おいしい失恋の淹れかた~ここは恋し浜珈琲店~

 自分の言葉で野乃の心がズタズタに切り裂かれていくのがわかる。


 あえて自分に攻撃的な言葉を選んで言っているのだということも、そうでもしないと向こうに残してきてしまった二人に、せめてもの償いができないと思っているのだろうことも、よくわかる。


 ――でも。


「じゃあ、どうして俺に打ち明けようと思った?」


「……え?」


 これでは野乃が、いつまで経っても前に進めないじゃないか。


「一人で抱えているにはつらすぎたっていうのも、もちろんあると思う。俺が知世の話をしたから、野乃ちゃんも自分のことを話さなきゃって思ってくれたのかもしれない。でもね、野乃ちゃんはさっき言ってくれたでしょう。結末を決めなきゃいけないのはむしろ自分のほうだ、二人でちゃんと結末を決められたら、そのときは、うんと美味しいコーヒーを飲もうって。……野乃ちゃん、本当はもうわかっているんじゃないのかな?」


「ど、どういう……」