なぜ嘉納さんまでいるのかといえば、彼女もまた体育祭実行委員に祭り上げられた人の一人だったからだ。


 一クラス男女二人ずつが選出されるという委員は、元樹くんのほかに行田《ゆきた》君という男の子がいるらしい。しかし彼は塾に通っていて、今日は塾の日。


 もともと運動は好きではないらしく、練習がなくなったので早々にそちらに向かったというわけで、今の『恋し浜珈琲店』には高校生三人と渉の計四人が在店している。


 ちなみに、今日も客入りはぽつりぽつりといった具合で、午後になると実にのんびり、ゆったり……早い話が閑古鳥が鳴いている状態だった。


 なので、いくらでも愚痴っていいけれど、あんまり声が大きいと響くからほどほどにしてほしいなと渉は眼鏡の奥で苦笑する。


 まあ、青春らしいと言えば、青春らしいけれど。


「鈍感すぎるってなんだよ。俺はクラスでカーストっぽい序列があるのが許せなかっただけで、大嫌いなんて言われるようなことを言った覚えはねえよ。構うなって言われてもこれが俺のやり方なんだから今さら変わんないし、つーか転校生が来たんだから、みんなしてよそよそしいのもおかしいだろ。俺はただ、クラスみんなで仲良くさぁ」