ザーザー


部屋の窓の外から、雨の音が聞こえた。





雨って昔からなんか好き。




多分、音で心も身体も何故か落ち着けるから。






それに…。


カチ


あたしは、隣でタバコを吸う宗太郎さんを見つめた。



「どうした?舞」


そう言って艶やかな目であたしを見つめる。


その目が好き。


あたしが雨を好きなのは、それだけじゃない。


…雨の日はこの人を独り占め出来るから。


それもある。




「ううん、何でもない。」




そう言ってあたしはそっと、宗太郎さんの首に腕を回した。


「…どうした?危ないよ?」


「…ふと、こうしたくなったの。」


【…愛してる。】


なんてお互い決して口には出さないけど。


だからこそ、あたし達は身体で表現する。

あたしはギュッと宗太郎さんを抱き締めた。



ああ…。


宗太郎さんは今、ここにいる




あたしの腕の中にいる。



「こうしちゃダメ?」


…この人の前だけ、あたしはありのままの姿を見せれる。


まるで子供のようにあたしはこの人の前だけ甘える。


「…舞?」


「ねえ、宗太郎さん。…抱いて?」



この人の全てが好き。



細くて長い指



シャツから香るフローラル




タバコを吸う姿



全部。



そしてあたしはこの人と今から堕ちる。

禁断という壁を壊して…。