木陰の下を歩いているといつの日かのデジャブのように騒がしい声が響いた。

「そう! こっち! スゲー!」

「次、俺やる! 俺やる!」

 嫌な予感がして足早にマンション正面へ回り込んだ。

 ガッ。

 不穏な音を立てた外壁。
 すぐ近くに石が落ちている。
 毎日気にしていたから、この石が今朝までなかったことは明らかだ。

 加えて賑やかだった声は静まり返り「ヤッベ。またあのジジイ……」と呟いた声を聞いた。
 それだけで十分だった。
 沸点は振り切れて頭に血が上った。

 そもそも俺はジジイでも、おっさんって歳でもない!

 怒りに我を忘れ、悪ガキどもをよく確認せずに怒鳴りながらそいつらの方へ向かって意見した。