そう言いながら、ここ数年手紙を広げていないことに気がついた。


優しかった父親は、高校受験が近づくにつれて人が変わったように口うるさくなった。


あたしの学校生活や人間関係を気にしてくれていたハズが、口を開けば勉強の話ししかしなくなった。


そんな父親の言葉をストレスに感じ、プレッシャーを受けていた事は事実だった。


だからといって受験に失敗してしまったことへの言い訳にはならない。


それは自分自身が一番よくわかっていた。


受験の失敗は、自分への甘さが原因だ。


「菜々花?」


健太に声をかけられて、ハッと我に返った。


「ごめん、ちょっと色々思い出してた」


そう言って笑顔を見せる。


同時にお腹がグーっと鳴った。