リンリンと騒がしくドアベルを鳴らして文香さんが駆けていく。
そのまま少し様子を見守っていると、追いついた文香さんに声をかけられ振り向いた上尾さんは、一瞬すごく驚いた顔をしたけれど、すぐにあの写真のように朗らかに笑い、照れくさそうに後頭部に手を当てた。
ここからでは二人の話し声なんて聞こえるはずもないのだけれど、上尾さんも文香さんも笑っている。
お互いに両手で口元を覆ったり拳を当てたりして、クスクスと。
「さて。もう一杯、カプチーノを淹れてこようかな」
そう言って渉は席を立つ。
そんな渉を見て、野乃と元樹君も嬉しそうに笑った。
「すみません、急に飛び出していってしまって……」
それから数分して、再びドアベルがリンリン、と鳴った。
先ほどよりも軽やかに聞こえるその音に、フィルターに移したコーヒー豆に湯を注ぎながら顔を上げると、文香さんに案内されるようにして上尾さんが店に入ってくるところだった。
「いらっしゃいませ。今、上尾さんのぶんも淹れてますから、どうぞお掛けになってお待ちください。文香さんももう一杯いかがですか? 冷めてしまいましたでしょう?」
そのまま少し様子を見守っていると、追いついた文香さんに声をかけられ振り向いた上尾さんは、一瞬すごく驚いた顔をしたけれど、すぐにあの写真のように朗らかに笑い、照れくさそうに後頭部に手を当てた。
ここからでは二人の話し声なんて聞こえるはずもないのだけれど、上尾さんも文香さんも笑っている。
お互いに両手で口元を覆ったり拳を当てたりして、クスクスと。
「さて。もう一杯、カプチーノを淹れてこようかな」
そう言って渉は席を立つ。
そんな渉を見て、野乃と元樹君も嬉しそうに笑った。
「すみません、急に飛び出していってしまって……」
それから数分して、再びドアベルがリンリン、と鳴った。
先ほどよりも軽やかに聞こえるその音に、フィルターに移したコーヒー豆に湯を注ぎながら顔を上げると、文香さんに案内されるようにして上尾さんが店に入ってくるところだった。
「いらっしゃいませ。今、上尾さんのぶんも淹れてますから、どうぞお掛けになってお待ちください。文香さんももう一杯いかがですか? 冷めてしまいましたでしょう?」