一服がてらコーヒーを飲み、店の表のプレートは【close】のまま、【都合により本日は午後からの営業になります】と手書きの張り紙を貼って鍵をかける。
現在時刻は午前十時。店先の端に停めてあるライトバンに乗り込むと、渉は車を邦陽高校へ向かわせた。
「うわー、盛り上がってるなぁ」
五分ほどして着いた邦陽高校では、ちょうど飴玉食い競争の真っ最中だった。
軽快な音楽が大音量で校庭に響く中、ジャージにハチマキ姿の高校生たちが、口の周りを粉で白くしたりなぜか頭から粉を被ったりしながらゴールに向かい、それを応援するギャラリーも笑いながらだったり手を叩きながらだったりしながら大いに盛り上がっている。
「わた、渉さん……っ! いいって言ったのに……」
野外テント内にいた教師に事情を話すと、すぐに伝達が飛び、野乃が飛んできた。
顔が赤いのは、けして今日が晴天に恵まれているからではない。あれだけ大丈夫だからと固辞していたのに渉がのこのこ弁当を届けに来て、ものすごく恥ずかしいからだ。
「す、すみません、ちょっと教室に置いてきます」
「おわっ」
現在時刻は午前十時。店先の端に停めてあるライトバンに乗り込むと、渉は車を邦陽高校へ向かわせた。
「うわー、盛り上がってるなぁ」
五分ほどして着いた邦陽高校では、ちょうど飴玉食い競争の真っ最中だった。
軽快な音楽が大音量で校庭に響く中、ジャージにハチマキ姿の高校生たちが、口の周りを粉で白くしたりなぜか頭から粉を被ったりしながらゴールに向かい、それを応援するギャラリーも笑いながらだったり手を叩きながらだったりしながら大いに盛り上がっている。
「わた、渉さん……っ! いいって言ったのに……」
野外テント内にいた教師に事情を話すと、すぐに伝達が飛び、野乃が飛んできた。
顔が赤いのは、けして今日が晴天に恵まれているからではない。あれだけ大丈夫だからと固辞していたのに渉がのこのこ弁当を届けに来て、ものすごく恥ずかしいからだ。
「す、すみません、ちょっと教室に置いてきます」
「おわっ」