「でも、いざ二人が付き合いはじめたって知ると、当たり前のように嫉妬もしてしまうんです。私だって一生懸命お世話してたのにどうして、なんて、彼女に対して恨み妬みもいいところですよ。そういうのもあって、なんだかもう、気持ちまでぐちゃぐちゃになってしまって……。今はもう、私はあのときどうしたらよかったんだろうって。そればっかり、考えてしまいます」
と、言う。
「そうでしたか……」
一つ相づちを打つと、しかし彼女は、はっと顔を上げる。
「でも、逆に考えると、フラれなくて済んだってことになりますよね。金魚がきっかけでしたけど、二人の付き合いは順調だって聞いてますし、彼も彼女と付き合ったということは、私はもともと、ただのサークル時代からの友達っていうポジションだったんだと思います。……少しずつ臆病になっていくんですよね、大人になると。無駄に傷つきたくないし、変なことでやきもきしたくないし。きっと私の金魚は、そういう私の心を全部見透かしていたんじゃないかって、今になって思ったりもするんです。ここらが諦め時なんじゃないのって、潮時なんじゃないのって、そう教えてくれていたのかもしれません」
と、言う。
「そうでしたか……」
一つ相づちを打つと、しかし彼女は、はっと顔を上げる。
「でも、逆に考えると、フラれなくて済んだってことになりますよね。金魚がきっかけでしたけど、二人の付き合いは順調だって聞いてますし、彼も彼女と付き合ったということは、私はもともと、ただのサークル時代からの友達っていうポジションだったんだと思います。……少しずつ臆病になっていくんですよね、大人になると。無駄に傷つきたくないし、変なことでやきもきしたくないし。きっと私の金魚は、そういう私の心を全部見透かしていたんじゃないかって、今になって思ったりもするんです。ここらが諦め時なんじゃないのって、潮時なんじゃないのって、そう教えてくれていたのかもしれません」