「うん、それはわかるよ。おかげでクラスにもだいぶ慣れたし。でもそれ、一ヵ月以上も前の話でしょ? 汐崎君のその発想がそもそも、高校生のあれこれを考えてないっていうことなの。カーストがないのはいいことだよ。いちいち顔色を窺わなくて済むのは、とっても救われる。でも、理想論だよ、そんなのは。なくならないの、永久に」
「……んだよっ。なんでそんなに冷めてんだよ、野乃は」
「汐崎君が熱すぎるだけ。だから何度も鈍感だって言ってるの」
「つーか、それも意味わかんないんだけど。なんなの、俺の何が鈍感なの」
「全部」
「ぜ、んぶ……」
その間も、野乃と元樹君のいつもの口ゲンカは止まらず、野乃の間髪入れない「全部」に元樹君はうぐっという感じで半身を引く。
相変わらず嘉納さんは二人の様子をオロオロしながら見ているばかりで、チラチラと『どうにかしてください……』と渉に助けを求める視線を投げかけるだけで精いっぱいなようだ。
「……んだよっ。なんでそんなに冷めてんだよ、野乃は」
「汐崎君が熱すぎるだけ。だから何度も鈍感だって言ってるの」
「つーか、それも意味わかんないんだけど。なんなの、俺の何が鈍感なの」
「全部」
「ぜ、んぶ……」
その間も、野乃と元樹君のいつもの口ゲンカは止まらず、野乃の間髪入れない「全部」に元樹君はうぐっという感じで半身を引く。
相変わらず嘉納さんは二人の様子をオロオロしながら見ているばかりで、チラチラと『どうにかしてください……』と渉に助けを求める視線を投げかけるだけで精いっぱいなようだ。