あれ以来、日に日に穴は大きくなっている気がした。
 しかも毎日少しずつ、気にしていなければ分からない程度に。
 しかし確実に大きくなっている穴は外壁にまで侵食し始めた。

 どう考えても自然に空いた穴ではなさそうだ。
 そして自然に大きくなっているとも考えにくい。

 だとしたら、誰が何の為に……。

 不意に、見たこともない紗香のスートーカーが思い浮かんだ。

 小さな穴のうちは思いもしなかったが、日に日に大きくなる穴に想像が膨らむ。
 ここを足掛かりにマンションへ忍び込もうとしているのでは……と。

 あり得ない憶測はあり得ないと断言できない怖さがあった。
 何より、穴は着実に大きくなっていた。