「一史だー。おはよう」
「由希江(ゆきえ)ちゃんに綾香(あやか)ちゃんじゃん」
黒髪ロングの子と、幾つものヘアピンでオシャレにアレンジしている子に手を上げた。久し振りーと言いながら、3人笑顔で会話を始める。
「同じ大学なのに、なかなか会わないねー」
「まぁ学部は違うし、この大学意外と広いからなぁ。それよりふたりは元気だった?」
「元気元気! あ、この前、義久(よしひさ)に会ったよ」
「うわ、懐い! 高校卒業してから見てないわ」
「あいつ大学デビューして、かなり派手な金髪になってた」
あははと笑い会う。由希江と綾香は同じ高校で、3年の時に同じクラスだった。大学は一緒だと知ってはいたが特別会うことはなく、久々の再会に嬉しく思った。
一史が微笑んでいる前で、綾香がねぇと由希江の顔の近くで囁く。ふたりはこそこそ話し出し、どうしたんだろう? と首を傾げる。
「……ねぇ。一史もあれから変わりなくなの?」
疑問に思っていると、様子を伺うと言った形で由希江が切り出した。
「ん? 変わりなくやってるよ」
「そっか。今も景気、よく……?」
「景気? まぁ……いいのか、な」
言っている意味はいまいち分からなかったが、漫画本を大人買いした昨日のこともあり、両親も順調なことから、良いと伝える。
すると由希江達は、パッと表情を明るくさせた。
「そうなんだー。ねぇねぇ、今度久々に遊ぼうよ!」
「うん、いいね」
「わーい。じゃあまた連絡する」
そう言って、ふたりは手を振りながら去って行く。一史もそれを見送ると、待ってくれていた友人達と合流した。
「悪い。行こうか」
「なぁなぁ、あの髪の長い子可愛いな。彼氏いるのか?」
歩き出してすぐ、聡太が訊いてきた。彼は女好きと言うこともあって、口癖のように「彼女欲しい」と言っている。
「由希江ちゃん? 今は知らないけど、高校の時はいなかったよ。遊ぶ約束したから、また聞いておくよ」
聡太に言って、着いた教室でいつも通り2講目が始まった。
由希江達の再会に高校生活を思い出した一史は、素直に遊ぶ日を楽しみにした。その日の夜、早速連絡があり、早くも週末の土曜日に会うことになった。
昼からカラオケに行き、フリータイムで歌いまくる。会計は一史が払い、その後夕飯として居酒屋に行った。そこでの会計も一史が払うのだが、それは女の子にお金を払わすのは男として――のプライドから。
だがそれは高校の時も払ってきたことで、一史からすれば当たり前だった。
会話は弾み、楽しく何杯ものお酒が入った時、由希江に彼氏がいるかどうかを訊ねた。
「彼氏? いないよー。もう大学生活を悲しく綾香と終えそう」
「それどう言うことよ? 私と一緒にいるの嫌なの?」
「嫌な訳ないじゃーん。綾香は大切な友達だよー」
言って、由希江にぎゅーっと抱き着く。それに対し綾香はよしよしと頭を撫でる。
「そうなんだ。いや、俺の友達が由希江ちゃんのこと、いいなって言ってたから。どうかなって思って」
ふたりの仲の良さに微笑んでいると、頼んでいた瓶ビールがやってきた。それを受け取った由希江は一史の隣に移動して来て、空のグラスにビールを注ぐ。
「その友達の気持ちは嬉しいんだけど。私、気になる人がいるから……」
瓶を机の上に置き、そっと擦り寄ってくる。甘い瞳で上目遣いされ、一史はドキッとした。
それだけでなく、今日の由希江の格好は胸が強調されたもので、上から顔を覗けば、ふくよかな谷間が見えた。
返答に困った一史はグラスを手にして、ありがとうとだけ言った。注いでもらったビールを飲みながら、気になる相手とは自分のことではないか? と思った。
「由希江(ゆきえ)ちゃんに綾香(あやか)ちゃんじゃん」
黒髪ロングの子と、幾つものヘアピンでオシャレにアレンジしている子に手を上げた。久し振りーと言いながら、3人笑顔で会話を始める。
「同じ大学なのに、なかなか会わないねー」
「まぁ学部は違うし、この大学意外と広いからなぁ。それよりふたりは元気だった?」
「元気元気! あ、この前、義久(よしひさ)に会ったよ」
「うわ、懐い! 高校卒業してから見てないわ」
「あいつ大学デビューして、かなり派手な金髪になってた」
あははと笑い会う。由希江と綾香は同じ高校で、3年の時に同じクラスだった。大学は一緒だと知ってはいたが特別会うことはなく、久々の再会に嬉しく思った。
一史が微笑んでいる前で、綾香がねぇと由希江の顔の近くで囁く。ふたりはこそこそ話し出し、どうしたんだろう? と首を傾げる。
「……ねぇ。一史もあれから変わりなくなの?」
疑問に思っていると、様子を伺うと言った形で由希江が切り出した。
「ん? 変わりなくやってるよ」
「そっか。今も景気、よく……?」
「景気? まぁ……いいのか、な」
言っている意味はいまいち分からなかったが、漫画本を大人買いした昨日のこともあり、両親も順調なことから、良いと伝える。
すると由希江達は、パッと表情を明るくさせた。
「そうなんだー。ねぇねぇ、今度久々に遊ぼうよ!」
「うん、いいね」
「わーい。じゃあまた連絡する」
そう言って、ふたりは手を振りながら去って行く。一史もそれを見送ると、待ってくれていた友人達と合流した。
「悪い。行こうか」
「なぁなぁ、あの髪の長い子可愛いな。彼氏いるのか?」
歩き出してすぐ、聡太が訊いてきた。彼は女好きと言うこともあって、口癖のように「彼女欲しい」と言っている。
「由希江ちゃん? 今は知らないけど、高校の時はいなかったよ。遊ぶ約束したから、また聞いておくよ」
聡太に言って、着いた教室でいつも通り2講目が始まった。
由希江達の再会に高校生活を思い出した一史は、素直に遊ぶ日を楽しみにした。その日の夜、早速連絡があり、早くも週末の土曜日に会うことになった。
昼からカラオケに行き、フリータイムで歌いまくる。会計は一史が払い、その後夕飯として居酒屋に行った。そこでの会計も一史が払うのだが、それは女の子にお金を払わすのは男として――のプライドから。
だがそれは高校の時も払ってきたことで、一史からすれば当たり前だった。
会話は弾み、楽しく何杯ものお酒が入った時、由希江に彼氏がいるかどうかを訊ねた。
「彼氏? いないよー。もう大学生活を悲しく綾香と終えそう」
「それどう言うことよ? 私と一緒にいるの嫌なの?」
「嫌な訳ないじゃーん。綾香は大切な友達だよー」
言って、由希江にぎゅーっと抱き着く。それに対し綾香はよしよしと頭を撫でる。
「そうなんだ。いや、俺の友達が由希江ちゃんのこと、いいなって言ってたから。どうかなって思って」
ふたりの仲の良さに微笑んでいると、頼んでいた瓶ビールがやってきた。それを受け取った由希江は一史の隣に移動して来て、空のグラスにビールを注ぐ。
「その友達の気持ちは嬉しいんだけど。私、気になる人がいるから……」
瓶を机の上に置き、そっと擦り寄ってくる。甘い瞳で上目遣いされ、一史はドキッとした。
それだけでなく、今日の由希江の格好は胸が強調されたもので、上から顔を覗けば、ふくよかな谷間が見えた。
返答に困った一史はグラスを手にして、ありがとうとだけ言った。注いでもらったビールを飲みながら、気になる相手とは自分のことではないか? と思った。