周囲から迷惑そうな声が上がる。


そんなことも気にならなかった。


あたしは嫌がる美羽の爪に灰色のネイルを落とした。


たっぷりと、指につくくらい。


「ちょっと、それは……」


咄嗟に真由子が止めに入るけれど、あたしは止めなかった。


美羽の指がどんどん灰色に染まって行き、栞奈の笑い声がこだまする。


あたしはシンナー中毒にでもなってしまったのだろうか?


自分のしていることを止めることができなくなっていた。


無心になって美羽の爪や指を灰色に染め上げて行く。


そうしている間は、家の中での嫌な出来事を忘れることができた。