すると、嘉納さんが心底感心したといったふうに、ぽつりと口を開いた。思いのほか白熱してしまったので今まで手を付けるタイミングがなかったのだろうアイスコーヒーに、ミルクと、ガムシロップを二つ、三つと続けて入れながら、


「私、三川さんたちが苦手で。だから、恥ずかしい話だけど、あんまり気持ちを考えようとしたことなんてなかった。でも、だからって第三者が勝手にどうこうしていいわけじゃないんだよね。三川さんたちが宮内さんに取る態度は、私だってどうしようもなく呆れるけど、宮内さんの考え方は一本筋が通ってて格好いいと思っちゃった」


 ふっ、と口元を緩め、ストローでグラスの中をかき混ぜた。


「そ、そんなことないよ。私はただ、迷惑なだけで……」


 すると途端に野乃が照れた。


 普段はミルクもシロップも一つずつ入れるのに珍しく焦ったようで、包みからストローを取り出すと、アイスコーヒーだけのグラスを無意味にカランカランとかき混ぜはじめた。


 顔もわずかに紅潮していて、飲んで体を冷やそうとしたらしい野乃は、けれど一口コーヒーを吸い上げると苦そうに口をへし曲げる。


 そんな野乃の可愛らしい姿を眺めながら、嘉納さんはゆるゆると首を振った。