そんな会話の最後に、渉もトマトにプチっと爪楊枝を刺し、甘酸っぱいそれを一つ、口に入れた。
ちなみにこのミニトマトも、以前おすそ分け頂いた近所に住む家庭菜園が趣味のおばあさん――トヨさんがくれたものだ。
なんでも今年はトマトの実の付き具合が非常にいいそうで、一人では食べきれないからと数日に一度、持ってきてくれる。
それをシロップ漬けにして野乃と食べたり、トヨさんにおすそ分け返しをしたりと、渉のご近所付き合いもなかなか堂に入ったものだ。
新鮮な野菜をいつもおすそ分けしてもらっているので、おかげさまで野乃も渉も身体の調子がすこぶるいい夏のはじまりだ。
それから少しの沈黙。
コーヒーカップからゆらゆらと立ち上る湯気を見るともなしに眺めていた渉は、よし、と一つ自分に気合いを入れて、つと野乃を見る。野乃もその視線を感じて顔を上げた。
「――この前の彼女の話、続きを聞いてくれる?」
そうして渉は、ブラックコーヒーに一口、口をつけた。
*
ちなみにこのミニトマトも、以前おすそ分け頂いた近所に住む家庭菜園が趣味のおばあさん――トヨさんがくれたものだ。
なんでも今年はトマトの実の付き具合が非常にいいそうで、一人では食べきれないからと数日に一度、持ってきてくれる。
それをシロップ漬けにして野乃と食べたり、トヨさんにおすそ分け返しをしたりと、渉のご近所付き合いもなかなか堂に入ったものだ。
新鮮な野菜をいつもおすそ分けしてもらっているので、おかげさまで野乃も渉も身体の調子がすこぶるいい夏のはじまりだ。
それから少しの沈黙。
コーヒーカップからゆらゆらと立ち上る湯気を見るともなしに眺めていた渉は、よし、と一つ自分に気合いを入れて、つと野乃を見る。野乃もその視線を感じて顔を上げた。
「――この前の彼女の話、続きを聞いてくれる?」
そうして渉は、ブラックコーヒーに一口、口をつけた。
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