「あ、知ってます。ちょうど昨日の夜に【有休消化で来ている旅行先でサークル立ち上げのときの写真を失くしたみたいで、どうしよう】ってLINEをして。すぐに【旅行先ってどこ?】って返事があったから【恋し浜に来てる】って返したんです」
渉が尋ねると、文香さんは弾かれるようにして顔を上げ、まさか、という顔をした。
それからゆっくりと店の窓のほうへ顔を向け、何かを探すように視線をさまよわせる。
野乃も元樹君も、もしかして、という顔で文香さんと同じように窓の向こう――ときおり車が通る程度の外の道路に目を向けている。渉もそうだった。
写真を失くして落ち込んでいる文香さんを心配して上尾さんが来るんじゃないか。
四人とも、そんな気がしてならないのだ。
すると、申し合わせたようにスーツ姿の男性が店の前を通り過ぎていった。
下ばかりをキョロキョロと見て歩いていく後ろ姿に、文香さんの「あっ」という声と席を立つガタガタという忙しない音が重なる。
――上尾さんだ。こちらに背を向けているので顔はわからないけれど、文香さんの様子からも、上尾さんで間違いないようだった。
「……ちょっと行ってきます……!」
渉が尋ねると、文香さんは弾かれるようにして顔を上げ、まさか、という顔をした。
それからゆっくりと店の窓のほうへ顔を向け、何かを探すように視線をさまよわせる。
野乃も元樹君も、もしかして、という顔で文香さんと同じように窓の向こう――ときおり車が通る程度の外の道路に目を向けている。渉もそうだった。
写真を失くして落ち込んでいる文香さんを心配して上尾さんが来るんじゃないか。
四人とも、そんな気がしてならないのだ。
すると、申し合わせたようにスーツ姿の男性が店の前を通り過ぎていった。
下ばかりをキョロキョロと見て歩いていく後ろ姿に、文香さんの「あっ」という声と席を立つガタガタという忙しない音が重なる。
――上尾さんだ。こちらに背を向けているので顔はわからないけれど、文香さんの様子からも、上尾さんで間違いないようだった。
「……ちょっと行ってきます……!」