「――調べた結果、こうでした」

 翌日、呼び出した一史に真相が伝えられる。最初こそ驚いた表情をしたものの、やがてすぐに目が伏せられる。取り乱すと言った様子もないことから、一史自身も何処かで予想していたのだろうとゼクスは思った。

「犯人が誰か分かった訳ですが……。いかが致しますか?」

 何も返ってこない。ずっと怒りを湛えた雰囲気を纏いながら、黙っている。ゼクスは紅茶を飲みながら、話し出すのを待った。


「――やりたい」

 紅茶の残りが僅かとなった時、ぽつりと呟かれる。

「あいつらに、俺と同じような目に遭わせてやりたい。俺は本当に友達だと思っていたのに。犯人達が分かるまで苦しかったし、知らない奴らからの視線は辛くて、本当にストレスだった。そんな苦しみを分からせてやりたい」

 ティーカップに視線を落としながら言う。見つめる目には強い怒りが宿り、膝の上で握られた右手は微かに震えていた。

「どうするか? 具体的な案は何かありますか?」

 ゼクスが訊ねると、一史は口を閉ざして考え込む。しばらくして顔を上げ、考え付いたことを話し出した。

「あいつら個々のことはそれなりに知っているから、何が困るとか嫌なことが分かる。だからそれぞれに違う内容をしたいのですが……。大丈夫ですか?」
「もちろんです」

 真剣な一史に対し、ゼクスはにこりと微笑む。

「では実行はいつにしましょう? 我々は――」
「今日」

 ゼクスを途中で遮り、食い気味に言葉が発せられた。

「今日、今からがいいです」
「分かりました。じゃあさっそく参りましょうか」

 残りの紅茶を飲み立ち上がる。その背後で控えていたエリーが、ゼクスの隣までやって来た。

「俺の大学に行きましょう。今日あいつら全員、登校の予定なので」


 こうして3人で、一史の大学に向かうことにした。