ここからの時間帯は、本当にもうお客さんは入らない。
店を開けているだけ赤字だと前に源蔵さんに言われたが、返す言葉もない。
でも、今日も開けておかなければ。すぐに気づいて取りに来てくれたときに店が開いていなかったら、あの女性が落胆してしまう。
「野乃ちゃん、今から晩ご飯作るね。もうちょっと待ってて」
気を取り直した渉は、二階の野乃に向けて声を張ると、冷蔵庫からさっそく源蔵さんにおすそ分けしてもらった鰹をまな板の上に乗せた。
ここに来てから、魚のさばき方もずいぶん上手くなった。今夜は源蔵さんにも言っていた通り、初鰹でタタキだ。
野乃からの返事はなかったが、三十分ほどして、彼女が階段を下りてきた。
どうやら、渉の声はちゃんと聞こえていたらしい。午後八時にはご飯も炊けてタタキも出来上がり、二人で適当なテーブルについて少し遅めの晩ごはんとする。
少し考えて、元樹君の父親である源蔵さんが捕った鰹だということは、言わないでおくことにした。
元樹君がよろしくと言っていたとだけ伝えると、野乃は少しだけ嫌そうな顔をしたものの、帰ってきたときのように、あからさまに不機嫌ではなかった。
店を開けているだけ赤字だと前に源蔵さんに言われたが、返す言葉もない。
でも、今日も開けておかなければ。すぐに気づいて取りに来てくれたときに店が開いていなかったら、あの女性が落胆してしまう。
「野乃ちゃん、今から晩ご飯作るね。もうちょっと待ってて」
気を取り直した渉は、二階の野乃に向けて声を張ると、冷蔵庫からさっそく源蔵さんにおすそ分けしてもらった鰹をまな板の上に乗せた。
ここに来てから、魚のさばき方もずいぶん上手くなった。今夜は源蔵さんにも言っていた通り、初鰹でタタキだ。
野乃からの返事はなかったが、三十分ほどして、彼女が階段を下りてきた。
どうやら、渉の声はちゃんと聞こえていたらしい。午後八時にはご飯も炊けてタタキも出来上がり、二人で適当なテーブルについて少し遅めの晩ごはんとする。
少し考えて、元樹君の父親である源蔵さんが捕った鰹だということは、言わないでおくことにした。
元樹君がよろしくと言っていたとだけ伝えると、野乃は少しだけ嫌そうな顔をしたものの、帰ってきたときのように、あからさまに不機嫌ではなかった。