大きなおにぎりを手に持ち、ニカッと爽やかな笑顔を浮かべている。


仲間……。


その言葉に、胸に突き刺さった刃物がポロポロと取れて行くような感覚がした。


「っていうか、菜々花目ぇ赤くない?」


穂香が気が付いてそう言って来た。


咄嗟に「そんなことないよ」と、笑顔を浮かべる。


しかし、穂香は怪訝そうな表情を浮かべたままだ。


「心配かけるとか、そういうの気にしなくていいから」


源太が優しい声でそう言って来た。


「え……?」


「ここにいるメンバーに気を使う必要はないよ。なんでも、言ってくれていいから」


そう言われて、あたしは5人を見回した。


教室で感じるような威圧感も、とげとげしさも感じられない。


「まぁ、言いたくないなら聞かないけどね」


穂香が軽い口調でそう言い、菓子パンにかぶりついた。


そのひと口がやけに大きくて、思わず笑ってしまった。