「そういえば渉さん、お客さんに接するときは〝俺〟が〝僕〟になるんですね。最初は気づかなかったんですけど、なんか静かなギャップって感じで、いい感じです」
「え、そう?」
「はい。接客業だってことを考えると意外ってほどでもないんですけど、使い分けてる感じが大人だなあって思えるっていうか。汐崎君なんて、初日からめちゃくちゃ慣れ慣れしいし〝俺、俺〟ってばっかり。私、ああいうタイプと仲良くなれる気がしません」
「あはは。元樹君もまた、ひどい言われようだなあ」
「笑いごとじゃないですよ。勝手に店までついてくるし、タダでコーヒー飲んでくし」
もしかして、元樹君と帰ってくるたびに野乃の機嫌があまりよろしくないのは、彼がジュースやコーヒーをタダ飲みしていくことも関係しているのだろうか。
野乃が元樹君に下したあんまりな酷評に思わず声を上げて笑ってしまいながら、渉は改めて早く野乃に心から美味しいと思えるようなコーヒーを淹れてあげたいなと思う。
「え、そう?」
「はい。接客業だってことを考えると意外ってほどでもないんですけど、使い分けてる感じが大人だなあって思えるっていうか。汐崎君なんて、初日からめちゃくちゃ慣れ慣れしいし〝俺、俺〟ってばっかり。私、ああいうタイプと仲良くなれる気がしません」
「あはは。元樹君もまた、ひどい言われようだなあ」
「笑いごとじゃないですよ。勝手に店までついてくるし、タダでコーヒー飲んでくし」
もしかして、元樹君と帰ってくるたびに野乃の機嫌があまりよろしくないのは、彼がジュースやコーヒーをタダ飲みしていくことも関係しているのだろうか。
野乃が元樹君に下したあんまりな酷評に思わず声を上げて笑ってしまいながら、渉は改めて早く野乃に心から美味しいと思えるようなコーヒーを淹れてあげたいなと思う。