マンションに入居する全ての人で構成される管理組合。
 マンションの管理を請け負っており、修繕はここを通さなければならない。
 管理会社は組合から委託され仕事をしているだけで決定権は管理組合の方にあった。

 自身に関係するのは遠い将来、管理組合の役員が回って来る時くらいだと思っていた。

 その頃まで独身でいるつもりもなかったし、役員の話が来る頃に組合について知ればいいと思っていた。
 まさかこういう場面で関わることがあるとは思いもしなかった。

 共用部分どころか自分の家のドアでさえ壊れた際、直すまでに管理組合での承諾を待ったと聞いたことがある。

 これは面倒なことになりそうだ。
 そう思いつつも脳裏に昨日の紗香の顔がチラついた。
 彼女の微笑む顔が見たい。

「和人さんのお陰で綺麗に直りましたね」と言われたい。
 邪な思いが後押しして、ものぐさな和人を奮起させた。