何度も頭を下げつつ並んで帰っていく二人を見送ると、店内が急に広く感じられようになった。
もともとそんなに大きい家ではなかったので、店舗に改装した一階部分も全体的にこぢんまりとしているけれど、お客様がいなくなっただけでこんなに広々と感じられるなんて、少し不思議だ。
空いたカップをカンターに下げつつ、すっかり日が落ちた窓の外をぼんやり眺める。
すると背後から「渉さん」と声をかけられた。振り向くと、普段着に着替えた野乃が「……文香さんたち、どうでした?」と心配そうに尋ねた。
気を利かせて部屋に引き上げたはいいが気になって仕方がない、といったところだろうか。元樹君も今頃、晩ご飯を食べながら文香さんたちを気にしている頃だろう。
「ああ、うん。俺の勝手な印象だけど、近いうちにうまくいくんじゃないかなって思う。文香さんのほうも最後には美味しくコーヒーが飲めていたようだったし、上尾さんもそんな文香さんに優しく笑いかけててね。見ててとっても微笑ましかったんだ」
「そうですか、よかった……」
ほっと息をつく野乃の近くを通って、カウンターに引っ込む。
もともとそんなに大きい家ではなかったので、店舗に改装した一階部分も全体的にこぢんまりとしているけれど、お客様がいなくなっただけでこんなに広々と感じられるなんて、少し不思議だ。
空いたカップをカンターに下げつつ、すっかり日が落ちた窓の外をぼんやり眺める。
すると背後から「渉さん」と声をかけられた。振り向くと、普段着に着替えた野乃が「……文香さんたち、どうでした?」と心配そうに尋ねた。
気を利かせて部屋に引き上げたはいいが気になって仕方がない、といったところだろうか。元樹君も今頃、晩ご飯を食べながら文香さんたちを気にしている頃だろう。
「ああ、うん。俺の勝手な印象だけど、近いうちにうまくいくんじゃないかなって思う。文香さんのほうも最後には美味しくコーヒーが飲めていたようだったし、上尾さんもそんな文香さんに優しく笑いかけててね。見ててとっても微笑ましかったんだ」
「そうですか、よかった……」
ほっと息をつく野乃の近くを通って、カウンターに引っ込む。