「大丈夫でしょうか。なんだか怖い……」

 紗香は不安げな声を上げた。
 その声は庇護欲を掻き立てた。

 和人は紗香に近い方の腕を微かに動かしたが、グッと拳を握りしめた。

「大丈夫。俺がなんとかするって」

「……和人さん、が?」

「あぁ。だから心配しないで」

 どこから出てきた正義感なのか。
 裏切られた気持ちでさえいたのに、やはり彼女を守りたい。
 その思いに囚われていた。