ガリラ船が燃え上がっていた。

水素が発生しているのだ。

地球の王女さまは小型の宇宙ヨットでそれを望遠鏡で観察しながらゾッとするのを感じた。

「ねえ、ドリア。
あの船の部品は古代テラのものよね?」と地球の王女さまはいった。

ガリラ船が出発したのは今から二千年前のことだ。

テラの植物をガリラ船は殖民惑星のために載せていたのである。

ガリラ船のエンジンは、原始的な核融合炉だ。

ドリアは同意した。

「確かに。
あ、今消火作業が始まっていますよ」

静止軌道では航路管制が敷かれていた。

数キロ近い直径のリング型のガリラ船。

その一部が燃え上がっていた。

巨大なガリラ船に向けて、冷却剤が消火艇によって散布されていた。
さらに哨戒宇宙艇の分子破壊砲も投入され、ガリラ船の燃焼した区画を切り離す作業も進められている。