本当に大丈夫だっただろうか?
 怪しい店の中にいた、怪しい人物達に不審を抱く。
 凌を見返せるならと、つい契約書にサインしてしまった。


 立ち止まる美礼は先程見た、ドアベルを思い出す。
 4つの小さな髑髏が揺れ、不気味な低音を鳴らしていた。大きさからして動物なのだろうが、やけにリアルで、それがとても怖かった。

「角が生えたり目の穴が3つあるものだったから……。人間な訳ないよ」

 誰となく自分に言い聞かせ、家路に着く。そんな美礼には、もうひとつ引っ掛かっていることがあった。


 ――どうして、最期と書かれていたのだろう?
 ゼクスも何度も最期と口にしていた。

 『最期』とは死の意味合いが強まる。最終を意味するなら『最後』と書くのが妥当だ。もちろん『最後』でも、死の意味はある。

「使い方を間違ってるだけかな? あの人達、日本人ぽくなかったし」

 依頼を受けるのは一度きり。同じ依頼者からは、もう依頼を受けない。だからこれが最初で『最後』

 きっとそう言うことだと解釈し、急いで帰ることにした。