「してたしてた。なにか考え事?」


源太にそう聞かれてあたしは頷いた。


「まぁね……」


「学校の事?」


続けて質問され、今度は曖昧に頷く。


そして、この人たちには無理に嘘をついたり自分を取り繕う必要はないのだと思い出した。


言いたいことがあれば言えばいい。


言いたくないのなら、黙っていればいい。


そんな関係なんだった。


「実は、文字が読めないの」


「え?」


突然の言葉に有馬と源太は瞬きをしてあたしを見た。


「ちょっと前から、急に文字が読めなくなって困ってる」


「なんだよそれ、大丈夫か?」


有馬が心配そうに眉を寄せた。