「今は大丈夫みたいです。
 和人さんがいてくださるから」

 丸い声がストンと心に降りて顔が緩んでしまいそうになる。
 それをなんとか堪えて紗香へ声をかける。

 図らずも頼られて喜んでる場合じゃない。
 後をつけられているということは……。

「ストーカー?」

 和人は声を落として紗香だけに聞こえるように囁いた。
 紗香はおずおずと頷いてみせた。

 空気が張り詰めたのを感じた。

「あの〜。すみません」

「キャッ」

 背後から突然声をかけられて心臓が縮み上がった。
 紗香も口に手を当てて悲鳴を上げると息を飲んだようだった。

 戦々恐々としつつ、彼女を守らなければと振り返ってますます目を丸くした。