そして私はその家族にあった。

「…こちらが以前お話してた舞ちゃんです。」

「は、初めまして。葛城舞です。」

「あら、かわいい。舞ちゃん初めまして。

夫の松川祐二と私は妻の薫です。

そしてこっちがあなたのお兄ちゃんになる隼人です。」

「初めまして。僕は兄の隼人です。」

「初めまして…。」

「隼人はね。今大学受験中なの。

私ねずっと娘と料理をするのが夢だったの。一人目は女の子だったんけど流産しちゃって…。

だから、舞ちゃんさえ良ければ私達の家に来てくれないかしら?」

見た感じとても優しそうな家族だ。

この家族なら、あたしも…。

「焦らなくて良いからね。園長先生、今日は有り難うございます。」

「こちらこそ。」

「またね、舞ちゃん。」

そして松川家は帰って行った。

「…舞ちゃん。どう?あなたももう17だけど…でもこのまま家族がいないままなのは良くないと私は思うの。」

「……」

まだ怖い。

でもあたしもいつまでもこのままじゃいけない。

『舞ちゃんならきっと大丈夫。」

別れる前、裕太はそう言ってくれた。

裕太…あたし変われるよね?

「…園長先生。」

「…ん?」

「…あたし、あの家族の娘になります。」

「「…舞ちゃん。」

だけどあの家を選んだのは間違ってた。

あたしに居場所なんて最初からなかったんだ。