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「じゃあ、次の文章を枝松さん」


２時間目の国語の授業でそう言われた時、あたしは立ち上がることができなかった。


先生があたしを見て険しい表情をしている。


「あ……えっと……」


この事態をどう回避しようかと頭をフル回転させるが、いい案は浮かんでこない。


試に教科書に視線を落としてみるけれど、それを読むことは困難だった。


「どうしたの？　大丈夫？」


先生がこちらへ近づいて来る。


あたしはなにも言えずにただ教科書を見つめる。


クラスメートたちからさざめきのような声が聞こえてきて、そのどれもがあたしをあざ笑うもののような気がしてならなかった。