「ふー美味しかったな。」

「あ、ありがとうございました!ご馳走さまでした。」

「おう!まあ、これから頑張れよ新人!じゃあな。あ、この傘使え。俺は走って帰るから。」

そう言って新見さんが駅に向かって歩いていた。

あたしは、帰って行く新見さんの後ろ姿を見つめた。

新見さん…

寂しいって今言ったら一緒にいてくれますか?

その時あたしの中の欲が心を掻き乱してきた。

行かないで…。

そしてあたしは走り、新見さんを後ろから抱き締めた。

「か、葛城何して…。」

「…行かないで下さい。」

「え?」

「お願い今は一緒にいて…。」

雨がやむまでで良い。

だから…。

「葛城俺は…。」

「寂しいんです。」