言うと野乃が「手伝います」とカットソーの袖をまくった。
昨日はあまり機嫌がよくなかったけれど、今日は文香さんたちのことがあって、機嫌がいいようだ。
「ちなみに、鰹は元樹君のお父さんの源蔵さんが釣ったものだよ」
「……」
「こらこら。そんな嫌そうな顔しないの。野乃ちゃんだって昨日はあんなに美味しそうに食べてたのに、誰のお父さんが釣ったものとか関係ないよ。さ、手を洗って」
「……はい」
いたずら心で試しに言ってみると、野乃の顔があからさまに嫌そうに歪んだ。
そんな素直すぎる野乃にふっと笑うと同時に洗い物が終わり、渉は布巾で軽く手を拭くと冷蔵庫の中から鰹の佃煮風とからし、冷凍庫のほうから小分けにしてラップに包んでおいた菜の花を取り出した。
野乃にはお米を研いでもらうことにする。これを使ってとざるを渡して、米びつからお米を一合半はかってもらい、シンクを野乃に明け渡す。
コーヒーを淹れるための道具と生活に必要な調理器具や食材が一手に集まるカウンター内は、二人で立つには少し狭いような気もした。
けれど、この狭さが渉にはなんだか嬉しい。
昨日はあまり機嫌がよくなかったけれど、今日は文香さんたちのことがあって、機嫌がいいようだ。
「ちなみに、鰹は元樹君のお父さんの源蔵さんが釣ったものだよ」
「……」
「こらこら。そんな嫌そうな顔しないの。野乃ちゃんだって昨日はあんなに美味しそうに食べてたのに、誰のお父さんが釣ったものとか関係ないよ。さ、手を洗って」
「……はい」
いたずら心で試しに言ってみると、野乃の顔があからさまに嫌そうに歪んだ。
そんな素直すぎる野乃にふっと笑うと同時に洗い物が終わり、渉は布巾で軽く手を拭くと冷蔵庫の中から鰹の佃煮風とからし、冷凍庫のほうから小分けにしてラップに包んでおいた菜の花を取り出した。
野乃にはお米を研いでもらうことにする。これを使ってとざるを渡して、米びつからお米を一合半はかってもらい、シンクを野乃に明け渡す。
コーヒーを淹れるための道具と生活に必要な調理器具や食材が一手に集まるカウンター内は、二人で立つには少し狭いような気もした。
けれど、この狭さが渉にはなんだか嬉しい。