立っていたのは、警官?

「失礼ですが、お二人はどのようなご関係で?」

 和人は紗香と顔を見合わせて口を開いた。

「ここのマンションの、住人。ですが」

「そう、ですか。
 いえね。最近、不審者がうろついていると聞いてパトロールを強化しているんですよ。
 失礼ですが身分証のご提示をお願いできますか?」

「身分証と言われても……」

 突然のことに動転してしまう。
 動揺すればするほど警官の視線が鋭く突き刺さる。

「あ、会社の社員証で良ければ」

 失念していた社員証の存在を思い出し、財布から取り出して警官へと差し出した。
 警官はにこやかな態度で接しつつも鋭い眼光は社員証をくまなく観察してから返された。

 もしかして彼女のストーカーとでも思われたのか。