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このまま文字が読めないままだと、あたしはどうなってしまうんだろう。


学校へ向かう途中、不意にそんな不安が胸をよぎった。


クラスメートたちにはすでにバレていることだし、先生だっていぶかしく感じているはずだ。


いつまでも黙っていることはできない。


でも、どのタイミングで両親に打ち明ければいいかわからなかった。


「菜々花?」


後ろからそんな声が聞こえてきて振り向くと、有馬と源太の2人が登校して来る途中だった。


「どうしたんだよ菜々花。すっげー怖い顔して」


有馬がそう言ってあたしの顔を覗き込んで来た。


「そんなに怖い顔してた?」


そう聞きながら自分の頬に触れる。


少し、筋肉が硬直しているかもしれない。