そして、あたしは施設を出た。

「…今まで有り難うございました。

お世話になりました。」

「…こちらこそありがとうね。

舞ちゃんが幸せになるよう私は祈っているからね。」

そう言って園長は手を振ってくれた。

「…舞ちゃん元気でね。」

「またね、舞ちゃん。」

皆がそう言って泣きながら手を振ってくれた。

(…バイバイ皆ありがとう。)

そして

「…舞ちゃん行きましょうか。」

そう言って薫さんが手を握ってくれた。

久しぶりに感じた

親に手を繋がられるという感覚。

ああ、こんなにも手って温かいものだったんだ…。

そしてあたしは車に乗った。

何度も後ろを振り返りながら遠くなっていく施設を見つめた。

バイバイ皆…。