シソは日本のハーブだ。ワサビも確かそうだったと思うけれど、日本人の感覚としては、どちらも野菜に分類されるような気がする。


 とはいえ、山椒なども含めて香りを主に楽しむものだから、和ハーブなのだろう。


 ハーブと聞くとミントやレモングラスやその他西洋のものがぱっと思い浮かぶが、日本にも自然のものを上手く取り入れた暮らしが今でも脈々と受け継がれている。


「わあ、シソのいい香り」


「爽やかでいいよね。でも、すごい勢いで増えるんだ。性が強いんだよ、シソって」


 シソの葉を軽く洗っていると、香りが立ったのか野乃がクンクンと鼻を寄せてきた。


 しかしここ数年の経験でシソがものすごく性の強い植物だということを教えると、野乃は、こんなにいい香りなのに……と多少ショックを受けた顔をする。


「じゃあ、店先の草取りとか大変じゃないですか? 根っことかも強そうだし」


「まあ、多少はね。でも俺は時間もけっこうあるし。そんなに苦じゃないよ」


「……もし三川さんたちが何かしてきたら、ここの草取り、一日中させようかな」