……結末は知っているのだ。淡々と話しているように見えて、野乃はひどく緊張しているのだろう。
野乃の中では、まだ何も終わっていない。悔やんでも悔やみきれない思いが、野乃の指先を微かに震わせている。
それでも顔を上げると、野乃は話の続きを再び語りはじめる。
「七緒が職員室から戻ってこないかが、ただただ気がかりでした。変なところを聞かれて誤解でもされたらと思うと、気が気じゃなくて。……寺島君には、考えて考えて、その場で『そういう気持ちになったことはない、きっとこれからもないから、ごめん』って断りました。七緒が寺島君を好きなことは、私の口からは言えないことでしたから。七緒は七緒で、寺島君とずいぶん普通に話せるようになっていたんです。私と一緒にいることで寺島君と話ができるようになって、とても喜んでくれていたんですよ。だからそろそろ引き際だなって考えていた頃でもあったんです。完全に仲人のつもりだったんですよ」
「うん」
「それでも寺島君は、何かにピンときたみたいで」
――『俺の気持ちに応えられないのは、江南のせいか?』
そう、ひどく真剣な目をして野乃に詰め寄ったそうだ。
野乃の中では、まだ何も終わっていない。悔やんでも悔やみきれない思いが、野乃の指先を微かに震わせている。
それでも顔を上げると、野乃は話の続きを再び語りはじめる。
「七緒が職員室から戻ってこないかが、ただただ気がかりでした。変なところを聞かれて誤解でもされたらと思うと、気が気じゃなくて。……寺島君には、考えて考えて、その場で『そういう気持ちになったことはない、きっとこれからもないから、ごめん』って断りました。七緒が寺島君を好きなことは、私の口からは言えないことでしたから。七緒は七緒で、寺島君とずいぶん普通に話せるようになっていたんです。私と一緒にいることで寺島君と話ができるようになって、とても喜んでくれていたんですよ。だからそろそろ引き際だなって考えていた頃でもあったんです。完全に仲人のつもりだったんですよ」
「うん」
「それでも寺島君は、何かにピンときたみたいで」
――『俺の気持ちに応えられないのは、江南のせいか?』
そう、ひどく真剣な目をして野乃に詰め寄ったそうだ。


