野乃が元樹君とともに学校から帰ってきたのは、午後四時半頃だった今の時刻は六時十分。


 寄り道をして帰るにはまだ十分に早い時間帯だけれど、やはり保護者の身としては一時間半も出かけたきりというのも、なかなかに胃がしくしくと痛むものだ。


 恋し浜界隈の治安は、言わずもがな、いい。


 赴任してくる駐在さんともすっかり顔馴染みのここの人たちは、とれた魚や野菜などを駐在さんにもおすそ分けしている。


 なので、そういう面での心配はするだけ無駄だというものだけれど……。


「今日もあいつ、クラスの女子に話しかけられても反応薄くてさ。ていうか、集団で来られると、やっぱどうしてもビクついちゃうところがあって。心配だからそばにいてやりたいんだけど、そういうの、野乃にとっては迷惑でしかないのかな……?」


「そこなんだよね。俺も野乃ちゃんにどこまで踏み込んでいっていいのか、ちょっと測りかねてる部分がまだまだあってさ。良くも悪くも〝人〟に敏感に反応する子だから、俺もそこらへんを心配してるんだ。戻ってこないことはないと思うけど、心配だよね」


「ですよね……」