『アザラシ君はこいつ↓』
アザラシを狩る者と言うアカウントを名乗る奴が、大学内で撮った一史の画像を貼っていたのだ。
食堂であろう場所で、バカみたいに笑ってる画像。周りにいる友人達にはスタンプで顔が隠されているが、一史には何の加工もされていない。
こいつが画像を晒したことで、ここ最近知らない奴から、やたら見られていたことを理解は出来たが、心中はそれどころではなかった。
強い怒りが湧き上がる。こんなくだらないサイトを作った管理人を、必ず暴いてやると誓う。
ここまで自分について詳しいと言うことは、それなりに身近な存在――。
つまりは友人達の誰かだと考えた。
しかし友人達となれば、困ったことになった。
一史はオープンな性格から、自分が金持ちだと言うことを、仲の良い人なら誰でも知っている。
また顔が広いことも災いして、絞るどころか、友人全員が怪しく思えるのだ。
怒りは一旦治まり、はぁとため息を付きながら立ち上がる。授業を受ける気分にはなれず、家に帰ることにした。
道中の電車の中、そのサイトの書き込みをチェックせずにはいられなかった。険しい顔で読み進めていけば、ショックな一文を見付けてしまう。
『アザラシ君と遊んだったー。もう全てのお会計払ってくれるから、サイコーだよね♡ 彼の心を奪って、金も奪ってみせるー♡←』
それはもう、アカウント名で分からないようにしていたとしても、誰かは明白だった。
――久し振りに会った時、どうしてあんなことを訊いたのか疑問に思っていたが、ようやくその意味も分かる。
自分に気があるようにしていたのは、金の為。
それなのに悩んだり本気にしちゃって、バカだ。
アホらしくて、情けなくなって、連絡帳から由希江の名を削除する。
そして怒りよりも虚しくなった一史は、家の最寄りではない駅で降り、彷徨うよう街の中を歩いた。
ただ無心で歩いて歩いて歩き続けた時、ふと足を止めれば、目の前にオワコンと言う名の店があったのだった。
アザラシを狩る者と言うアカウントを名乗る奴が、大学内で撮った一史の画像を貼っていたのだ。
食堂であろう場所で、バカみたいに笑ってる画像。周りにいる友人達にはスタンプで顔が隠されているが、一史には何の加工もされていない。
こいつが画像を晒したことで、ここ最近知らない奴から、やたら見られていたことを理解は出来たが、心中はそれどころではなかった。
強い怒りが湧き上がる。こんなくだらないサイトを作った管理人を、必ず暴いてやると誓う。
ここまで自分について詳しいと言うことは、それなりに身近な存在――。
つまりは友人達の誰かだと考えた。
しかし友人達となれば、困ったことになった。
一史はオープンな性格から、自分が金持ちだと言うことを、仲の良い人なら誰でも知っている。
また顔が広いことも災いして、絞るどころか、友人全員が怪しく思えるのだ。
怒りは一旦治まり、はぁとため息を付きながら立ち上がる。授業を受ける気分にはなれず、家に帰ることにした。
道中の電車の中、そのサイトの書き込みをチェックせずにはいられなかった。険しい顔で読み進めていけば、ショックな一文を見付けてしまう。
『アザラシ君と遊んだったー。もう全てのお会計払ってくれるから、サイコーだよね♡ 彼の心を奪って、金も奪ってみせるー♡←』
それはもう、アカウント名で分からないようにしていたとしても、誰かは明白だった。
――久し振りに会った時、どうしてあんなことを訊いたのか疑問に思っていたが、ようやくその意味も分かる。
自分に気があるようにしていたのは、金の為。
それなのに悩んだり本気にしちゃって、バカだ。
アホらしくて、情けなくなって、連絡帳から由希江の名を削除する。
そして怒りよりも虚しくなった一史は、家の最寄りではない駅で降り、彷徨うよう街の中を歩いた。
ただ無心で歩いて歩いて歩き続けた時、ふと足を止めれば、目の前にオワコンと言う名の店があったのだった。