詳しく話を聞くと、もう一つの女子グループが、三川さんはわがままが過ぎると文句を言い出したのがはじまりだったという。


 クラスの雰囲気を乱して何様のつもりだと、ムカデ競争の練習の場でもう一つのグループが鬱憤を吐き出し、それを聞いていたクラスの人たちの中でも、三川さんを非難する声が上がりはじめたのだそうだ。


 三川さんのグループは当然彼女を擁護したが、最終的にはしばらく待っても戻ってこなかった彼女を庇いきることはできなかった。


 翌日には、彼女の属するグループの友達も含め、三川さんを見るクラスの目が一変してしまい、それでもなんとか放課後のクラス練習は元樹君が「今日で練習できるのは最後なんだし!」とみんなを盛り上げて行えたのだけれど。


 当日の今日になっても三川さんへの風当たりは厳しく、そんな空気に耐えきれなかった彼女は一人教室に留まり続け、誰も迎えに行くことはないのだという。


「汐崎君なら放っておくわけないんですけど、委員の仕事が思ったより過密で、朝からずっと休みなく動いてるんです。自分の競技もあるし、その合間を縫って三川さんを迎えに行こうとすると、ほかの男子に止められてるのも見かけたし……」