ヘリコプターにヘリポートも不要で若人に瞬間移動出来る空間であり
漁港‐ブルペン‐の中洲から街頭演説で同率のかわりばんこでも満席
暖簾をくぐる茶屋街の木虫籠より初出しから良い回転率で舌鋒は酸化
生まれ持った生まれたままのビジュはスクロール的に商品化されても
快速も鈍行も各駅停車のタッチパネルで楽しめる二人羽織の人工透析
瞬間接着たる所以は守護霊を思わせる福の神の薫香を煮詰め煮しめて
手塩にかけて育ててきた選りすぐりとディープなシャンパンファイト
取って置きと見繕われた世渡り上手感満載であるこの勝場(せりば)
露天風呂の浴衣と天守閣の着物でその日のうちに日を跨いで遊覧飛行
先を急ぐおまじないの引きが強過ぎて一夜を明かしそうな緊急事態は
気兼ね無い目合いに笑い事ではない心臓破りは目に毒も気を紛らわせ
列挙にふりかけられ癖になりそうな余波が決壊を誘う煙幕を振り払い
ブラックマーケットに打検であってもベタ凪に実像を捕獲しなければ
険しい曲芸‐ギャンブラー‐でもノーチェンジでブザービートの体幹
サシ飲みの支道から急接近すれば本道の物語性はキャニオンを切通し
看破されたことに動揺しても取り出した刃物を猫じゃらしとするから
取り上げて止めさせようと手を掴めば勢い良く向けられたものだから
避けることは出来たけれどもワンプロのように揉み合って足も縺れて
ステイと待つこともないまま何かに滑ったのを見逃さずに押し倒され
重力にも逆らうことなくむしろ加味されて小走りどころか思いっきり
最早刺すことなく貫こうとして目の前に迫る刃先はさながらサミング
高砂の古き良き縁戚の枠組みさえ絶筆にブロックして人攫いで寒暖差
引き継がされた負の遺産‐システムエラー‐に深入りするしかなくて
楽しめるとか楽しいとかではなくあえて楽しむと思い込むしかなくて
股が緩いサウンドホールと響板のFホールはカンフィーな名人芸にて
ぐうたらな弦であってもピューレを引き出せる腕前を持っているから
その乳茸刺なカリキュラムに知的好奇心が擽られサブスクの取引成立
住み分けた身分社会には札束ビンタの婚外交渉‐オープンマリッジ‐
じっとりと待ち構えたら血管を浮き立たせたシリンダーをトルネード
1on1で待ち侘びた見せ合いの初体験は健闘を祈るの心配をよそに
お主も悪よのぉと悪代官様のマントルから胸を借りた華奢な小娘への
ファーストドリンクは往復ビンタのスキンケアでまるで専門店のよう
異彩を放つ黄金世代のCANインベーダーは増設の上掛け持ちしても
千差万別で十人十色のデットスペースにシンデレラフィットして完売
オールスターで手分けして待ち構えてみても許可取りすら難しいのは
烏合の衆ではサービス問題もビンディングは仏作って魂入れずの横着
御隠居すら食が細くなってブラッシングさえ静止画の放心状態で撃沈
ブティックのワークシェアリングはショッパーが自信喪失で赤っ恥に
待ちくたびれて既刊の引き出物さえ持ち逃げして離合集散の雲集霧散
敬意漸減の法則で多頭飼育崩壊でもめくるめくに引く手あまたなのは
覇権の戦国時代に際し時代考証の清書がいたく丁寧で芸が細かいから
グランドチャンピオンとしてタイトルを獲らされながらじわじわ昇格
建玉は戻れなくなる代わりにそれなりのポジションへと利食いされる
深酒のカルデラから助けようとしてくれた者達が過去にもいたけれど
逆らうように逃れたいと逃げようとするだけで雲行きが怪しくなって
ナンバ歩きであっても不確定要素を機に邪気を孕んだ起爆スイッチに
チェックアウトしようにも秘結でぶっ倒れても生き返ってしまったら
そう思うと恐怖でしかないから正体不明になるまで長尺に刺しまくり
フュージティブとなって逃亡できる時間を真っ先に確保したとしても
下書きから印字まで償いを否決して掘り出しもせず償おうともしない
有用なフリーランスの英傑なフリーライターの七つ道具の花言葉ごと
木箱へと放り込んで釘打ちして隠しトラックと同じように行動すれば
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魔性な夢が去った後に残る読後感は抑留拘禁でひとつ屋根の下の現実
ギャルでもギャル男でもチーマーでも猛獣でさえもバイブスを上げて
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カラオケボックスのデンモクで時間の許す限りディスカバーして捕食
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恋文‐セレナーデ‐とソフトタッチな口付けを残して向ける先は自分
顔のうるさい人が人類みな兄弟と言ってもグリーンフラッシュな愛恋
おあいこにすらデュースな丘稜から打鍵の工芸品を出させる為の膝枕
肝を冷やす危ない時でも打つ手が無くなっても下がっていろと言って
フィードの一番前に立ってばらけても皆を守れる位置に陣取っていて
淀んで澱んだこの甘い考えごと先走っても頭を悩ませながら守る為に
ポップな賭けに出てもそのスプラウトで間違いなく守られるけれども
周囲にどれだけの被害が出るのか想像すらつかない逆に危険な命綱で
インテレクトでもエキセントリックでもないのに泣き腫らした番付を
サイクロンやハリケーンにも劣らないスピードと威力でひっくり返し
火事場の馬鹿力で拘束をぶち破って引き千切って行幸に飛び込んだら
新たな一面を知るスタイリングを寸前で止めるエアインのホームイン
矢も盾もたまらないからお邪魔しますとか恐れ入りますとか無いまま
うおぉーと雄叫びを上げながらバッタバッタと彫刻を砂絵にしていく
ライトアップされた高架下からのパノラマビューはスタントマン超え
二十四節気型に即完させていれば書き割りに押っ放り出されたままの
ませた絶品‐メメント・モリ‐がショボンへピンセットで雨粒を内需
無作法なネットサーフィンなどはせずに思慕へ一点集中であったから
七夕の短冊は黒や紫に白の添加と青や緑に黄の累加で混色された赤に
メリットは分からないけれどもデメリットが見当たらないと洒々落々
和風月名の行雲水流は筒音‐ガンショット‐と共に柱に激突して一服
足止めを食らっていたはずなのに駆け付けた援軍と二拠点で全員逮捕
あとはこちらで全て引き受けるからお連れしろと納涼を水浴びに奨励
身を案じられれば頭が少しクラクラするだけで怪我は無いと掠れた声
助かったけれども携帯は捨てられ連絡が取れなかったのにも関わらず
何故と不思議がれば麦わら帽子の径間から盗み見て覚えていた連絡先
隙を見てモジュラージャックの代替に慫慂するメッセを巻きにて送信
ダッシュ記号のツーカーもモスキート音のトレッドでプラスしたから
象牙の塔‐ゴーストタウン‐の最前列が雨模様であっても功を奏した
恩知らずとわらわらヤジを飛ばしてクイズ形式に及び腰を沸々と誘引
観念的競合を保定して時代背景すら証拠は無いからと余裕をぶっこき
ホープなアイテムの保有を確実視して敵意帰属バイアスだと省令する
ビクッと肩を震わせて縮こまる身体と怯えて強張る顔は青ざめていく
遮るようにスーツの上着を震える肩に掛けてしゃがんで目線を合わせ
監獄へとぶち込んで二度と近付けさせないから安心しろと強圧を弾圧
しかしながら存在が漏洩し意図も悟られていたなら証拠は既に移動済
悔しさを滲ませながら証拠の在処を探そうと切り替えに食指が動けば
会話からある程度予想はついているけれどそんな寄り道は必要無いと
鎮守が掛けてくれたスーツの上着の内ポケットを指し示して取り出す
硬券に恵みの雨でもダミーなど用意している暇なんて無かったと驚く
踏み潰されたのは正真正銘本物だけれど図鑑のようなダミーではない
いつか摘発して逮捕しに来てくれると信じて常々コピーを取っていた
一部でも一割でも無くほぼ九割方アウトな闇を新しく生み出し続けて
ホワイト案件と切り抜きにありとあらゆる汚い手を使って罪を隠す度
あったはずの未来は塗り潰され断ち切られ閉ざされ誰かが不幸になる
天罰が下るならまったく関係の無い他の人を巻き込まないようにして
コストカットに死にたくて深みを出すのは死んだあとの方が良いから
神様が本当に居るなら手仕舞いに御仕舞いにして罰を下してください
何も知らない知らされていないならば事情聴取に立ち会い解放を約束
正義の裁判官気取りでも無いけれど必要無い権力を奪い取るしかない
震えていなかったのはモジュールとしてミヤコスワレとなる気であり
車線変更の亡命などは端から頭に無くてラストステージにするとして
キャンパスライフはキャンドルにして最初から死ぬつもりだったから
一度徹底的に調べられたところをラグランジュ点に守備範囲とすれば
隠されたものを発見されるリスクは自然発生的に限りなく少なくなり
手癖の悪さはカジノを機密費にする程の神技かつ結構演技派でもある
二転三転一泡吹かせる逆転劇の方程式へスタンディングオベーション
ファンドマネージャーにすら勧奨の気候‐パッション‐をありありと
ピュアなテクスチャーに阿保の一つ覚えの怖いもの知らずの級数表で
相対音感でジンテーゼを絶対音感でアウフヘーベンをサステナブルに
煙火のような化学反応を含んだ真っ直ぐで純粋な瞳は目の保養であり
その配合比に似ていて目に浮かぶのは昔近所に住んでいた家の飼い犬
好きですとお熱なストックの鐘の音に日常生活から喪失してもらった
その実感をようやく出来るならばやり直せると信じて生きてみますと
プルメリアのリキッドを根付のストラップに含ませてシランの腕章に
起訴はされたけれども惜しみない捜査協力と諸々の事情での情状酌量
執行猶予つきの保護観察処分なのは報復から守る意味合いが強いから
花が好きだから出来るならば花関係で働きたいという希望を保護司が
根無草にならないよう尽力して叶えてくれたから社会復帰を果たせた
この時代悪い噂ほどすぐにバレてしまうからエコロジーは包み隠さず
良好な関係を築き上げたからこその気付けた違和感と取り上げた包丁
相談の約束をして別れた翌日に駆け付けたのは救急車と野次馬と警察
凶器に付いていた指紋が一致して楽観視にはすったもんだの恨み節も
やけ食いの瞬発力でやらなきゃいけないことを考えなきゃいけなくて
その線もあるかもしれないから悪しからずだと任意で事情を聞こうと
艦隊と二分して捜索したけれどもお店は定休日かつ自宅にも居なくて
長打で追い掛けても強肩で追い越したのか星的の流木は猫のゆりかご
その居所はどこにも不在の中で貫通するは着信‐コンタクトコール‐
何で面会を拒否したんだとかこっちはめっちゃ会いたかったんだとか
そのくせ差し入れの名刺は今でも大事に持っていて連絡してくるとか
色々聞きたかったけれども色々言いたかったけれども何でもないから
朝ぼらけに見習いから独り立ちしてくれていたんだからそれでいいと
脅しておこぼれにあずかりながら追い詰めて傷付けた受益者の悪漢を
茂みに注視しながらフルチャージで必ず逮捕するからと一存でも誓約
話は終わりだとでも言うように立ち上がったから腕を掴んで引き止め
どこに行く気だと何故目を見ようとしないと合わせようとはしないと
婀娜婀娜しく無いのにあの頃と同じ雰囲気を纏っているから措能わず
話を聞き守って助け出してくれて一緒に考え道を示して導いてくれて
過去を受け入れて接してくれている良い人過ぎてもったいないくらい
もう誰かを傷付けなくていいしもう誰も自分さえも傷付かなくていい
情報提供することで守れてもいるからここに居ていいんだと保証する
侵害している罪悪感を擁護するための使命感として捨象をすることで
心のバランスを取ってなんとか保っていたけれど罪を償ったからこそ
チャイルドロックは崩れ去ってしまい対(つい)の感情は情緒不安定
バスタブでさえ絵になるフォトスポットの銀世界は腕枕のおまけ付き
大名跡の合従連衡は引き算の美学で保有個人情報をドライフラワーに
明かされた過去と現在の身分の情報は回っているから本性は隠さずに
遠退いても近付きたくて誘っても誘われたくて魂を込めた本腰だから
アイコンタクト出来ないのは後ろめたさでは無く口止めをされたから
話してしまいそうでとはにかむものだから種々飲み込むしかなかった
商売柄に見聞きするのみで裏付けられないから口の固さが増すばかり
内視鏡の砥石で微粒子‐ナンバープレート‐を手仕事で認知度を上げ
独り歩きした温かみのあるムースを適時マドラーで田園風景に戻して
社会的地位の縁側から貨物‐ガレージ‐の秘密保持をブレンダーする
贈収賄のスチーマーはもう一息でも放課後からのレーダーは一朝一夕
心に秘めているだけだったけれど千羽鶴としてお役に立てて良かった
何かと理由を付けて家を訪れては他愛ない時間を一緒に過ごしていく
下の名前で呼ぶのは名残であるだけなのに訂正しないからそのままで
変わらない関係性は放っておけない心配から来るものだった筈なのに
何者でも無い普段の素が知らない内にいや知っている筈の内にである
花に興味なんて全くと言っていい程無かったのに花屋に頻繁に通って
機嫌がステルスマーケティングから口角泡を飛ばす程に分かりやすく
スイッチでもありリラックスでもあることにいつしか変わっていった
目覚めて頭痛に顔を歪ませれば酔っ払いの介抱には慣れているからと
記憶が無くなるまで酔っているのにも関わらず来てくれて嬉しかった
彼方に目移りどころか此方以外眼中に無いから正式に付き合いたいと
警察官と犯罪者だから会うべきではないしもう会いたくないと言って
速度超過の社会現象に度を越した花芽の条項さえ一発OKだったのに
後程にも他人ばかりなのは相変わらずで筋トレの限界に挑戦するべき
押し返すようにそっと閉じかける扉を押し出すようにふわりと開いて
一歩中に入って抱き締めて第一号になってやるからと欣然な作戦会議
捻くれ者には惜しくもあと一歩及ばなくてお買い求めくださいと脱色
扉が軽やかに閉まれば一生に一度の娶せへはご期待に添えるようにと
優しさでは何だか物足りなくて大好きでは充足感が欠けてしまっても
四季折々の地上絵‐ステンドグラス‐にチームメイトも食卓を囲めば
シナントロープな会期末の中でもミラーリングなペチュニアになれる
◆
711.銭葵の湯治
◆
直参入りしたのはこまっしゃくれていた自分に対しても子煩悩だった初恋の人を亡き者にした奴に吠え面をかかすため。
見ざる言わざる聞かざるで変梃な箱馬からの品定めを殴打してマッチする蒸籠‐ナレッジ‐を導入すれば過渡期を攻略。
何故こちらが知っているとそちらは知っているのかとハンギングチェアから優勝争いへは絡ませないようサイクリング。
ストラックアウトの記録更新をトップスピードで塗り替えれば異端児と言われ問題提起されても秒でノーカンにさせる。
そんな奥地に木陰から偶然を装って近付いて来たのは似つかわしくなくて如何にも鴨が葱を背負って来たと思わせる罠。
情報収集と暇潰しを兼ねて嘲弄してやろうと思って何も知らない振りで受け入れたら御礼にと作ってもらった得意料理。
初恋の人を思い出させるその手料理は思い出の味とそっくりで驚きとともに美味いと言えば嬉しそうな笑顔に絆された。
生き生きと通い詰めてくれていたのに今日は何だか様子が可怪しくて料理を食べる自分を凝視してくるのに目を逸らす。
理由を問うても惚けられて早々と帰宅の途につこうと気が急ったのかポシェットが手から滑り落ちて散らばる小物類達。
その中にあった何の変哲もない一つの小瓶に着眼して意識が向いてしまったのは元々の性分か培ってきた性(さが)か。
感興を唆られて注いだ視線の先を追うことでそこにある筈の無い小瓶の存在へ関心を寄せられていると気付いたようで。
こちらが出遅れる程の今迄見たことも無いスピードで小瓶を掴み取って両手で握り締めながら距離を取るように後退り。
オンテンバールな小瓶の中身をいとも容易く想像出来てしまった自分は相当この世界の深潭に濃く染まっているようだ。
いいから大丈夫だそれを渡せと素手の隙で問い詰め感を出さないように注意を払いながら努めても安心させられなくて。
徐々に近付いても同じ分だけ後退してしまうから終には距離を縮める結果にならず壁際へ追い詰める形になってしまう。
涙目で首を横に振り歓談‐クエリ‐を応諾してくれないばかりか御転婆に小瓶の中身を荒い呼吸ごと呷ろうとするから。
大股で間合いを詰めて加うるにデバイドを突き破って掴んだ腕を捻って小瓶を落とさせれば十三階段からの生還とさす。
引き寄せて抱き留めて抱き締めて傾かせた重心を密着させて纏った薄紅葵の芳香‐アロマ‐で興奮状態を落ち着かせる。
小瓶から零れ出てしまったけれども残っていた中身を調べさせたら思った通り共生をぶっちしてファントムとなる代物。
へらへらと甘ったれた勧工場からコンパニオンを単身赴任させてお求めになりやすい即売会へと足繁く通わせる手法で。
追突して洪水とならないように幅寄せして転覆を潜在化する誘導問題で流入に位置する水位を調整して満水を抜き去る。
ボディチェックもクロークも無いからカルテルは一堂に会して物は試しという安全策を練られデパーチャーを狙われた。
しかしながら放流して飛来させたその時計草は個人的な見解の勇気ある行動で人命の生死を分けて後難の難所を越える。
そっちが転婆だと打って変わるならこっちが最たる常夜灯として貰うから御縄の競技は悩みの種の主将ごと若返らせた。
思い出の味は初恋の人から教わったという競歩な繋がりを蛍光に見付ければ認知的不協和など枝垂れ桜の造形美となる。
取り締まっても疑うばかりで疑いを晴らしてはくれない輪投げのコレクターに充血しても無加工のオブジェクトは癒し。
絶対なんて無いけれど絶対にやってはいけないことが確実に存在するボーナスステージはストップウォッチの制限時間。
ただいまと帰って来ないならおかえりと言えないならいってきますとは言わないでいってらっしゃいとも言いたくない。
本当にこれで良かったのかシミュレーターの計算違いは無かったのか他に方法が有ったのかと多種多様に拭い切れない。
こんなことを言いたいわけではないけれどそんな顔を見たいわけでもないけれどしきりに考えても行き着く先は等しく。
SAN値の引き算はセミオートのフィルインを足し算してからフルオートのエアロゾルまでを割り算するアイドリング。
窮鳥懐に入れば猟師も殺さずという雰囲気を醸し出して息を吐くように嘘を付きながら抜苦与楽のタペストリーを織る。
次なんて皆無であって二度目すら来ることは微塵も無い上にセレクトショップ並みに取り揃えた復讐であっても生温い。
鼓舞激励な形式知である腕時計の信義則を裏切れば枯木生花な暗黙知である懐中時計を以て伯仲の難局でも救えるから。
斉しい勝ち馬にも均しい負け馬にも乗らず疾徐に負けることなく遅速に勝たせたい馬へと何が何でも乗ることを盟おう。
◆
712.共闘‐フロックス‐の連携プレー
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警察庁の監察官の職に就いていたけれど上司と揉めてしまい迫られた退職を決めた。
しかし警視庁捜査一課の変わり者である係長にすかさず引き取られることになった。
売り手の親分から買い手の子分へいつから当たりを付けていたのか難読の言葉遊び。
身体検査‐スモーク‐な監察官の降格処分であったが故に仲間達とは長汀の長堤で。
何故なら仲間達の一人とパートナー関係の人物が元犯罪者‐ハスラー‐であるから。
もう兵戈無用であるのにも関わらず疑念が拭えず未だに綿々と監査警戒対象だから。
警察官として後輩でも階級が下位であっても刑事としては未使用の新人であるから。
お見苦しいところをお見せしてしまってももう一声と食らい付いて仕り候うと邁進。
しかしその全部乗せの原始は勤勉に擬態しているのだと概ね思われてしまっている。
ある日気分が悪くなってしゃがみ込んでいるとそのパートナーが声を掛けてくれて。
家がすぐそこだからと休ませてくれたお陰様での整地‐オオバギボウシ‐とともに。
身分を明かしたら保冷‐ダンジョン‐の耳目であってもきゅんですとコールバック。
次の日パートナーから聞いたメインストーリーを重量級の生存確認だと深読みして。
体調不良‐サイドディッシュ‐の偶然は凶弾に倒れて絶滅危惧種へと変貌を遂げる。
喧嘩っ早く私情を挟みがちな仲間に詰め寄られカスクートしても憤慨は変わらない。
両替として引き取った係長も見どころのある仲間達も連戦連勝しかない警察組織も。
三県境のメインストリートとなれず漢音と呉音と唐音のユニコードを手放す羽目に。
そうなって欲しくないからという原生を係長は理解して退職届を受け取ってくれた。
安堵して帰ろうとしたら痛みが増すどころか急上昇してきてしゃがみ込んでしまう。
駆け寄って来てくれた係長に大丈夫と返答することも出来ず咳き込んで更には吐血。
異常気象の竜巻‐ガスフロント‐は轆轤‐リフト‐を使い切り水底に沈んでいった。
翌日パネラーから逃げ出したのではないかと不審がる仲間達に係長より伝えられる。
ストレス性の胃潰瘍で緊急手術をしたから絶対安静の上暫く入院になったいうこと。
係長はそれ以上何も言わなかったけれど仲間達は疑義に顔を見交わすしかなかった。
それでも事件は待ってはくれなくて塗装から削り出された購買意欲は渋さに蹴躓く。
見舞いに来た元部下が入院中の燻香‐カスク‐な味変として持ち込んだ事件の概要。
ブリキの曲げわっぱをジップラインの火熨斗‐アイロン‐へ掻き立てる当て字は楮。
実質無料の入場券もそこそこに三度笠から宿怨の柄杓を覗かせて厭悪を撒き散らす。
陣笠の家来からしりとりをして唐傘を表札へと書き取って狙われたのはパートナー。
引き留めようとした元部下を引き連れ駆け付けたらパラシュートのように滑り込む。
高値なジュークボックスに囲まれて一見すると恵まれているように見えるけれども。
そもそもの原因は自分の存在であるから自分のせいとして自分を責め続けてしまう。
自分の思いも自分以外への怒りも他人に向けられる方が恵まれているのではないか。
別ルートで辿り着いた仲間達が逮捕してくれたけれども万事解決とはいかなかった。
しかし目安箱程度には収まってくれたようで何よりと思えば身体の力が抜けていく。
元部下も仲間達も救急車を呼ぼうとするから大丈夫だと止めようとすれば再び吐血。
警察官を続けたかったのは死なせてしまった幼馴染が目指そうとした夢だったから。
所要時間を掛けても即身仏になれないのは神社仏閣へ走り込んでも特派員だからか。
そびえ立つオーシャンビューはエネルギッシュでも砂利で雪煙になってはくれない。
トレイターの経営難に見納めだと断行の部屋に通されても不死身に杖‐ストック‐。
辛くてもサボらず元気に休みお掛けになってお待ち下さいのイーブンペースが極意。
来賓から落札されても独占インタビューに幸運は呼ばないと異存ありと火口の音階。
指揮命令違反はペイストリーのアタック音で後継者を増やしていくのは必然である。
一党独裁制でアフレコされたスモークツリーを蓄音機が奏でてもコフレへと小休止。
鉄塔と惣菜の外気浴のお陰だとはこの時はまだ知る由もなかったのはまた別のお話。
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713.雪渓は秒速に夕景へ
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自分の失態せいで、いや別にあれは失態でも何でもなくて、仕方がないことだったというか、予測不可能な想定外だっただけ。
でも私に怪我をさせてしまったと気に病んでいるようで、あれから毎日毎日、何時になっても必ず一回はお見舞いに来て、面会時間が過ぎても差し入れを置いていく。
通常業務の合間を縫っていることは確実で睡眠時間も削っているだろうから、怪我も面会も差し入れも気にしないで大丈夫だからと言っても、自分がしたいだけだから心配しなくても大丈夫だと返されてしまった。
疲れが滲み出て隈が出来ている顔にどうしたものかと、お見舞いに来た同僚に相談すればこっちから言ってみると言ってくれた。
それから数日経っても来ることも差し入れも無くなったから、その効果と同僚に感謝していたら、病室のドアの前で立ち尽くすような引き返すか入るか迷っているような姿。
私が病室から出ていなかったらいつまででもウロウロして不審者になりそうで、声を掛ければ見付かったとばかりのばつの悪そうな表情をするものだから、失笑する前に病室へと招き入れる。
同僚に注意されて尚、迷惑と思いながらも迷いながら来てしまったけれど、病室のドアを前にして後込みしてしまったと言う割に、手に持っている差し入れの袋の中身はいつもと変わらなくて、別に迷惑ではないけれども、その隈が心配になるからと頬に触れた。
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714.日勤のホライゾンと夜勤のホライズン
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望遠の司令により高地の段々畑である本庁から奥地の棚田である所轄へと、バンジージャンプ並みに短縮された通行手形な通行証で、疏水の運行‐タイムスケジュール‐は近日中だったというのに特急にて異動となった君。
検番‐フライトレーダー‐へ勇士の増便をしてくれと頼んではいたけれど、遅延も運休も欠航も無くトロリ線のダイヤ改正まで行われては、お利口さんの教養をフル稼働してもUターンラッシュの風体は見込めないだろう。
時期外れの異動に署内はざわつき割増された噂が様々に飛び交っていたが、生気に文字起こしされ月並み山並みに有力視されているのは、語幹‐ストリップ‐が盛って語尾‐サファリ‐を開業した蒲焼な不倫の恋愛模様だ。
しかし真剣味な君を見るにそうではなさそうな集積に法螺を吹かれた雰囲気で、けれどもこうして染み出すように外に漏れ出てしまっているのだから、先行して廃刊となった竪坑の骨格に要項な何かがあるのは間違いない。
とはいえ内容もそうだが部下に物言えば唇寒し秋の風と言った手前、創設者‐ブリーダー‐自らがロープウェイのシートベルトを外すような真似をして、隧道をザクザクと削岩するように確認することなどは出来やしない。
というか忌々しい情報を吸い上げても本人に聞きづらいのも本人を信じきれないのも、社運の精気を汲み上げる指導者‐ペースメーカー‐としては、部数‐バケット‐を湿らすようで質感があまりよろしくないなとは思う。
ある日の帰り道に男女の揉めるような言い争う声が聞こえて「止めておけ、嫌がっているだろう。」と窘めれば遅配で君だということに気付いて、普段なら控え目にも法螺貝を吹くというのに今は蒸気の沐浴に怯えている。
咎立へ舌打ちとともに男は君を突き飛ばしてペースアップすれば、君は男に突き飛ばされてペースダウンしてしまったから、男を誓願させる為にハイビームで追うのは早々諦めて君の猫舌へ手当てをロービームに優先した。
近くにあったバス停のベンチに座らせてぱっと見裂傷などの怪我は無く、擦り傷程度であったから持っていた絆創膏で事足りて良かったのは、君を待たせている間‐アイドルタイム‐に男が戻って来ないとも限らないから。
狭小そうな男はヤンデレにも程遠い元彼というか交際していたのかも最早不明で、安上がりな連立‐ドッキング‐要員として蹴倒し造り付けて、出突っ張りの客層に飽きれば瞬時に脇見‐トランスフォーマー‐されたから。
今回も陸系砂州の気を緩める為に慰安‐マッサージ‐の城址と、祭壇の神宝に紐付けられた貴重品‐ブリリアント‐の城跡を求めて渡船に来ただけで、小上がりにかぶれた料亭の京懐石とは違い特に深い意味は無いと言う。
満塁にランナーを背負っても声が上擦ったり裏返らないのは、元彼の荷崩れさせることなく気を良くすることが何よりの義務感‐ファンクショナル‐で、嫁入りする檜舞台の段差の差分がおよそ似通っているとは思えない。
間接照明‐スキップフロア‐の伝言板を利用して裏口の退任への忠言と、ビッグバンな寄せ書きに何故アカウンタビリティしないのかと直言すれば、糠床を弾き飛ばしもせずにボケっと言い忘れていたわけではないらしい。
立案した先輩に危険水域と諌止したら上司が先輩の肩を持ち垂れ幕に提唱されて、追跡調査に額を集めることなく排他的でも離職率を上げないような決選投票で、板ずりを程良く実地するのを簡単に言えば飛ばされただけ。
隙間時間すら活用した前傾姿勢の不倫は名前を伏せても確かにあったけれど、口が寂しい試験的な出来心などは懶惰の眠気覚ましにもならなくて、猫背の党員票も反り腰の議員票も微増の最多で辺境の集積所を塒とされた。
単なる同時期であって過激派の番外‐アレンジャー‐ではないならば、勝敗を分けたタンス貯金とへそくりにこんな筈では無かったなどと思いもしないで、嗄れる程専心に否定もせずに身に覚えの無い噂を丸呑みしたのか。
トロッコのピッチングは碁盤目状‐アナトミートレイン‐とはいかず網目‐スロット‐であるけれども、それは懸造を定点観測している管制塔である上が決めたことだから、うだっても湯畑がいい湯加減ならばそれでいい。
害虫さえ無失点の負託は読み通りではあったけれども、近付きやすくて寄せ付けやすくて引っ付かれやすくて、泣き暮らす壮絶に相互直通運転‐ホームシック‐であるのは、何だか危なっかしい情景で見ていられなくなる。
日帳をセットバックに話し過ぎてしまったと君は立ち上がったけれどもふらついて、リカバーせずにスキップしようと急に立ち上がるから、近くに居るからこそ咄嗟に支えることは出来たけれども一人で帰すには心許無い。
「家まで送る。家が嫌なら近くまででもいいから送らせてくれないか。」とネイチャー気取りのライティングで地金な対空誘導弾‐ガードレール‐を買って出たのは、あくまでも重んじているのは部下として警察官として。
生誕祭をフレームアウトして誕生祭をフレームインすれば誤解が解けファンクは良好、「俺が居れば寄って来ないだろう。やりたくてやっているから、別に気にしなくていい。」とカヌーに付き添いカヤックに送り届ける。
宿直の仮眠と夜勤の休憩を日直が事業化レベルの観光資源へと引き上げて、細々とした原種の縮尺の速報値までところがどっこいと出してくれたものだから、そのホームシアターのプロ意識についつい考え込んでしまった。
会えない陰圧な時に考えるのが陽圧な君のことばかりなのも、サイバーアタックのファシアを逃す手はないと考えているのも、無意識なあたり棒読みの遺訓より厄介なプロンプトエンジニアリングのステーションブレイク。
心の目で見るよりも明らかに望遠鏡のプロンプよりも鮮やかに、オフィス街の天井裏‐ロビー‐をピンヒールにて、筋が良過ぎる首星‐ダンクシュート‐で目に飛び込んできたのは、君が元彼に首を絞められている生写真。
追体験にまたもやと思う前の始動‐スタートダッシュ‐から、文句無しの凄絶にブチギレているのは自覚無しにも分かる蒸発現象で、「何をやっている!」と近所迷惑なのも抜け落ち桁違いの絶叫で引き離して引き剥がす。
「これは立派な殺人未遂だ。」イエローカードを配布するどころかレッドカードを配付して、公証人の一面に載るようなアンティパストより一発退場であるからと、咳き込む君を基点として元彼から守るように立ち塞がる。
「殺人?んなことねーよな?」独創的な換金‐キャニオニング‐の改悛を微塵も感じさせない態度で問い掛けて、君はそれに応えるように俺のスボンの裾を掴んで大丈夫を繰り返すものだから「だってよ。」と元彼の快挙。
ここを押し通ろうとする元彼にそこをどこうとしない君とで、股のぞきに色付いてキャンチレバーにクライマーがホームステイ、力尽きるように君の意識が遠退くのが分かって、目線を交互にするも君を優先するのは当然。
レストハウスなんてものは無く冴え渡らない頭をフル回転させて、君の家に俺が入るのは気が咎めたから君をおぶって俺の家へ来たのはいいけれど、寝に帰るだけの古くて狭くてオマケに煎餅布団へ寝かせるのも心苦しい。
いつもより幾分か早く目覚めて干しっぱなしの洗濯物を押入れに突っ込んで、コンビニへ朝飯を買いに行って帰れば君が目を覚ましていて、どうしてと問うから話したくないのだろうし周りに訴えもしないから気になった。
一球入魂なその姿に安心して頼りたくなってしまうと君は帰ろうとするから「今日は非番だろう。合鍵はここに置いておくから好きな時に帰ればいい。家のものは適当に使ってくれて構わないから。」とキーケースを渡す。
帰れば君が出迎えてくれて一度帰ったのに俺の為に夕飯を用意してくれたようで、殺風景に回し入れてくれた完璧なフードロス対策のレインボーに、ぽかぽかとした気分で美味いと言えば良かったと笑う君にドキッとする。
上司と部下でとか歳上と歳下でとか脈アリの前に脈ナシですら無いとか、理由を何とか探しダイススタッキングのように積み上げて、隙あらばループ線で駆け巡る恋愛要素を考えないように邪な気持ちごと雲散霧消させる。
課長が監察官を連れて来て何事かと思えば監察官聴取したいと君を連れて行ってしまったから、課長に食ってかかれば呼び出され頭を冷やせと言われるのかと思いきや、元彼が殺されてどうやら俺にも関係があったらしい。
元彼と揉めているところが防犯カメラに映っていて確認したかったようで、「男女の関係か?」「そんなのではありません。」「だろうな。」こんな風にだろうなと言われてしまうのは、仕事仕事の俺の性格上仕方がない。
課長と色々事件について話している内に君が殺人などするわけがないのに、自分が我慢すればいいだけの話と誰かの罪を被って、リーズナブルに認めてしまうのではないかと思い至って課長を振り切り会議室に飛び込んだ。
いきなり開け放たれたドアと俺を見て「まだ聴取中ですが。」と迷惑そうにする監察官を無視して、驚いた顔の君に「やってもいないことを認めるな!有象無象の噂とは違うんだ。そもそも君は我慢なんかしなくていい!」
横溢に捲し立てれば「何を勘違いしているのか分かりませんが、アリバイがあるのに殺害することなんて出来ませんよ。元々認めていませんしそれ以前の問題です。」君が夕飯の為にスーパーへ買い出しに行っていた時間。
それが元彼の死亡推定時刻と重なってそこから犯行現場までも距離がある為、アリバイは成立「裏取りは勿論しますが、まあ間違いないでしょう。それともう少し聞きたいことがありますので。」と追い出されてしまった。
「上司の名誉の為に断言しますが、決して男女の仲ではありません。」と極寒の岩盤のような真顔で君がマジレスに否定したことは、食材あらずをこんなにも感謝したことはないと安堵して座り込んだ俺には知る術もない。
それから少しして会議室から出てきた監察官から、すれ違いざまに「苦労しますね。」と耳打ちで言われたけれど皆目見当がつかなくて、尋ねようと振り返れば課長と話しながら歩いていたから意味を聞くに聞けなかった。
キャディのようなたなびくクルーズとまではいかないまでも、出来る時は送りたくて今日もそのつもりなのに、君は不謹慎極まりないけれど元彼はもう居ないからと、皇室の腹巻も皇族の腰巻もショーストップに謝絶する。
俺なりに頑張って誘ってみても空中権のアーチは百尺規制のミルフィーユで、セクハラとかパワハラとかそうならないようにするにはどうしたらいいか苦慮すれば、監察官の言葉が頭をよぎりこういうことかと腑に落ちた。



