たまらず自虐的な台詞で間を繋げる。野乃は遠慮がちに顔を上げ、


「……そういうことだったんですね。なんというか、これ……」


「クマじゃねーし。そもそも、イラストでもねーし」


 気遣わしげな野乃の言葉尻を引き継ぎ、元樹君が単刀直入にぶった切った。


「ですよね……はは」


 その通りでもう何も言えない渉は、今度来るときまでに練習しておきます……と尻つぼみ的に声を小さくしながらカウンターの中に逃げ帰るしかなかった。


「……ふっ。でも、今の私にはぴったりじゃん。見た目はともかく、味は宮内さんのお墨付きなんでしょ。有難く頂くよ。ありがとね、ここがそういうお店だって教えてくれて」

「ううん、温かいものを飲むと少しは気持ちも落ち着くかと思っただけだよ」


「そうだったとしても、教えてもらわなかったら、こんなに先鋭的なラテアートなんて見られなかったんだし。今日のこともいろいろ感謝してる。それから、今までごめん」


「先鋭的って……まあ確かにそうだけど。うん。そのことなら大丈夫。最初からわかってたから、可愛いもんだったよ。気分のいいものではなかったけどね」


「だよね。ほんと、みっともなかった。おかげで友達もなくすし、自業自得だよ」