話している時間も惜しいというように、文香さんがやや早口で喋りながらショルダーバッグの中からスマホを取り出す。
何度か画面をスクロールさせて見つけた写真を見た彼女は、再び「あっ……」と声を上げた。今度は静かな驚きの声だった。
「どうぞ」
「はい」
そうして渉たちも見せてもらうと、文香さんに視線を向けているように見えた男性は、やはり今回もそう見えるか見えないかという微妙なライン上でカメラのほうを見つつ朗らかに笑っていた。
口が大きく目は垂れ気味で、全体的に癒し系の顔立ちだ。
「……やっぱり。きっとこの人も、金魚を長生きさせてあげられなかったことを文香さんと同じように思っていると思います。あと、ちょっとほっとしてるのかな」
「どういう意味だ?」
さらに確信を深めたような野乃の声に、ますます訳がわからないといった様子で元樹君が尋ねる。
野乃はあからさまに「はぁ……」とため息をつくと、
「絶対そうだとは言いきれないけど、この彼、文香さんのことがずーっと前から好きなんだと思う。文香さんも、なんとなく思い当たる節があるんじゃないですか?」
何度か画面をスクロールさせて見つけた写真を見た彼女は、再び「あっ……」と声を上げた。今度は静かな驚きの声だった。
「どうぞ」
「はい」
そうして渉たちも見せてもらうと、文香さんに視線を向けているように見えた男性は、やはり今回もそう見えるか見えないかという微妙なライン上でカメラのほうを見つつ朗らかに笑っていた。
口が大きく目は垂れ気味で、全体的に癒し系の顔立ちだ。
「……やっぱり。きっとこの人も、金魚を長生きさせてあげられなかったことを文香さんと同じように思っていると思います。あと、ちょっとほっとしてるのかな」
「どういう意味だ?」
さらに確信を深めたような野乃の声に、ますます訳がわからないといった様子で元樹君が尋ねる。
野乃はあからさまに「はぁ……」とため息をつくと、
「絶対そうだとは言いきれないけど、この彼、文香さんのことがずーっと前から好きなんだと思う。文香さんも、なんとなく思い当たる節があるんじゃないですか?」