それは悲しい決断だった。


友達がいるのに一緒に過ごす事ができないなんて……。


「そんな顔しないでよ。屋上へ出れば周りの目なんて気にしなくていいんだから」


そう言って明るい笑顔を見せるみゆな。


でも、屋上に行くと断定できないと聞いたばかりだった。


「みゆなと穂香は、それでいいの?」


そう聞くと、みゆなが困ったように眉を下げてあたしをみた。


困らせたいわけじゃないけれど、同じ境遇にいるみゆなに聞かずにはいられなかった。


「良くないよ。だけど今は戦い疲れちゃったの」


戦い疲れた。


その言葉に胸がチクリと痛んだ。


2人はどのくらい前からイジメに遭っているんだろうか。


「だからね、今は休憩期間。菜々花も無理はしないでね」


みゆなはそう言うと、元気に手をふって3年生の下駄箱へと歩き出したのだった。