それから三日三晩、雨はしとしとと降り続いた。


 野乃はすっかり渉とは目を合わさなくなり、それでも一緒に摂る食事の席では、沈黙が怖いのか、よく学校の話をするようになった。ちぐはぐなその態度に渉は何度も口を開きかけた。


 でも、どう声をかけても野乃を傷つけてしまう気がして、他愛ないその話題に相づちを打つだけだった。


 四日目の朝。


「――この前は取り乱したりしてすみませんでした。お互い、あのことは忘れませんか?」


 制服に着替えて朝食の席に下りてきた野乃は、困ったように笑って渉に言った。


 汐崎君が渉さんと何かあったのかってしつこく聞いてくるから、もう嫌になっちゃって……。そう付け足した野乃に、渉は「……そうだね」と答える以外の選択肢は持ち合わせていなかった。


 元樹君にまで心配をかけてしまっては、大人としてどうかと思う。


 その日は、計四日間の雨が嘘のように朝から綺麗に晴れていて、朝食を食べ終わり流し台に食器を下げた野乃が「いってきます」とドアベルを鳴らして登校していったときの顔は、ちょうど逆光になっていて少しも見えなかった。