体育祭は金曜日で、月曜日からはまた通常通りの授業だ。


 しかし野乃は、体育祭の翌日から熱が上がってしまい、土日の休みを寝込んで過ごすことになってしまった。


 甲斐甲斐しく世話を焼く渉に野乃はしきりに恐縮したが、思えば新しい環境に慣れたり人間関係を築いたりするだけで精いっぱいで、今まで相当無理をしていたのだろう。


 月曜日の朝になっても熱が下がらず、その日は学校を休ませることにした。


 学校が終わる時間になると、野乃を見舞って元樹君と嘉納さん、それに三川さんが商店街にある青果店の袋を下げてやってきた。


 バナナ、桃、さくらんぼはちょっと手が出なかったそうでアメリカンチェリーを差し入れてくれて、その頃には熱もだいぶ引き、今日も閑古鳥が鳴く店内で座って過ごせるようになっていた野乃は、彼らの突然の訪問や見舞いの品に目をまん丸にして驚き、次いで自分のぼさぼさの格好に大いに恥ずかしがった。


「熱で寝込んでるって聞いたから、どうしてっかなーと思って来てみたんだよ」


「今までの疲れが一気に出たんだね。野乃ちゃん、頑張ってたから」