変わっていくもの。変わらないもの。


 渉は、この『恋し浜珈琲店』はどちらだろうか。


 ふと四人を見ると、いつものメンバーである野乃と元樹君以外の二人は、揃って席を立つところだった。「ご馳走様でした、明日学校でね」「授業のノート見せてあげるから早く治しなさいよー」とそれぞれに言って帰っていく二人に、野乃と元樹君が手を振って応える。


 今日はあいにくの薄曇りだが、まだ外は十分に明るい。考えるまでもなく、二人が気を利かせてくれたのだとわかる。――もしかしたら、元樹君にも。


「あの、えっと……」


「ああ、この二人は相談役です。僕よりうんと聞き上手ですし、もしかしたらお客様でも気づいていなかったことに気づいてくれるかもしれません。お邪魔ではなかったら、どうぞ僕たちにお話しして頂けませんか? 頼りになる子たちですから」


 残った高校生二人に戸惑いの表情を浮かべるその人に、渉はそう言って笑った。


 渉はいまだ、変わっていくものと変わらないものの間にいる。でもとりあえず、今はこのお客様にご満足していただくことが先決だ。


 ここは、そういう場所。そして、瑞々しく青春を謳歌する彼らには、恋と友情のラテアートがよく似合う。