年齢もサーフボードが描かれたTシャツも、サーフィンが趣味なら日に焼けていたり体つきが逞しくなるだろうことも、彼女が話してくれた彼の特徴に似ているけれど、でも彼はもう……。


 すると直後、ドアベルがけたたましい音を立てた。


 何事かとそちらを見ると、血相を変えて店に入ってきた珠希さんを野乃と元樹君が慌てて追いかけてきたところだった。


「……ど、どうしたの?」


 数拍虚を突かれたが、かろうじて渉は三人にそう尋ねる。


 どうやらもう野乃たちが学校から帰ってくる時間になっていたらしい。珠希さんのほうは、ここに向かう途中に野乃たちと偶然にも居合わせたのだろう。


 もう一度彼女の顔が見られてほっとはしたけれど、しかし、これは一体……。


「――拓真《たくま》……」


「久しぶり、珠希さん。人づてに珠希さんが美容室を辞めたって聞いて、居ても立ってもいられなくなっちゃって……。俺なんかに会いたくなんてなかっただろうけど、珠希さんの勤め先の人とかにいろいろ聞き回って、追いかけてきました。……弘人《ひろと》さんのことで伝えておかなきゃいけないことがあるんです。どうか聞いてもらえませんか」