余談だが、渉は昔から美術だけは本当にダメだった。
料理もそれなりにできるしコーヒーも淹れられる、家事全般もわりと得意で、ボタンの付け替えくらいなら自分で何とかでき、手先は器用なほうだと思っているが、どうしてだか絵も物作りも本当に下手くそで、美術の成績はいつもお情けで五段階評価の3をもらっていたくらいだ。
だからクマのイラストが壊滅的に先鋭的だったのだけれど。野乃も嘉納さんも、なかなかひどい。
しかし、もっとひどいのは、一番初めに二歳児並みの画力にたとえた元樹君である。潔くて清々しい子だなと感心していただけに、その評価はダダ下がりだ。
「渉さーん。野乃たちがこんなこと言ってますけど、言わせといていいんすかー?」
でも、どうやら元樹君も少しずついつもの調子を取り戻してきたようで、カウンター内にいる渉を振り向いた彼の表情は、それほど硬いものではなかった。
「こらこら、先に二歳児って言ったのは元樹君でしょうよ。今までサービスしてきたコーヒー代、今まとめて払ってもらってもいいんだよ?」
「うげっ……」
料理もそれなりにできるしコーヒーも淹れられる、家事全般もわりと得意で、ボタンの付け替えくらいなら自分で何とかでき、手先は器用なほうだと思っているが、どうしてだか絵も物作りも本当に下手くそで、美術の成績はいつもお情けで五段階評価の3をもらっていたくらいだ。
だからクマのイラストが壊滅的に先鋭的だったのだけれど。野乃も嘉納さんも、なかなかひどい。
しかし、もっとひどいのは、一番初めに二歳児並みの画力にたとえた元樹君である。潔くて清々しい子だなと感心していただけに、その評価はダダ下がりだ。
「渉さーん。野乃たちがこんなこと言ってますけど、言わせといていいんすかー?」
でも、どうやら元樹君も少しずついつもの調子を取り戻してきたようで、カウンター内にいる渉を振り向いた彼の表情は、それほど硬いものではなかった。
「こらこら、先に二歳児って言ったのは元樹君でしょうよ。今までサービスしてきたコーヒー代、今まとめて払ってもらってもいいんだよ?」
「うげっ……」