「そうですね。だから私も、寺島君の女の子の好みを七緒に教えてあげていたんです。七緒は自分から声をかけたりできるようなタイプの子ではなかったので。ずっと片想いをしていて、高校まで追いかけるくらいですから。自分の内側から気持ちを奮い立たせることはできても、直接は、どうにも勇気が出なかったみたいで……。でも、きっかけさえあれば、七緒だって動けると思ったんです。現に接点も欲しがっていましたし、寺島君の好きなタイプを知って少しでも近づきたいって気持ちは、私もすごく共感しました」
「うん」
「でも、それから少しして、寺島君が言ったんです。『宮内って、俺のこと好きだろ?』って。たまたま、職員室に用事があった七緒を教室で待っていたときです。その頃は放課後、毎日のようにファーストフード店とかに寄り道して、その日、寺島君から聞いたことを七緒に報告するのが日課になっていて。そこに寺島君がひょっこり現れて、思ってもみなかったことを言われてしまって……。驚きすぎて、頭が追いつきませんでした」
「じゃあ野乃ちゃんは、彼とはずいぶん話すようになっていたんだね?」
「うん」
「でも、それから少しして、寺島君が言ったんです。『宮内って、俺のこと好きだろ?』って。たまたま、職員室に用事があった七緒を教室で待っていたときです。その頃は放課後、毎日のようにファーストフード店とかに寄り道して、その日、寺島君から聞いたことを七緒に報告するのが日課になっていて。そこに寺島君がひょっこり現れて、思ってもみなかったことを言われてしまって……。驚きすぎて、頭が追いつきませんでした」
「じゃあ野乃ちゃんは、彼とはずいぶん話すようになっていたんだね?」


