由希江達と遊んだ次の日。大学に着いた一史は、やってしまったなと頭を掻いた。曜日を間違えて1講目から登校したが、今日は2講目からしか授業がなかった。
昨日の由希江の態度が気になって、ぼーっと考え込んでいたのが原因かも知れない。
一史は仕方ないと気持ちを入れ替えて、食堂で時間を潰すことにした。
この大学は朝から食堂が開いており、朝限定のモーニングメニューがある。それを目当てに来る学生も多く、初めて注文して席に着いた。
バランスが摂れ、色合いのいいサラダを口にする。半熟の目玉焼きに舌鼓を打ち、厚切りトーストをかじってから、コーヒーを飲んだ。
はぁと一息付く。朝ご飯を食べて来なかったのでちょうど良かったし、何よりとても美味しい。
たまには早く来て食べるのも悪くないなと、ウィンナーを食べた時、見られているような視線を感じた。
ここで周囲に目を向けると、一史以外に数える程の人しかいないことに気付く。ふと、男ふたりと目が合うが、すぐに逸らされた。
何だよと不快に思っていると、今度は逆方向から視線が。慌ててそちらを見れば、女がチラチラと盗み見しながら、目の前の彼氏であろう男に何かを話している。
それはどう見ても自分のことを言っていると分かり、気分が悪くなった一史は、急いで食べ終え、席を立ち上がった。
食堂から出て行く途中、小さな声が耳に入ってきた。
「――SNSで噂になってる、アザラシ君じゃない?」
アザラシ? 問い詰めたい衝動に駆られたが、聞こえないフリをして食堂から出た。
一史は静かな場所に行こうと、図書室に向かった。今の時間利用する者は誰もおず、図書室の秘書の人がいるだけ。
ちょうどいいと中を進み、一番人目の付かない場所に座って、スマホを机の上に置いた。
聞こえた単語をネットで検索すると、それらしきものはすぐに見付かる。
『〇〇大学に通う、ある男の秘密』
何ともアホらしい見出しの記事であるが、それをタップする。おどろおどろしい真っ黒な背景のページに移動し、白い文字でびっしりと何かが書かれていた。
『ある男の生態を、ここに晒そうと思う。
さすがに本名を書く訳にはいかないので、名前から取って、アザラシ君と呼ぶことにする。
何故ここに彼のことを晒すのか? と言うと、
単純に面白いからだ
嫌いだ、憎んでいるからと思ってくれてもいい。
ではアザラシ君について、語っていこう』
その書き出しに始まり、性格、家庭環境が細かく書かれている。それは自分にぴったりと当てはまっていて、一史は驚きを隠せなかった。
管理人と言うネームの書き込み『高いブランド物の服をよく着ているけど、女がお願いすれば買ってくれるんじゃね?』から、つらつらと数人のアカウントで会話がされている。
『金持ち男大好き! 彼女にして欲し~』
『何だ? その男。勝ち組か。死ね』
『たまたまここ見付けて、大学でそれらしき人見付けたー』
『こんなサイトを立ち上げられて、アザラシ君はよっぽど恨まれてるんだな。何をした?W』
まだまだ下にスクロールすれば、ずっと会話は続いていて、最後に追い付かない。ひとまず最初に戻れば、このサイトが開いたのは3ヶ月前だと知る。
しかし確かに、生態と書かれているところはその通りだが、それだけで他者が一史だと分かるものか?
一史自身やこの管理人は別として、それ以外が見てもそうそう分かるはずがない。
そのことが不思議で、どんどんスクロールしていけば、ある物を発見してしまった。
昨日の由希江の態度が気になって、ぼーっと考え込んでいたのが原因かも知れない。
一史は仕方ないと気持ちを入れ替えて、食堂で時間を潰すことにした。
この大学は朝から食堂が開いており、朝限定のモーニングメニューがある。それを目当てに来る学生も多く、初めて注文して席に着いた。
バランスが摂れ、色合いのいいサラダを口にする。半熟の目玉焼きに舌鼓を打ち、厚切りトーストをかじってから、コーヒーを飲んだ。
はぁと一息付く。朝ご飯を食べて来なかったのでちょうど良かったし、何よりとても美味しい。
たまには早く来て食べるのも悪くないなと、ウィンナーを食べた時、見られているような視線を感じた。
ここで周囲に目を向けると、一史以外に数える程の人しかいないことに気付く。ふと、男ふたりと目が合うが、すぐに逸らされた。
何だよと不快に思っていると、今度は逆方向から視線が。慌ててそちらを見れば、女がチラチラと盗み見しながら、目の前の彼氏であろう男に何かを話している。
それはどう見ても自分のことを言っていると分かり、気分が悪くなった一史は、急いで食べ終え、席を立ち上がった。
食堂から出て行く途中、小さな声が耳に入ってきた。
「――SNSで噂になってる、アザラシ君じゃない?」
アザラシ? 問い詰めたい衝動に駆られたが、聞こえないフリをして食堂から出た。
一史は静かな場所に行こうと、図書室に向かった。今の時間利用する者は誰もおず、図書室の秘書の人がいるだけ。
ちょうどいいと中を進み、一番人目の付かない場所に座って、スマホを机の上に置いた。
聞こえた単語をネットで検索すると、それらしきものはすぐに見付かる。
『〇〇大学に通う、ある男の秘密』
何ともアホらしい見出しの記事であるが、それをタップする。おどろおどろしい真っ黒な背景のページに移動し、白い文字でびっしりと何かが書かれていた。
『ある男の生態を、ここに晒そうと思う。
さすがに本名を書く訳にはいかないので、名前から取って、アザラシ君と呼ぶことにする。
何故ここに彼のことを晒すのか? と言うと、
単純に面白いからだ
嫌いだ、憎んでいるからと思ってくれてもいい。
ではアザラシ君について、語っていこう』
その書き出しに始まり、性格、家庭環境が細かく書かれている。それは自分にぴったりと当てはまっていて、一史は驚きを隠せなかった。
管理人と言うネームの書き込み『高いブランド物の服をよく着ているけど、女がお願いすれば買ってくれるんじゃね?』から、つらつらと数人のアカウントで会話がされている。
『金持ち男大好き! 彼女にして欲し~』
『何だ? その男。勝ち組か。死ね』
『たまたまここ見付けて、大学でそれらしき人見付けたー』
『こんなサイトを立ち上げられて、アザラシ君はよっぽど恨まれてるんだな。何をした?W』
まだまだ下にスクロールすれば、ずっと会話は続いていて、最後に追い付かない。ひとまず最初に戻れば、このサイトが開いたのは3ヶ月前だと知る。
しかし確かに、生態と書かれているところはその通りだが、それだけで他者が一史だと分かるものか?
一史自身やこの管理人は別として、それ以外が見てもそうそう分かるはずがない。
そのことが不思議で、どんどんスクロールしていけば、ある物を発見してしまった。