「ずっと、死にたかったの。」

「あなたでよかった。」

憎らしいアイツの下で血溜まりが大きくなる中、そんな声が室内を支配した。

たった五分前だ。

いや、十分前か?

その声が耳にこびりついて離れない。

そう言ったときよりも広くなった血溜まりと本人の顔色が、こいつが死んでいることを物語っている。

たったさっき、俺が殺した。

その状況が未だつかめず、ただ早くしないと血が取れなくなる、なんて謎に冷静な考えに従って、濡らしたバスタオルで床を拭く。